質問本文情報
令和六年十月二日提出質問第一八号
公益通報者保護法に関する質問主意書
提出者 櫻井 周
公益通報者保護法に関する質問主意書
公益通報者保護法(以下、「同法」)は、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資することを目的として制定された。しかしながら、兵庫県知事や鹿児島県警察に関する事案など公益通報との意図をもって通報した者が十分に保護されない事例があることから以下、質問する。
一 不正と思われる同一の事案について複数の通報先に通報した場合において、通報先によっては要件を満たす場合と満たさない場合がありえるところ、通報先のうち一つでも同法第三条の要件を満たせば同法第三条の要件を満たさない通報先があったとしても同法第五条などで規定する不利益取扱い禁止の効果を得られるのか。それとも、通報先のうち一つでも同法第三条の要件を満たさなければ同法第三条の要件を満たす通報先があったとしても同法第五条などで規定する不利益取扱い禁止の効果を得られないのか、政府の見解は如何に。
二 公益通報と思って通報したものの公益通報とみなされずに不利益取扱いを受けるリスクがあれば、公益通報を行うことを躊躇してしまい、結果として公益通報制度の目的が十分に達成できないこととなる。少なくとも同法第三条第二号に規定する行政機関の通報窓口については通報先としての要件を満たすかどうかについて簡単に確認できるようなものにすることを提案するが、政府の見解は如何に。
三 地方自治体の内部において不正があった場合に当該地方自治体の議会の議員に通報した場合は、同法第三条第三号の要件を満たすか、政府としての認識を明らかにされたい。
四 同法第五条などで規定する公益通報者に対する不利益取扱い禁止に違反して公益通報者に対して不利益処分を行った者に対する罰則を設けることで同条の実効性を高めることを提案するが、政府の見解は如何に。
五 「公益通報者保護法を踏まえた国の行政機関の通報対応に関するガイドライン(内部の職員等からの通報)」(平成十七年七月十九日関係省庁申合せ)において、「各行政機関は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に係る公益通報対応業務に関して、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとる。」と規定されているものの、法律事項ではないために行政機関からの独立性が確保されていない場合があるところ、当該独立性確保について法律で規定することを提案するが、政府の見解は如何に。
六 当該独立性確保について法律で規定するときには、当該独立性確保ができていない場合に対する罰則を併せて設けることを提案するが、政府の見解は如何に。
七 「公益通報者保護法第十一条第一項及び第二項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」(令和三年八月二十日内閣府告示第百十八号)の第四の二(二)ロにおいて、「事業者の労働者及び役員等が、公益通報者を特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できないなどのやむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐための措置をとる。」とあるものの、通報者の探索を行ってはならないとは規定されていない。そこで、「通報者の探索を行ってはならない」旨を明確に規定することを提案するが、政府の見解は如何に。
八 通報者の探索を行った者に対する罰則を設けることを提案するが、政府の見解は如何に。
九 同法附則第二条に基づいて行う二〇二五年の同法見直しにあたっては、上述の兵庫県知事や鹿児島県警察本部にかかる事案を含めて検討することを提案するが、政府の見解は如何に。
右質問する。