答弁本文情報
令和六年十二月十三日受領答弁第三七号
内閣衆質二一六第三七号
令和六年十二月十三日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員阿部知子君提出健康保険証の存続と地域単位の医療のデジタル化推進等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員阿部知子君提出健康保険証の存続と地域単位の医療のデジタル化推進等に関する質問に対する答弁書
一の1について
御指摘の「申請によらずに保険者の職権で交付すると国が方針を転換した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、資格確認書については、国会等での議論も踏まえ検討し、令和五年八月八日に開催された「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」の「最終とりまとめ」において、「資格確認書は、原則、本人の申請に基づき保険者が速やかに交付する。ただし、当分の間、マイナ保険証(健康保険証利用登録をされたマイナンバーカード。以下同じ。)を保有していない者その他保険者が必要と認めた者については、本人の申請によらず保険者が交付する運用とする。」としたところであり、「当分の間、マイナ保険証・・・を保有していない者・・・については、本人の申請によらず保険者が交付する運用とする」こととしたお尋ねの「理由」については、同月二十四日に開催された社会保障審議会医療保険部会において、厚生労働省より、「保険者から資格確認書発行に係る事務負担の軽減等の御意見をいただいた」と説明しているとおりであり、保険医療機関又は保険薬局(以下「保険医療機関等」という。)を安心して受診いただけるようにしているものである。
一の2について
御指摘の「約八十四%」は、マイナ保険証(健康保険証として利用するための登録が行われた個人番号カードをいう。以下同じ。)を持つかどうかにかかわらず、令和六年十月のオンライン資格確認を行った件数のうち、マイナ保険証による確認を行っていない割合と考えられるため、御指摘のように「マイナ保険証を持ちながら、その約八十四%が窓口で従来の健康保険証を使っている」というわけではなく、また、「マイナ保険証を持ちながら、」「窓口で」マイナ保険証「を使っている」者の割合について、同年十一月二十一日に開催された社会保障審議会医療保険部会において約四十パーセントとの推計が確認されているところであり、いずれにせよ、「マイナ保険証を持ちながら、」「窓口で従来の健康保険証を使っている理由」については、マイナ保険証を紛失した場合のリスクや個人情報の管理に関して不安の声があることや、マイナ保険証を利用することで本人の健康や医療に関するデータに基づいたより適切な医療を受けることが可能となるなどの様々なメリットが国民に十分に浸透していないこと等によるものであると考えており、政府としては、引き続き、マイナ保険証の安全性やメリット等について国民への周知を行うことなどにより利用促進を図ってまいりたい。
一の3及び4について
被保険者証及び資格確認書については、令和五年四月十九日の衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会において、政府参考人が「現行の健康保険証・・・は全ての被保険者に交付を行っておりますけれども、資格確認書につきましては・・・マイナンバーカードによるオンライン資格確認を基本としつつ、オンライン資格確認を受けることができない状況にある方に対しまして、・・・交付するものでございますので、交付件数が減ることによりまして、発行に係ります保険者の方の様々な負担も、現行の健康保険証と比べて減少することが期待されるものでございます」と述べたとおりであり、両者が御指摘のように「同等の位置づけである」とは考えておらず、また、「同等の位置づけで扱」ってもおらず、「同等の位置づけ」であることを前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。なお、保険者において、オンライン資格確認を受けることができない状況にある被保険者又は被扶養者(以下「被保険者等」という。)に対しては、資格確認書を交付することとしていることから、御指摘のように「強引なマイナ保険証一本化」を行うものではない。
一の5について
お尋ねについて、御指摘の「顔認証マイナカード」については、マイナ保険証として利用することで、患者は本人の健康や医療に関するデータに基づいたより適切な医療を受けることが可能となるといった機能があることが、資格確認書とは異なるものと考えている。
