衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ
令和六年十月一日提出
質問第三号

重度障害者等の就労支援に関する質問主意書

提出者  大石あきこ




重度障害者等の就労支援に関する質問主意書


 重度障害者の通勤や職場等における介助の問題は、長年の懸案とされてきました。その理由のひとつは、障害福祉サービスでは、厚生労働省告示第五百二十三号(以下「当該告示」といいます。)により、通勤、営業活動等の経済活動に対する支援が対象外とされてきたためです。二〇一九年七月の参議院選挙で介助が必要な「れいわ新選組」の木村英子議員及び舩後靖彦議員が当選し、重度訪問介護サービスに係る要請をしたことなどを受けて、厚生労働省内の「障害者雇用・福祉連携強化プロジェクトチーム」において議論が重ねられ、二〇二〇年十月から、@雇用施策である「障害者雇用納付金制度に基づく助成金の拡充」、A福祉施策である「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」の二つの制度枠組みが作られることとなりました。
 しかし、この二つの制度枠組みは、当初から様々なハードルが指摘されてきました。@の場合は企業が協力しないと成り立ちません。Aの福祉施策の特別事業も国の「自立支援給付(個別給付)」ではなく市町村事業であるため、市町村が予算化しないと実施できないなど、市町村の裁量に任されてしまっています。また、重度訪問介護と比べても、加算措置もなくて報酬が低いため、サービス提供事業所の確保も困難という指摘もあります。
 実際、制度開始から四年が経過しましたが、二〇二三年度でも、Aの利用人数は全国で百八十三人、実施自治体(予定を含む)も七十八に留まっています。
 以下、質問します。

一 「障害者総合支援法改正法施行後三年の見直しについて〜社会保障審議会 障害者部会 報告書〜」(令和四年六月十三日/厚生労働省)(以下「報告書」といいます。)では、「「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」については、(中略)使いづらさや実施する自治体の少なさが課題となっている。重度障害者等の就労の促進を図るため、職場や通勤等における支援を必要とする方の利用がさらに拡がるよう、事業の利用が進まない背景の検証や利用事例に関する情報収集などを含めて、その実施状況を踏まえながら、特別事業の周知や必要な運用改善を行うことにより、重度障害者等に対する職場や通勤等における支援を推進していく必要がある。」とありますが、「事業の利用が進まない背景の検証」はされましたか。具体的な事実があれば、いつ、どの審議会等で検証がされて、どのような検証結果であったのかを教えてください。
二 同じく「必要な運用改善」はされましたか。具体的な事実があれば、いつ、どのような改善がされたのかを教えてください。
三 前述の二つの制度枠組み(@A)とは別に、ある市町村の「地域生活支援事業」の「移動支援」事業において、市町村によっては短期的な通勤・就労支援での利用を可能としているところもあります。報告書では、「地域生活支援事業のうち(中略)障害者等個人に対する支援が含まれる事業と障害福祉サービスの個別給付との利用対象者像の関係等の実態把握や整理を行い、障害福祉サービスの報酬改定等の議論の中で、財源を確保しつつ、その在り方を検討する必要がある。」とあります。
 その後、移動支援事業における通勤・就労支援について、どのような実態把握と整理、在り方の検討が行われましたか。具体的な事実があれば、いつ、どの審議会等で検証がされて、どのような結果であったのかを教えてください。
四 国際連合・障害者の権利に関する委員会「日本の第一回政府報告に関する総括所見」(二〇二二年九月二日採択)では、障害者の権利に関する条約締約国(以下「締約国」といいます。)に対し、「44(a) 全ての地域における障害者の移動が制限されないことを確保するために、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の下での制限を排除すること。」と勧告されています。これは、障害福祉サービスでの通勤、営業活動等の経済活動に対する支援を対象外とする規定(当該告示)の見直し又は、市町村の地域生活支援事業において通勤・就労支援を全国で実施できるようにすることを求めていると考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。
五 同総括所見では、締約国に対し、「58(d) 職場でより多くの支援を必要とする者に対する個別の支援の利用を制限する法規定を取り除くこと。」と勧告されています。これは、障害福祉サービスでの通勤、営業活動等の経済活動に対する支援を対象外とする規定(当該告示)の見直しを求めていると考えますが、政府の見解はいかがでしょうか。
六 四、五の勧告を受けて、当該告示の見直しの検討は行いましたか。具体的な事実があれば、いつ、どの審議会等で検討がされて、どのような結果であったのかを教えてください。

 右質問する。

経過へ | 質問本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.