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令和七年三月十三日提出
質問第九八号

選択的夫婦別姓制度の導入に関する質問主意書

提出者  屋良朝博




選択的夫婦別姓制度の導入に関する質問主意書


 「婚姻の自由」や「氏名の変更を強制されない自由」は全ての個人が享有すべきであるところ、民法第七百五十条が婚姻に際し夫婦の一方に改姓を義務付けていることにより、結果として多くの女性が改姓を事実上強制され、様々な場面で改姓による不利益を被っているとされる。この現実は人権問題にほかならず、速やかに是正するために、誰もが改姓するかどうかを自ら決定して婚姻できるよう、選択的夫婦別姓制度を導入すべきであると考える。これまで、日本弁護士連合会や一般社団法人日本経済団体連合会など多くの団体において導入を求める決議や提言等がされている。二〇二四年十二月十八日には、沖縄弁護士会においても早期の導入を求める決議が可決されており、人権尊重、女性活躍等の観点から選択的夫婦別姓制度の導入を求める声はますます大きくなっている。
 以下、選択的夫婦別姓制度の導入に関する政府の見解について質問する。

一 民法及び戸籍法の規定により、慣れ親しんだ姓を改めて婚姻するか、婚姻を諦めて事実婚にするかの二者択一を迫られた結果、改姓によりアイデンティティの喪失感に苦しんでいる事案が多数指摘されている。
 1 この現状について、政府は人権侵害であるとの認識があるのか、見解を示されたい。
 2 人権侵害か否かにかかわらず、アイデンティティの喪失感に苦しんでいる方々に対してどのような救済を行っているのか、また、今後どのような救済を行う予定があるのか、政府の見解を示されたい。
二 令和四年版男女共同参画白書では、事実婚に関して「事実婚を選択している人は成人人口の二〜三パーセントを占めていることが推察される」との推計が示されている。さらに、内閣府男女共同参画局「人生百年時代の結婚と家族に関する研究会」(二〇二一年十一月三十日)の資料三「日本社会における事実婚の実態」によれば、事実婚を選んだ理由として「夫婦別姓を通すため」と回答した者が女性は約九割、男性は六割を超えているとの調査結果も紹介されている。政府はこうした、選択的夫婦別姓制度がないことを理由に、法律婚を諦めて事実婚を選択している人がいる状況についてどのように認識しているのか、見解を示されたい。
三 厚生労働省が実施する「人口動態調査」によれば、いまだに九十四・五パーセントの女性が婚姻に際して改姓している(二〇二三年調査)。過去二十年間をみても高止まりしており、ほとんど改善していない(二〇〇三年調査では九十六・五パーセント)。さらに、本年二月二十二日付けの毎日新聞では、選択的夫婦別姓制度の導入を求める集団訴訟の弁護団が同月二十一日に公表した調査結果として、結婚する際に夫婦のどちらが改姓するかについて、女性が改姓する場合八十パーセントの夫婦が話合い自体をしていないことが報じられた。政府には、形式的な平等だけでなく、実質的な男女間の不平等を是正するために対策を講じていない理由は何か。また、対策を講じる責任があると認めているか、政府の見解を示されたい。
四 婚姻の効力は、婚姻の届出により生じるとされており(民法第九百三十九条)、婚姻の届出は夫婦が同姓でないと受理されない(戸籍法第七十四条)ことから、夫婦同姓は婚姻の効力発生の要件であるという認識で相違ないか。
五 国際連合の女子差別撤廃委員会から、これまで四回にわたり選択的夫婦別姓制度の導入を求める勧告を受けている。
 1 夫婦別姓を認めず、実態として多くの女性が改姓を強いられている民法第七百五十条の規定について、女性差別につながるものであると認識しているのか。
 2 女子差別撤廃条約の締結国として、我が国には同委員会の勧告には誠実に対応する義務があると考えるが、これまで三回の勧告を受けても民法改正が実現せず、四回目の勧告を受けた。なぜ今回も勧告に対処しないのか、政府の見解を示されたい。
 3 過去三回の勧告について、制度を導入せず勧告に従わなかった理由をそれぞれ示されたい。
 4 昨年十月の同委員会の勧告では、民法改正はフォローアップ報告の対象とされている。フォローアップの期限である二年以内に、政府として民法改正法案を国会に提出すべきではないかと考えるが、政府の認識を示されたい。

 右質問する。

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