答弁本文情報
令和六年十二月二十七日受領答弁第一〇一号
内閣衆質二一六第一〇一号
令和六年十二月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員松原仁君提出量子コンピュータの発達によるハッキングリスクの脅威拡大の懸念に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員松原仁君提出量子コンピュータの発達によるハッキングリスクの脅威拡大の懸念に関する質問に対する答弁書
一の1について
御指摘の「ハッキングリスクへの対応計画」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、府省横断的な計画である「サイバーセキュリティ二〇二四(二〇二三年度年次報告書・二〇二四年度年次計画)」(令和六年七月十日サイバーセキュリティ戦略本部決定)において、耐量子計算機暗号に関連する最新の技術的知見に関しては、「量子コンピュータ技術の開発進展に伴い、現在利用されている公開鍵暗号方式等の安全性の低下が懸念される中、耐量子計算機暗号(PQC)の研究及び標準化活動が活発化していることから、デジタル庁、総務省、経済産業省、NICT及びIPAにおいて、CRYPTRECプロジェクトを通じて、二千二十二年度に策定・公開した「CRYPTREC暗号技術ガイドライン(耐量子計算機暗号)」を二千二十四年度に改定する」とされており、有識者による会合を開催するなど、関係省庁において検討を進めている。
一の2について
御指摘の「前項のための官民連携」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、国は、サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号。以下「法」という。)第十六条の規定に基づき、国、地方公共団体、法第三条第一項に規定する重要社会基盤事業者、法第七条に規定するサイバー関連事業者等の多様な主体が相互に連携してサイバーセキュリティに関する施策に取り組むことができるよう必要な施策を講ずるものとされており、内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターは、こうしたサイバーセキュリティに関する施策の推進に当たっての総合調整等を行っている。例えば、これらの主体が参加する意見交換会等を開催している。
一の3について
御指摘の「1に関し、民間企業への支援策としての補助金制度や規制強化」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、実用的で大規模な量子コンピュータが実現することによる既存の暗号技術の危殆化に伴うリスクへの対応のみを目的とする民間企業に対する補助金や規制はなく、今後については、必要に応じて関係省庁で連携しながら対応を検討してまいりたい。
二の1について
お尋ねの「ハッキングリスクとその影響評価」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、実用的で大規模な量子コンピュータが実現することによる既存の暗号技術の危殆化により、金融機関が保有する情報の機密性が損なわれるリスクや、当該リスクが発現することによって金融システムの安定及び金融機関の利用者の保護が確保されない可能性等が想定される。
二の2について
お尋ねの「期限を設けた工程」については、御指摘の報告書において、「金融分野として移行ロードマップを策定し、社会全体で共有することで、移行状況の実態を把握する取組みは有効である」とされていることを踏まえ、政府としては、当該ロードマップについて、現在、関係団体とも連携して、検討しているところである。
二の3について
お尋ねの「支援」については、御指摘の報告書において、耐量子計算機暗号に係る対応については、「今後、当局や業界団体を含め、業界として協力して取り組む課題を抽出し、検討する枠組みの構築等が課題である」とされていることを踏まえ、金融庁としては、今後、必要な対応について検討してまいりたい。
三の1について
お尋ねについては、現時点で決まっていない。
三の2について
耐量子計算機暗号に係る対応については、諸外国の動向も踏まえた対応が重要と考えており、外国の政府や関係団体との連携等の在り方について、必要に応じて関係省庁で連携しながら検討してまいりたい。