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令和七年一月二十七日提出
質問第一四号

「海洋大国日本」の実現のため排他的経済水域を守り抜くことに関する質問主意書

提出者  松原 仁




「海洋大国日本」の実現のため排他的経済水域を守り抜くことに関する質問主意書


 中華人民共和国(中国)外交部の毛寧報道官は、昨年十二月二十七日に開かれた記者会見で、沖縄県与那国島南方の我が国の排他的経済水域内で新たに発見された中国のブイについて、「気象観測が目的で合法だ」と主張し、我が国の撤去要求を拒否する姿勢を示した。その二日前に、岩屋毅外務大臣は、中国の王毅外交部長との会談で、ブイ即時撤去を求めたばかりだった。海洋法に関する国際連合条約(平成八年条約第六号)の規定を歯牙にもかけない中国の無法ぶりは、全くもって言語道断であると考える。
 本職は長年、「海洋大国日本」論を提唱し、その実現のための政策を主張してきた。我が国は、世界で第六位という広大な排他的経済水域を持ち、そこに、我が国が使うガスエネルギーの一世紀分以上に相当するといわれるメタンハイドレート、レアアース等、膨大な海洋エネルギー・鉱物資源が眠ると言われている。探査及び生産の技術を発展させ経済性を確保することで、日本国民は、莫大な富を得られると考える。
 海洋大国という国家のグランドデザインを示し、その実現のために国を挙げて取り組むことは、国の夢や情熱をかき立て、我が国全体に大いなる活力をもたらすと考える。米国のジョン・F・ケネディ大統領(当時)は、昭和三十六年五月二十五日、米国連邦議会上下両院合同会議において、一九六〇年代が終わるまでに人間を月に上陸させて安全に帰還させるという当時としては途方もない目標を打ち出した。その後、「アポロ計画」を成功させる過程で、米国社会は沸き立ち、科学技術は飛躍的に進歩し、国力は非常に高まった。政治には、人々の心を熱くさせるロマンが必要であると考える。
 海洋大国という国家ビジョンを実現するためには、不法行為を繰り返して既成事実を積み重ねて他国の主権を奪っていく中国のいわゆるサラミ・スライス戦術から、宝の海である我が国の排他的経済水域を守り抜く必要があると考える。また、フィリピン共和国は、令和五年九月、南シナ海のスカボロー礁に中国が設置したブイを撤去した。政府は、フィリピン共和国の毅然たる姿勢に学ぶべきであると考える。
 そこでお尋ねする。

一 中国外交部の毛寧報道官が、昨年十二月二十七日、我が国の排他的経済水域内の中国のブイは、「気象観測が目的で合法だ」と述べたことについて、政府の見解如何。
二 中国の王毅外交部長は、同月二十五日、ブイの即時撤去を求めた岩屋毅外務大臣に対して、どのように反応したか、お尋ねする。
三 岩屋毅外務大臣は、同日、中国の王毅外交部長に対して、中国側が我が国の排他的経済水域内のブイを即時撤去しない場合は、我が国が撤去する旨を伝えたか。もしも、その旨伝えていない場合は、いかなる理由から伝えなかったか、明らかにされたい。
四 岸田文雄総理大臣(当時)は、令和五年十一月二十二日に開かれた衆議院予算委員会で、我が国の排他的経済水域内の中国のブイについて、撤去を含めて検討すると答弁した。
 1 答弁から一年以上が経過し、検討する時間は十二分にあったはずだが、いまだ撤去が行われていないのはいかなる理由によるものか。
 2 撤去の遅れは、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くとの政府の決意に疑念を抱かせるもので、国家安全保障に極めて有害であると考えるが、政府の見解如何。
五 昨年三月十三日の外務委員会において、本職は上川陽子外務大臣(当時)に対して、尖閣諸島周辺のわが国の排他的経済水域内に中国により設置されたブイの撤去を求めた。上川陽子大臣は、回収に関する国際法上の基準が不明確であり、その中で総合的に政策的判断となる旨、有効な対応を適切に実施していく。具体的な時期を明示することはできない旨答弁し、ブイの即座の撤去について肯定しなかった。
 1 本職は当該ブイについて違法な構造物であり速やかに撤去すべきと認識するが、政府の見解如何。
 2 政府が撤去や回収の実行を判断する根拠となる国内法が未整備であるならば整備が必要であると考えるが、認識を明らかにされたい。
六 政府の対中姿勢が、中国に誤ったメッセージを送っていることに、多くの日本国民が憤慨している。本職は、とりわけ、政府が自衛隊を中国人民解放軍との部隊間交流及び日中佐官級交流事業に参加させていることが、我が国が排他的経済水域内の中国による不法行為を重視していないとの誤解を生むことを、深く危惧している。部隊間交流及び日中佐官級交流事業への自衛隊の参加は、中国が我が国の排他的経済水域内のブイを全て撤去するまで中止すべきと考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。

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