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令和六年十月一日提出
質問第一号

児童相談所の児童記録票の永年保存に関する質問主意書

提出者  早稲田ゆき




児童相談所の児童記録票の永年保存に関する質問主意書


 子ども時代に社会的擁護を受けた者(以下「ケアリーバー」という。)の出自を知る権利は、児童の権利に関する条約第七条に基づき保障されるべきである。
 ケアリーバーにとって、児童相談所が施設や里親に預けられた子どもの家族構成や生育歴などをまとめた児童記録票(以下「児童記録票」という。)は、自らの出自を知るために重要な資料である。
 しかし児童記録票の保管期間は、国の児童相談所運営指針(以下「指針」という。)で「満二十五歳になるまで」と定められており、多くの自治体でこの指針もしくは各自治体の文書管理規程を踏まえ、一定の保存期間ののち廃棄されてきた。
 その後二〇一八年の指針改正で養子縁組が成立した事例に限り、児童記録票は永年保存とされた。
 また令和三年度社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会の報告書(以下「報告書」という。)において、「子どもの出自を知る権利に配慮する観点も踏まえ、児童相談所や施設、里親等で自らが受けた対応等について知りたいと思った時に確認することができるよう、児童相談所運営指針における「長期保存とする文書」の範囲を見直すことが必要であり、このため、自治体の状況等について丁寧に把握・議論する必要があるため、調査研究など出来るものから着手する必要がある。」と記載されたが、本件を厚生労働省から引き継いだこども家庭庁では、いまだ調査研究に着手していない。
 さらに神奈川県でも本年二月、有識者やケアリーバーでつくる県児童福祉審議会のワーキンググループにおいて、児童記録票の保存期間の延長を検討するよう意見が出たため、神奈川県はこの四月から廃棄を見合わせ、本年度中に保存期間を見直し、電子化など保存方法について検討することとしている。
 そこで以下、質問する。

一 ケアリーバーは、成人になるまでの親との関係性にかかわらず、自らの出自を知る権利が保障されるべきであって、児童の権利に関する条約第七条第二項に基づき、国および地方自治体は、個人情報に配慮するなど報告書にある留意点を踏まえつつ、それぞれの所管する行政文書の保管や開示に積極的に取り組むべきと考えるが、政府の見解をあきらかにされたい。
二 国や地方自治体の保有する個人情報の保管期間は、その根拠となる法令上の必要性に基づき判断されるのが原則と承知するが、右に述べた理由により、児童福祉法に基づく児童記録票は、養子縁組が成立した事例に限らず、個人情報に配慮するなど報告書にある留意点を踏まえつつ、永年保存とするよう指針改正を行うべきではないかと考えるが、政府の見解をあきらかにされたい。
三 まずは各自治体における児童記録票の保管期間がどのようになっているか、政府として早急に実態を把握すべきではないか。
四 これまでに児童記録票が廃棄されてしまったことにより、自らの出自を知るよすがのないケアリーバーに対しては、その求めに応じ、国および地方自治体は、個人情報に配慮するなど報告書にある留意点を踏まえつつも、当時の施設職員等との接触、面談に便宜を図るなど、出自を知る権利を保障する努力をするべきと考えるが、政府の見解をあきらかにされたい。

 右質問する。

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