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令和六年十二月二日提出
質問第三七号

健康保険証の存続と地域単位の医療のデジタル化推進等に関する質問主意書

提出者  阿部知子




健康保険証の存続と地域単位の医療のデジタル化推進等に関する質問主意書


一 健康保険証の存続について
 本年十二月二日から現行の健康保険証の発行が停止される。厚生労働省は、マイナンバーカード健康保険証(以下、マイナ保険証という)を保有していない者に対して、資格確認書を申請によらず保険者の職権で交付するとしている。二〇二三年「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案」の審議においては、政府から資格確認書の対象は、「マイナンバーカードを紛失した・更新中の者」「ベビーシッターや介助者等の第三者が本人に同行して本人の資格確認を補助する必要がある場合や、家族や介助者等が本人の代理として薬局に薬剤を取りに行く必要がある場合」等、一時的な代替えとして、本人の申請に基づいて保険者から提供すると説明されていた。
 一方、個人情報の紐付け誤り、個人情報の漏えい等、さまざまトラブルが発生するなか、マイナ保険証の利用率は十五・六七%(二〇二四年十月)と低迷し、全人口におけるマイナ保険証の登録率は約六十二%に留まっている。本年十月からはマイナンバーカードとマイナ保険証の紐付け解除が可能となり、登録率は下がる可能性もある。
 1 申請によって保険者が提供するとしていた「資格確認書」を、申請によらずに保険者の職権で交付すると国が方針を転換したのはいつか、また、その理由は何か、お示し願いたい。
 2 マイナ保険証を持ちながら、その約八十四%が窓口で従来の健康保険証を使っている理由を国はどう考えているのか、お示し願いたい。
 3 各保険者は、マイナ保険証を持たない人について「資格確認書」を提供することになるが、「資格確認書」は「被保険者証」と体裁はほとんど変わらず、初回は職権によって交付され、有効期間は五年間(市町村国保)となる。一時的な代替えではなく、廃止される「被保険者証」と同等の位置づけであると考えるが、国の認識はどうか、お示し願いたい。
 4 実態として保険者は被保険者の受診の権利を確保するために「資格確認書」を「被保険者証」と同等の位置づけで扱うのであれば、強引なマイナ保険証一本化は中止し、「被保険者証」を存続させる方が医療保険制度としてより安定していると考える。国の認識はどうか、お示し願いたい。
 5 新たに厚労省は、マイナ保険証を保有していても、高齢者・障害者等に対しては申請に基づき資格確認書を交付するとしている。この対策があれば「顔認証マイナカード」の発行は必要ないのではないかと考えるが、二つの対策の違いをお示し願いたい。
 6 全人口(住民基本台帳)に占めるマイナ保険証の直近の登録率をお示し願いたい。
 7 市町村の国民健康保険被保険者、後期高齢者医療制度の対象者に占めるマイナ保険証の直近の登録率をお示し願いたい。
二 「短期被保険者証」の存続について
 健康保険証の廃止にともない「短期被保険者証」(患者負担三割)も廃止され、特別療養費(患者負担十割)に切り替わる。「短期被保険者証」は市町村の窓口で被保険者が保険料の減免や分割納付など相談のうえで発行され、保険料の納付につなげるとともに、被保険者の受診や家計、生活の安定を確保する役割を果たしてきた。「短期被保険者証」(患者負担三割)が廃止され、いきなり患者十割負担となっては無保険者が増えるのではないかと危惧する。
 1 無保険者を生じさせないために、「短期被保険者証」を健康保険証とともに存続すべきと考える。国の認識をお示し願いたい。
 2 「短期被保険者証」を廃止するのであれば、それに代わり、患者窓口負担(三割)が継続できる新たな制度を設ける必要があると考える。国の認識をお示し願いたい。
三 医療のデジタル化と医療保険者の統合について
 1 医療のデジタル化に成功している北欧諸国は、デジタル化の前提として医療保険者の統合を行った。例えば、エストニアは「健康保険基金」という団体に統一した。しかし、日本の医療保険制度の保険者数は三千以上になる。デジタル化の前提として保険者の統合が前提となるのではないかと考えるが、国の認識をお示し願いたい。
 2 医療機関窓口に置かれたカードリーダーの不具合が続いている。厚労省は、マイナンバーカード(マイナ保険証搭載)と「資格情報のお知らせ」を併せもつことを推奨し、マイナンバーカードとマイナポータルの画面(コピーあるいはスマホの画面)を提示することでも資格確認を受けることができるとしている。これがデジタル化と言えるのか、これは過渡期の事態なのか今後も継続するのか、国の認識をお示し願いたい。
四 近年、全国各地で、各地域が主体的となって、マイナンバー制度とは全く別の枠組みによる医療情報連携ネットワークの構築が進められている。患者の状態に合った質の高い医療の提供を目指し、地域の医療資源の確保、医療と介護のスムーズな連携を考え、個人情報の保護、システム利用の際の「同意」と「同意の撤回」も徹底されている。
 「世界最先端TT国家創造宣言」(二〇一五年六月三十日閣議決定)においては、「医療情報連携ネットワークについて、データやシステム仕様の標準化、運用ルールの検討やシステム関連コストの大幅な低廉化等による費用対効果の向上を図りつつ、二〇一八年度までに全国への普及・展開を図る。」としている。
 地域医療のデジタル化について、今後の推進をどう図るか、国の認識をお示し願いたい。

 右質問する。

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