質問本文情報
令和六年十月二日提出質問第一六号
新型コロナワクチンに関する質問主意書
提出者 原口一博
新型コロナワクチンに関する質問主意書
本年九月十二日、厚生労働省の薬事審議会医薬品第二部会において、MeijiSeikaファルマ株式会社のレプリコンワクチンであるコスタイベ筋注用が薬事承認について了承されたことを踏まえ、同月十三日に薬事承認された。
しかしながら、レプリコンワクチンの安全性をめぐっては、「メッセンジャーRNA等が無限に増える」といった懸念も示されている。
こうしたことも踏まえ、次の事項について質問する。
一 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十七条第一項は、「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の懲役に処する。この場合において、請託を受けたときは、七年以下の懲役に処する。」と規定している。
一方、厚生労働省の「薬事審議会審議参加規程」第十三条は、「委員等本人又はその家族が、申告対象期間中に審議品目の製造販売業者又は競合企業から寄附金・契約金等の受取の実績があり、それぞれの企業からの受取額が、申告対象期間中のいずれの年度も五百万円以下である場合は、当該委員等は、審議会等へ出席し、意見を述べることができるが、当該審議品目についての議決には加わらない。」とした上で、「ただし、寄附金・契約金等が、申告対象期間中のいずれの年度も五十万円以下の場合は、議決にも加わることができる。」と規定している。
この点に関し、薬事審議会の委員等は非常勤の国家公務員とされているが、薬事審議会審議参加規程にあるように、委員が製造販売業者等から寄附金を受領していた場合には、刑法第百九十七条第一項の規定に抵触しないのか。政府の見解を示されたい。
二 令和四年五月二十日、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和四年法律第四十七号)が施行され、新たに緊急承認制度が創設された。同制度の対象となる医薬品の要件としては、「国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品であり、かつ、当該医薬品の使用以外に適当な方法がないこと」とされている。
この点に関し、同日発出された「緊急承認制度における承認審査の考え方について」(令和四年五月二十日付け薬生薬審発〇五二〇第一号)においては、感染症に用いる治療薬及びワクチンについては、有効性及び安全性の評価に係る考え方が示されている。この「ワクチン」の定義を示されたい。
三 厚生労働省は、「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」(以下「ADB」という。)に対し、「ワクチン接種歴別の新規陽性者数」に関する資料を提出していた経緯があると承知している。同資料は、HER−SYSに登録されている新規陽性者を、不明を含むワクチン接種歴の有無で分けて集計したものとなっている。
一方、厚生労働省は、同資料の作成に当たり、ワクチン接種歴が未記入の場合、令和四年四月二十日までのADB提出データでは未接種に分類していたが、同年五月十一日以降のADB提出データでは接種歴不明に分類している。このため、四月二十日までのADB提出データでは、未接種の新規陽性者数が実際よりも多くなっていたと指摘されている。
この点に関し、厚生労働省は、未接種の新規陽性者数を多く見せようとしていたのではないか。政府の見解を示されたい。
四 メッセンジャーRNAワクチンを接種し、メッセンジャーRNAがヒトの細胞内に取り込まれると、このメッセンジャーRNAをもとに、細胞内でスパイクタンパク質が産生される。また、ウイルスベクターワクチンを接種し、遺伝子がヒトの細胞内に取り込まれると、この遺伝子をもとに細胞内でスパイクタンパク質が産生される。これらのスパイクタンパク質が疾病の原因とならないことをどのように証明したのか。治験の具体的内容及び政府の見解を示されたい。
五 「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」(令和六年七月二日閣議決定)は、情報提供・共有、リスクコミュニケーションに関する項目を設けている。
また、「情報提供・共有(リスクコミュニケーション)に関するガイドライン」(令和六年八月三十日内閣感染症危機管理監決裁)は、偽・誤情報への対応に関し、国はSNSのトレンドなどを確認し、例えば、事実関係として明らかに誤っている情報が拡散され、国民等への影響等に鑑み必要がある場合には、表現の自由に配慮しつつ、関係機関と連携しながら、その時点で把握している科学的知見等に基づく正確かつ分かりやすい情報の周知や注意喚起を行うとしている。これらの項目に係るこれまでの国の予算の支出先及び支出額を示されたい。
さらに、「新型コロナウイルス感染症のワクチンの情報提供に資するための国民の認識や意向に関する調査及び情報提供資材制作一式」及び「「新型コロナウイルス感染症のワクチン広報プロジェクト」業務一式」に係るこれまでの国の予算の支出先及び支出額並びに偽・誤情報への対応状況を具体的に示されたい。
六 本年九月十三日、コスタイベ筋注用を承認した理由を示されたい。
また、同月十二日、コスタイベ筋注用の承認について了承した厚生労働省薬事審議会医薬品第二部会におけるコスタイベ筋注用の非臨床試験に係る議論の内容を具体的に示されたい。
七 日本赤十字社の献血ルーム等の献血場所のうち、新型コロナワクチンを接種した者の献血を拒否している献血場所は存在しているのか。政府の見解を示されたい。
八 ワクチンの被接種者から当該ワクチンの接種により産生された物質等が拡散されて他の者に影響を与える事象(以下「シェディング」という。)に対する政府の認識を示されたい。
また、政府がシェディングは存在しないと認識している場合、その根拠を示されたい。さらに、蚊等の吸血によるシェディングの危険性に対する政府の認識を示されたい。
加えて、シェディングの可能性が指摘されているレプリコンワクチンを承認したことにより、今後、邦人の海外渡航に支障が生ずる可能性もあると考える。我が国のワクチン政策について、今後、諸外国に対し、どのように説明していくのか。政府の見解を示されたい。
九 日本国憲法第七十三条第三号は条約の承認について規定している。このうち、国会の承認を必要とする国会承認条約については、@法律事項を含む国際約束、A財政事項を含む国際約束及びB我が国と相手国との間、あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束であって、それゆえに、発効のために批准が要件とされているものとされている(いわゆる「大平三原則」)。
一方、世界保健機関(以下「WHO」という。)総会は、本年六月一日、疾病の国際的伝播を最大限防止することを目的とした国際保健規則(以下「IHR」という。)(二〇〇五)の改正案を採択した。本改正は、「パンデミック緊急事態」の定義を新たに規定すること等としており、拒否又は留保を表明した国を除く全ての加盟国に対して、改正の採択に関するWHO事務局長による通報の日から一年後に効力が生じることとなっている。
これらの点に関し、本年六月一日のIHR改正は、財政事項を含む国際約束であり、国会の承認を必要とする国会承認条約に該当するのではないか。政府の見解を示されたい。
また、同改正に基づき、「パンデミック緊急事態」に該当する場合に発出される勧告は、従来と同様、法的拘束力はないのか。政府の見解を示されたい。
右質問する。