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令和六年十二月十六日提出
質問第六九号

洋上風力発電事業への国内企業の参入課題、電源開発促進税の活用等に関する質問主意書

提出者  緑川貴士




洋上風力発電事業への国内企業の参入課題、電源開発促進税の活用等に関する質問主意書


 政府は、令和三年に閣議決定した地球温暖化対策計画において「二〇五〇年カーボンニュートラル」の実現と、令和十二年度に温室効果ガスを平成二十五年度比で四十六%の削減等を目指し、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めることとし、第六次エネルギー基本計画において、洋上風力発電事業の「令和十二年までに十GW、令和二十二年までに三十から四十五GWの案件形成」を目標に掲げている。以下、質問する。

一 同基本計画の目標達成に関し、風車のタービンやブレード、タワー等の関連部材、建設の国内調達率の六割達成を目指すとしているが、国内において巨大な部材を製造する大規模工場や造船所の整備は進んでおらず、採算を考慮した場合、国内企業の参入の動きも鈍いといわざるをえない。同発電事業への投資環境や、同発電設備の製造から設置まで一貫した体制が整っている欧州と比較し、製品の競争力において不利な状況をどのように改善をはかり、目標達成に向けて取り組むのか。政府見解を伺う。
二 秋田県沿岸では、いわゆる再エネ海域利用法に基づく「促進区域」として三つの区域が指定され、秋田港・能代港は同発電の基地港湾に指定されている。両基地港湾の区域内において、令和四年度に同発電の商業運転が開始され、令和十二年には同県の四つの一般海域において運転開始が予定されている他、同県沖の海域においては浮体式の実証事業も進められているところであり、同基本計画の目標を達成する上で重要な拠点に位置付けられている。同発電事業を通じて、将来にわたる関連産業の振興や港湾の利活用が図られることへの地元の期待の声がある一方、事業の主体は大手・外資系企業が中心であり、地元企業は物流や陸上工事の一部の業務にとどまる等、地元の参入機会は限られており、雇用、経済効果が十分に発揮されているとは必ずしもいえない。同発電設備の製造や設置、メンテナンス等、各工程において地元企業が参入できる仕組みを整えることが必要であると考える。政府見解を伺う。
三 同県では運転管理と保守点検(O&M)拠点化に向け、発電設備のメンテナンス技術者等を育成する訓練施設が開設されている。同拠点化に取り組みつつも、長期的な視点から同発電事業の運営に直接関われる技術者等、専門人材を地元で育成するための教育・研修プログラムの導入も支援する必要があるのではないか。政府見解を伺う。
四 再生可能エネルギーで得た電力の多くは、全国規模の電力市場を通じて取引され、同県の同発電電力も都市部等の大消費地向けのものであり、電力を地元で利用する仕組みが現状ない。災害時の電力供給等の観点から「電力の地産地消」を進めることは重要であり、地域内の電力供給網の整備コストや電力市場制度との関係、地域電力の運営のあり方等、諸課題を整理した上で、同発電電力を地域内で利用できる環境を整備する必要があると考える。政府見解を伺う。
五 四に関し、東北電力グループは、カーボンニュートラルの実現に向け、東北六県及び新潟県を中心に、風力発電を主軸とした二百万kWの再生可能エネルギー開発を目指し、風力発電設備の点検・修繕のための訓練施設において作業員の育成を進めている。秋田県内では、風力発電設備の点検・修繕のための「メンテナンス訓練」を行う施設を能代火力発電所構内に、風車での高所作業などを安全に行うための「安全基礎訓練」を行う施設を秋田火力発電所構内にそれぞれ設置した。同グループは再エネ発電事業の開発から運用・保守などライフサイクル全般に関与し、再エネの導入拡大に努めるとしている。今後、洋上風力発電事業により積極的に関与することにより、電力の地産地消において重要な地域内の電力供給網を整備する等の役割を担えると考えるが、政府見解を伺う。
六 「電源立地地域対策交付金」は、発電所利益の地域還元、地元理解・協力の醸成、電力安定供給を目的とし、原子力や地熱、水力発電等の立地地域に交付されているが、洋上風力発電は対象外となっている。しかし、同発電事業の「令和二十二年までに三十から四十五GWの案件形成」を達成するためには、開発地域との共生が極めて重要であり、同交付金の制度趣旨にも合致するものである。「二〇五〇年カーボンニュートラル」の実現に向けた重要電源である洋上風力を電源立地地域対策交付金(電力移出県等交付金相当部分)の対象電源に追加する必要があるのではないか。政府見解を伺う。
七 同発電開発地域の都道府県において、事業所等を有しない法人が、洋上風力発電設備等の無人の発電施設を設置している事例があるが、周辺道路の整備・維持管理や災害防止対策等の行政サービスを受けており、当該法人の事業活動と同サービスとの受益関係を正確に反映させるために、法人事業税の課税対象の見直しを図り、「事業所等を有している」とみなして分割基準の適用対象とするべきであると考える。政府見解を伺う。
八 秋田県男鹿市の船川港は、複数の同発電事業の実施区域に近く、秋田港、能代港の中間に位置し、両基地港湾を補完する港に位置付けられている。船川港の背後地には石材の産出拠点があること等から、風車の基礎周辺の石材等を供給する拠点としての整備に加え、今後増加が見込まれる貨物の保管庫、クルーズ船受け入れに対応するための大水深岸壁の整備、埠頭用地の確保、資材保管に対応した工業用地の確保、作業員や資材を運ぶ作業員輸送船(CTV)の係留等のO&M拠点としての整備等、様々な港湾事業が求められている。船川港の港湾機能強化を早期に果たすため、事業の優先度を考慮しながら実施の効率性を高める必要がある。政府見解を伺う。

 右質問する。

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