質問本文情報
令和六年十月四日提出質問第五一号
中国軍による領空侵犯に関する質問主意書
提出者 松原 仁
中国軍による領空侵犯に関する質問主意書
中国軍の情報収集機が、本年八月二十六日、長崎県男女諸島沖の我が国領空を侵犯した。多くの専門家が指摘しているように、侵犯の態様から、意図的であったことは間違いない。中国軍による領空侵犯は初めてであり、極めて重大な事態である。
しかるに政府は、外務大臣が駐日中国大使を召致して断固抗議すべきところ、外務事務次官が抗議するにとどめた。不十分な対応は、誤ったメッセージとして伝わり、更なる暴挙を誘発して、武力衝突の可能性を高めるものである。実際に、わずか五日後の同月三十一日、中国海軍の測量艦が、鹿児島県口永良部島南西の我が国領海に侵入した。政府に、猛省を促したい。
対領空侵犯措置についてお尋ねする。
一 領空侵犯のおそれのある航空機を発見したときに行われる、航空自衛隊の航空機による緊急発進の回数は、中国機について令和五年度は何回であったか。また、令和五年度の緊急発進全体のなかで、中国機が原因の割合は、どの程度であったか。
二 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十四条の規定に基づく領空侵犯に対する措置として、正当防衛又は緊急避難の要件に該当する場合に、武器を使用することはできるか。また、もし武器を使用することができるとするなら、必要やむを得ざる場合は、撃墜も排除されないか。政府の見解を明らかにされたい。
三 石井外務省国際法局長(当時)は、平成二十五年十一月一日に開かれた衆議院国家安全保障に関する特別委員会において、国際法に関して、「一般論として申し上げますと、領空侵犯機に対しては、領空外への誘導を行ったり退去を命じたりすることができ、侵犯機が指示に応ぜず、なお領空の侵犯を継続するときには、発砲の警告、威嚇射撃をもって命令を強制することもできるというふうに考えられております。さらに、もちろん、必要やむを得ざる場合、特別な場合だと思いますが、例えば侵犯機が実力で抵抗するような場合においては、撃墜をも含む緊急実力手段に訴えることもできる、そういうふうに考えられております。」と答弁したが、この政府見解に変更はあるか。
四 航空自衛隊の戦闘機が、昭和六十二年十二月九日、領空侵犯した旧ソ連の軍用機に対して、二度にわたって警告射撃を実施したのは、いかなる理由からか。警告射撃を実施しなかった本年八月二十六日の中国軍による領空侵犯事案と、いかなる点で異なるか、具体的に説明されたい。
五 本年八月二十六日に、領空侵犯を行った中国軍の情報収集機は、いかなる目的のためにいかなる情報を収集しようとしていたか、政府による分析結果を明らかにされたい。
右質問する。