質問本文情報
令和七年三月十四日提出質問第一〇九号
インターネット上の不適切な広告に関する質問主意書
提出者 八幡 愛
インターネット上の不適切な広告に関する質問主意書
インターネット広告は、デジタル経済の発展において極めて重要な役割を果たし、多くの企業や個人がその恩恵を受けている。一方で、その急速な拡大により、不適切な広告が配信される事例も増加していると考える。
未成年者が利用するサイトや一般の生活情報サイトにおいて、アダルト広告や、虚偽の健康食品の広告など詐欺的な広告が意図せず表示されるケースが多発し、社会的な懸念が増していると考える。
また、近年では、広告の配信主体が不明確なケースも増えており、責任の所在が曖昧なまま、不適切な広告が拡散される事例も見受けられる。こうした状況を放置すれば、日本のインターネット広告市場の信頼性が損なわれるだけでなく、経済的・社会的リスクの増大につながる可能性があると考える。
一方で、EUでは「デジタルサービス法(DSA)」に基づき、未成年者向けサイトでのターゲティング広告を禁止し、広告の透明性を確保する義務をプラットフォーム事業者に課している。また、韓国では、広告の透明性向上のため、広告主と配信事業者の情報開示を義務付けている。
しかし、日本においては、未成年者保護を目的とした明確な法規制は存在せず、広告業界の自主規制に依存しているのが現状である。また、未成年者に限らず、一般の生活情報サイトにおける混乱にも一定の歯止めが必要であると考える。
こうした状況を踏まえ、政府の認識と今後の対応について、以下の事項について質問する。
一 政府の現状認識と不適切な広告の相談実態について
1 政府は、インターネット広告における不適切な広告の現状をどのように認識しているか。
2 過去五年間において、独立行政法人国民生活センターへ、どの程度の苦情が寄せられているか。苦情の件数、内容に関し、政府の把握するところについて、それぞれ可能な限り明らかにした上で、政府の対応状況を示されたい。
3 過去五年間において、政府が不適切な広告に対して行った行政指導の件数、業者名、および具体的な指導内容をそれぞれ可能な限り示されたい。
4 3に関し、行政指導を受けた業者の再違反率はどの程度か示されたい。
二 現行の法規制の適用状況とその実効性について
1 政府は、インターネット広告の不適切な配信を規制するために、以下の法律をどのように運用しているか。それぞれの適用事例を可能な限り示されたい。
ア いわゆる景品表示法
イ いわゆる特定商取引法
ウ いわゆる電気通信事業法
エ いわゆる児童ポルノ禁止法
2 前記の法律に基づき、過去五年間において、政府が不適切な広告に対して行った具体的な指導・処分の件数、内容、および効果についてそれぞれ可能な限り説明されたい。
3 政府は不適切な広告に関する通報窓口を設置しているか。設置している場合、その窓口の名称、および対応件数をそれぞれ可能な限り示した上で、消費者が通報した後、広告が削除されるまでの平均日数を示されたい。
4 国民が不適切な広告を迅速に報告し、対応を求める「広告一一〇番」制度を新たに設置する考えはあるか。あるのであれば、対応を迅速化するためにどのような体制を整備するのか。
三 民間の自主規制の実効性について
1 一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)などの業界団体が策定した自主規制のガイドラインは、政府の監督下にあるか。あるのであれば、その実効性を政府はどのように評価しているか。
2 自主規制の実効性を検証するため、政府が業界団体と連携して実態調査を行う考えはあるか。
四 今後の規制強化と対策について
1 EUでは未成年者向けサイトにおけるアダルト広告表示を法律で禁止している。日本においても、同様の規制を導入する考えはあるか。
2 繰り返し違反を行う広告業者に対する罰金制度の導入や、一定回数以上の違反を行った業者に対し、営業停止命令を出す制度を導入する考えはあるか、政府の見解を示されたい。
3 プラットフォーム事業者に対し、不適切な広告の削除等を義務付ける法制度を導入する考えはあるか。
4 EUでは、ターゲティング広告のいわゆるアルゴリズムの透明性を確保するため、広告配信ロジックの公開を義務化している。日本においても、同様の規制を導入する考えはあるか。
右質問する。