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令和六年十二月十七日提出質問第七四号
国鉄民営化に係る自民党の約束と東日本旅客鉄道のサービス改悪に関する質問主意書
提出者 福田 玄
国鉄民営化に係る自民党の約束と東日本旅客鉄道のサービス改悪に関する質問主意書
自由民主党は、昭和六十二年の国鉄分割民営化に際し、昭和六十一年五月二十二日の全国紙に意見広告を掲載し、国民に以下の約束をしたと承知するところであるが、昨今の東日本旅客鉄道株式会社のサービス改悪を鑑みるに約束違反も甚だしいと指摘せざるえない。石破総理は、「自民党をして責任政党」であると主張されていると知るところであるが、自由民主党が担う政権としてこの約束違反についてどのように対応されるのかについて、政府に対し以下質問する。
なお、本主意書で問題とする昭和六十二年の自由民主党の約束とは、以下のとおりである。
民営分割 ご期待ください。
・全国画一からローカル優先のサービスに徹します。
・明るく、親切な窓口に変身します。
・楽しい旅行をつぎつぎと企画します。
民営分割 ご安心ください。
・会社間をまたがっても乗りかえもなく、不便になりません。運賃も高くなりません。
・ブルートレインなど長距離列車もなくなりません。
・ローカル線(特定地方交通線以外)もなくなりません。
一 「明るく親切な窓口に変身します。」とあるが、東日本旅客鉄道に関していえば、窓口は集約化される方向にあり、かつてはどこにでもあった「みどりの窓口」も現在では都市部の一部の駅にしか設置されていない。明るく親切な窓口といっても、その窓口が最寄り駅になく、窓口に相談するために鉄道を使って移動しなければない上に、集約化された窓口は慢性的に混雑している状況を鑑みるに、むしろ不親切であるといっても過言ではないであろう。そこで質問するが、窓口の集約化は「親切な窓口」という標語と矛盾しないのか政府の見解如何。
二 「楽しい旅行をつぎつぎと企画します。」については、豪華列車「四季島」や不定期の企画列車カシオペアの運行など富裕層を対象にした企画は充実していると承知している。他方で、「ブルートレインなど長距離列車もなくなりません。」については、ほとんどの長距離列車は運行をやめて久しい。これは新幹線など高速鉄道の開業や延伸などによるものであると承知している。しかしながら、かつて長距離列車が運行していた区間などであっても、たとえば、北陸新幹線を例にすれば、高崎駅から長野駅までを在来線で直通で移動することができなくなっている。在来線を廃線するのはたやすいことであるが、鉄道開通までに至るまでの土木工事にかかる先人の苦労を考えれば、この鉄道インフラを放棄するのは慎重にも慎重を期するべきと考える。また、石破総理の政治信条であられる「地方創生」にあっては、鉄道インフラの維持は大きな課題であると考える。東日本旅客鉄道は、今般、久留里線の一部区間の廃線の方針を表明したときく。当該廃線区間の開業は一九三六年であり、地域住民のために先人たちが切り開いた貴重な遺産である。この遺産をこのようにいとも簡単に放棄するのは、「地方創生」という観点から鑑みるに地方活性化の足かせになるのではないかと危惧するものである。国有鉄道でなく民営化された鉄道会社である以上、利益を優先するのは致しかたないが、鉄道の公共性を鑑みるに、廃線の意思決定がこれ以上広がっていくことに国家としての在り方として非常に大きな危機感をもつものである。「ローカル線もなくなりません」も含めて、昨今の地方路線廃線の流れについての政府の見解如何。
三 最後に、英国では、鉄道事業の再国有化を始めていると聞くところだが、国民の財産ともいえる鉄道インフラを保つために、我が国においても鉄道事業の再国有化を検討してもよいのではないかと考えるが、政府の見解如何。
右質問する。