一の6及び7について
お尋ねの「全人口(住民基本台帳)に占めるマイナ保険証の直近の登録率」については算出していないが、令和六年十一月三十日時点において、全ての医療保険制度の加入者のうち、マイナ保険証を有している者の割合は約六十四パーセントであり、また、同日時点において、お尋ねの「市町村の国民健康保険被保険者」の加入者のうち、マイナ保険証を有している者の割合は約六十二パーセント、「後期高齢者医療制度」の加入者のうち、マイナ保険証を有している者の割合は約六十三パーセントである。
二について
御指摘の「短期被保険者証」の「廃止」に伴い、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律(令和五年法律第四十八号)第十条の規定による改正後の国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第五十四条の三の規定等においては、市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、保険料を滞納している世帯主が、当該保険料の納期限から一年間が経過するまでの間に、当該市町村が当該保険料の納付の勧奨及び当該保険料の納付に係る相談の機会の確保等の保険料の納付に資する取組を行ってもなお当該保険料を納付しない場合において、当該保険料の滞納につき災害等の特別の事情があると認められる場合を除き、あらかじめ、当該世帯主に対し通知を行った上で、療養の給付に代えて、特別療養費を支給すること等としたところであり、御指摘の「短期被保険者証」の「廃止」前と同様に、御指摘の「市町村の窓口で被保険者が保険料の減免や分割納付など相談」の機会を確保することとしており、また、「いきなり患者十割負担」とはならないことから、御指摘のように「短期被保険者証」を「存続すべき」とは考えておらず、また、「患者窓口負担(三割)が継続できる新たな制度を設ける必要がある」とは考えていない。
三の1について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「日本の医療保険制度の保険者」の間の「医療のデジタル化」の取組として、例えば、各保険者からそれぞれの被保険者等のレセプトから抽出された薬剤や診療に関する情報、特定健康診査等に係る情報等を、社会保険診療報酬支払基金等に登録し、当該社会保険診療報酬支払基金等においてシステム上で一体的に管理及び運用を行うことにより、保険医療機関等がマイナ保険証を通じてオンラインで被保険者等の資格情報を確認できるようにしていることなどがあり、御指摘のように「デジタル化の前提として保険者の統合が前提となる」とは考えていない。
三の2について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「資格情報のお知らせ」はマイナ保険証を有している者が必要に応じ本人の被保険者資格等を簡易に確認できるようにするために交付されるものであるところ、御指摘のようにマイナ保険証と「資格情報のお知らせ」を「併せもつこと」及びマイナ保険証と「マイナポータルの画面」を「提示すること」については、オンライン資格確認を導入していない保険医療機関等を受診する際や、停電やICチップの破損などによりマイナ保険証が物理的に使用できない状況で保険医療機関等を受診する際などの例外的な場合に、保険医療機関等を安心して受診いただく環境を整えるために必要なものであり、マイナ保険証と「資格情報のお知らせ」を常に「併せもつことを推奨」しているわけでもなく、御指摘のように「今後も継続する」必要があるものと考えている。
四について
政府としては、御指摘の「医療情報連携ネットワーク」の全国各地への普及の推進等を行ってきたところ、さらに、「医療DXの推進に関する工程表」(令和五年六月二日医療DX推進本部決定)において「オンライン資格確認等システムを拡充し、保健・医療・介護の情報を共有可能な「全国医療情報プラットフォーム」を構築する。(中略)その際、これらの情報基盤については、電子処方箋と同様、オンライン資格確認等システムの資格情報の履歴と連携し、情報を連結させるとともに、マイナンバーカードの保険証利用に係る本人確認の仕組みやオンライン資格確認等システムの医療機関等とのネットワークを活用し、情報連携を行っていく。」とし、これに基づく取組を進めているところであり、地域におけるニーズ等を踏まえ、「医療情報連携ネットワーク」と「全国医療情報プラットフォーム」との間で適切な役割分担を図りながら、地域における医療のデジタル化を推進してまいりたい。