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令和六年十二月十七日提出
質問第一〇一号

量子コンピュータの発達によるハッキングリスクの脅威拡大の懸念に関する質問主意書

提出者  松原 仁




量子コンピュータの発達によるハッキングリスクの脅威拡大の懸念に関する質問主意書


 本年九月二十五日に発表されたG7サイバー・エキスパート・グループの声明や、金融庁の「預金取扱金融機関の耐量子計算機暗号への対応に関する検討会報告書」(以下、報告書という。)は、量子コンピュータの進展による金融システムをはじめとする広範な分野へのセキュリティリスクを指摘している。これにより、特に公開鍵暗号方式がもつ脆弱性が問題視されている。
 現在の金融システムにおける暗号技術は多くのシステムに深く組み込まれており、その移行には長期的な計画と莫大なコストが必要とされている。加えて、生成AI技術の発展が開発スピードを加速させる中、量子コンピュータの実用化が従来の予測よりも早まる可能性が高まっている。そのため、量子コンピュータの実用化に備える対策を早急に進める必要がある。
 量子コンピュータの実用化は、国家や社会に大きな恩恵をもたらす一方で、深刻なサイバーセキュリティリスクを引き起こす可能性がある。公開鍵暗号方式をはじめとする現在の暗号技術の脆弱性を克服し、金融システムの安定性を確保するため、政府の迅速かつ的確な対応が求められている。
 そこで、次のとおり質問する。

一 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)に関する事項について
 1 日本政府として、量子コンピュータによる公開鍵暗号方式のハッキングリスクへの対応計画があるか明らかにされたい。また、同計画があるのであれば、どのように進められているか明らかにされたい。
 2 前項のための官民連携を推進するために、NISCが担う役割と具体的な取組を明らかにされたい。
 3 1に関し、民間企業への支援策としての補助金制度や規制強化について、現状と今後の方針を明らかにされたい。
二 金融庁に関する事項について
 1 金融機関におけるハッキングリスクとその影響評価について、政府としてどのような評価を行っているか明らかにされたい。
 2 報告書で指摘されているように、量子コンピュータに対応した暗号技術(耐量子計算機暗号)の移行に十年を要する可能性があるとされている。政府として、この移行について、期限を設けた工程等を検討しているか明らかにされたい。
 3 地方銀行や信用組合など、小規模金融機関が前項に対応していくには、過大な負担が予想されるところであるが、政府として、支援する用意はあるか明らかにされたい。
三 総理大臣に関する事項について
 1 同検討会報告書で指摘されている「旗振り役」として、司令塔となる組織に関し、具体的な予定があれば明らかにされたい。
 2 耐量子暗号への対応は、他国の規制と平仄を合わせた整合性が重要である。日本政府として、国際標準化や外国政府との協議をどのように進め、我が国のリーダーシップをどのように発揮していく方針か明らかにされたい。
 
 右質問する。

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