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答弁本文情報

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令和六年十二月二十七日受領
答弁第六九号

  内閣衆質二一六第六九号
  令和六年十二月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員緑川貴士君提出洋上風力発電事業への国内企業の参入課題、電源開発促進税の活用等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員緑川貴士君提出洋上風力発電事業への国内企業の参入課題、電源開発促進税の活用等に関する質問に対する答弁書


一について

 御指摘の「欧州と比較し、製品の競争力において不利な状況」及びお尋ねの「目標達成」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府として、国内に洋上風力発電のサプライチェーンを構築していくことは、電力の安定供給の観点に加え、洋上風力産業の競争力強化の観点からも重要であると考えており、当該サプライチェーンの構築の推進に向け、「洋上風力産業ビジョン(第一次)」(令和二年十二月十五日洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会策定)において、「我が国におけるライフタイム全体での国内調達比率を二〇四〇年までに六十パーセントにする」との産業界の目標を定めているところ、産業界による同目標の実現を後押しすべく、令和六年度予算で措置されたGXサプライチェーン構築支援事業に基づく洋上風力発電設備に係る製造事業者等の設備投資に対する支援等を行っているところである。

二について

 御指摘の「発電設備の製造や設置、メンテナンス等、各工程において地元企業が参入できる仕組み」については、政府として、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(平成三十年法律第八十九号)第十三条第二項第十五号に掲げる評価の基準等についての詳細を定めた「一般海域における占用公募制度の運用指針」(令和元年六月経済産業省資源エネルギー庁及び国土交通省港湾局策定、令和四年十月改訂)において、「地域経済波及効果」等を「事業実現性に関する項目」として挙げており、公募に参加する事業者に対して、地域経済への波及が期待される計画の作成を促す仕組みとしており、同法第八条第一項の規定に基づき、経済産業大臣及び国土交通大臣が同法第二条第五項に規定する海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域として指定した秋田県内の能代市、三種町及び男鹿市沖、由利本荘市沖(北側・南側)、八峰町及び能代市沖並びに男鹿市、潟上市及び秋田市沖については、いずれの選定事業者も、風力発電所の維持管理等に関して、同県内の企業と連携していく方針としていると承知している。

三について

 洋上風力発電に係る人材の育成については、政府として、電力の安定供給の観点に加え、地域における雇用創出の観点からも重要であると考えており、経済産業省において、令和四年度予算から継続的に計上している洋上風力発電人材育成事業により、民間事業者等による風力発電設備のメンテナンス及び洋上作業に係る訓練を行うためのトレーニング施設等の整備に対する支援に加え、秋田県を含む全国の教育機関や公的研究機関等による洋上風力発電の事業開発を担う人材及びエンジニアの育成に向けたカリキュラムの開発及び実施に対する支援を行っているところである。

四について

 御指摘の「地域内の電力供給網の整備コストや電力市場制度との関係、地域電力の運営のあり方等」の具体的に意味するところが明らかではないが、御指摘の「電力の地産地消」については、政府として、「エネルギー基本計画」(令和三年十月二十二日閣議決定)において、「地域に賦存する再生可能エネルギーの地産地消は、災害時のエネルギーの安定供給の確保や地域活性化の観点から重要である」としており、経済産業省において、市場取引等による再生可能エネルギー電気の供給の促進に関わる諸課題を検討し、令和四年四月一日施行の再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号)の改正により、同法第二条第五項に規定する認定事業者(以下「認定事業者」という。)が、再生可能エネルギー発電設備が立地する地域に電気を供給する小売電気事業者等への卸取引を含む同法第二条の二第一項に規定する市場取引等(以下「市場取引等」という。)により、同条第二項に規定する供給促進交付金の交付を受けながら再生可能エネルギー電気の供給を行うことができることとしたところである。

五について

 御指摘の「地域内の電力供給網を整備する」の具体的に意味するところが明らかではないため、東北電力株式会社を主たる構成員とする東北電力グループが、お尋ねの「役割を担えると考える」か否かについてお答えすることは困難であるが、一般論として申し上げれば、認定事業者においては、小売電気事業者等への卸取引を含む市場取引等により再生可能エネルギー電気を安定的かつ効率的に供給することが期待され、また、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第一項第九号に規定する一般送配電事業者においては、電気の安定的な供給に資するように、自らが維持し、及び運用する送電用及び配電用の電気工作物によりその供給区域において託送供給及び電力量調整供給等を行うことが期待されるものと考えている。

六について

 電源立地地域対策交付金は、電源開発促進税を財源としており、長期的に安定的な電気の供給を可能とする長期固定電源の設置促進や安全の確保などを図るためのものであるところ、現時点においては、原子力発電施設、水力発電施設、地熱発電施設等と異なり、洋上風力発電施設は、その特性上、長期的に安定的な電気の供給を可能とする長期固定電源には該当しないため、同交付金の交付対象ではないが、政府として、長期固定電源の範囲は技術革新により変わり得るため、当該交付対象とすることは将来的には検討し得るものであると考えている。

七について

 法人事業税は、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第七十二条の二第一項等の規定により、法人の行う事業に対し、事務所又は事業所所在の都道府県によって課される税であるところ、この「事業」とは、資本を基礎として、利益を得る目的で継続的に行う行為の結合体及び一定の技能、知識に基づいて利益を得る目的で継続的に行う業務とされており、こうした「行為」や「技能、知識」は人の存在を前提としていることから、「事務所又は事業所」の定義については、「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」(平成二十二年四月一日付け総税都第十六号総務大臣通知)において、「人的及び物的設備であって、そこで継続して事業が行われる場所」としているものであり、御指摘のような無人の発電施設については、法人事業税上の事務所又は事業所として取り扱っていない。
 いずれにせよ、お尋ねの「分割基準」の在り方については、社会経済状況の変化を踏まえ、不断の検討が必要であると考えている。

八について

 お尋ねの「事業の優先度を考慮しながら実施の効率性を高める」の意味するところが必ずしも明らかではないが、船川港については、同港の港湾管理者である秋田県が、地域産業の振興や再生可能エネルギーの導入促進に貢献する拠点としての同港の機能強化を目指し、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第三条の三第一項に規定する港湾計画を令和六年八月に変更したところ、同港の整備については、貨物輸送の需要の動向、事業の費用対効果等を総合的に勘案しつつ、その必要性を判断すべきものと考えている。

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