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答弁本文情報

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令和七年三月二十五日受領
答弁第九八号

  内閣衆質二一七第九八号
  令和七年三月二十五日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員屋良朝博君提出選択的夫婦別姓制度の導入に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員屋良朝博君提出選択的夫婦別姓制度の導入に関する質問に対する答弁書


一及び三について

 お尋ねの「どのような救済」並びに「実質的な男女間の不平等を是正するために対策を講じていない理由」及び「対策を講じる責任」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十七年十二月十六日最高裁判所大法廷判決(以下「最高裁平成二十七年判決」という。)において、「婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえない」、民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百五十条の規定(以下「本件規定」という。)は、「夫婦が夫又は妻の氏を称するものとしており、夫婦がいずれの氏を称するかを夫婦となろうとする者の間の協議に委ねている」、「夫婦となろうとする者の間の個々の協議の結果として夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占めることが認められるとしても、それが、本件規定の在り方自体から生じた結果であるということはできない」として、夫婦が婚姻の際に定めるところに従い夫又は妻の氏を称すると定める本件規定は憲法第十三条及び第十四条第一項の規定に違反するものではないとの判示がされていると承知しており、その上で、政府においては、婚姻に伴って氏を改める者が不便さや不利益を感じることのないよう、旧姓の通称使用の拡大に取り組むこととしている。

二について

 御指摘の「選択的夫婦別姓制度がないことを理由に、法律婚を諦めて事実婚を選択している人がいる状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、最高裁平成二十七年判決において、「婚姻によって氏を改める者にとって、そのことによりいわゆるアイデンティティの喪失感を抱いたり、婚姻前の氏を使用する中で形成してきた個人の社会的な信用、評価、名誉感情等を維持することが困難になったりするなどの不利益を受ける場合があることは否定できない」、「夫婦となろうとする者のいずれかがこれらの不利益を受けることを避けるために、あえて婚姻をしないという選択をする者が存在することもうかがわれる」との判示がされていると承知しており、政府の認識もこれと異なるものではない。

四について

 民法第七百三十九条第一項は、婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる旨を定め、同法第七十四条は、婚姻をしようとする者は、夫婦が称する氏を届書に記載して、その旨を届け出なければならない旨を定めており、夫婦が称する氏が記載されていない婚姻の届書は、受理することができないこととなるところ、最高裁平成二十七年判決において、本件規定は、「婚姻の効力の一つとして夫婦が夫又は妻の氏を称することを定めたものであり、婚姻をすることについての直接の制約を定めたものではない」との判示がされていると承知している。

五の1について

 民法第七百五十条は、夫又は妻の氏のいずれを称するかを夫婦の選択に委ねており、男女の平等の理念に反するものではないと考えている。

五の2及び3について

 お尋ねの「勧告に対処しない」及び「制度を導入せず勧告に従わなかった理由」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、選択的夫婦別氏制度も含め、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進めていくこととしているところであって、御指摘の女子差別撤廃委員会に対しても、このような我が国の立場に理解が得られるように説明に努めたところである。

五の4について

 夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方については、国民の間に様々な意見があり、より幅広い国民の理解を得る必要があると考えられることから、政府において法律案を提出するか否かについては、これらの国民各層の意見や国会における議論の動向等を注視しながら、総合的に検討する必要があるものと考えている。

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