答弁本文情報
令和七年三月二十八日受領答弁第一〇九号
内閣衆質二一七第一〇九号
令和七年三月二十八日
内閣総理大臣 石破 茂
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員八幡愛君提出インターネット上の不適切な広告に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員八幡愛君提出インターネット上の不適切な広告に関する質問に対する答弁書
一の1について
お尋ねの「不適切な広告」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、インターネット上に、例えば、御指摘の「アダルト広告や、虚偽の健康食品の広告など詐欺的な広告」が流通していることは認識している。
一の2について
お尋ねの「苦情」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、独立行政法人国民生活センターが運営する全国消費生活情報ネットワーク・システムに各地の消費生活センターから令和七年三月十六日までに「表示・広告」として登録された相談件数は、インターネット広告に関するものも含め、令和元年度が六万五千五百九件、令和二年度が七万七千八百九十件、令和三年度が七万百六十二件、令和四年度が八万千六百四十一件及び令和五年度が七万八千四百九十一件であり、例えば、化粧品、健康食品等のインターネット広告に関する相談があるものと承知している。登録された相談に関し、関係法令に違反する疑いがある場合には、関係省庁において適切に対応している。
一の3並びに二の1及び2について
お尋ねの「不適切な広告」及び「不適切な配信」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号。以下「景品表示法」という。)においては、インターネット広告に関する事案も含め、景品表示法第五条の規定に違反した事業者に対し、令和元年度に四十件、令和二年度に三十三件、令和三年度に四十一件、令和四年度に四十一件及び令和五年度に四十四件の景品表示法第七条第一項の規定に基づく行政処分を行うとともに、景品表示法第五条の規定に違反するおそれがある事業者に対し、令和元年度に百八十八件、令和二年度に百六十六件、令和三年度に百五十八件、令和四年度に百三件及び令和五年度に八十二件の行政指導を行った。
また、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号。以下「特定商取引法」という。)においては、インターネット広告に関する事案も含め、特定商取引法第十四条第一項若しくは第二項、第十五条第一項、第二項若しくは第三項又は第十五条の二第一項若しくは第二項の規定に基づき、特定商取引法第二条第二項に規定する通信販売に係る販売業者又は役務提供事業者(以下「販売業者等」という。)に対し、令和元年度に五件、令和二年度に三十四件、令和三年度に六件、令和四年度に零件及び令和五年度に七件の行政処分を行うとともに、特定商取引法第十一条、第十二条又は第十二の六第一項若しくは第二項の規定に違反するおそれがある販売業者等に対し、令和元年度に一件、令和二年度から令和四年度までにそれぞれ零件及び令和五年度に六件の行政指導を行った。
電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)及び児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)においては、インターネット広告に関して、その内容に照らして差止めを命ずる等の旨の規定はない。
先に述べた景品表示法又は特定商取引法に基づく行政処分については、当該行政処分を行った省庁のウェブサイトでその内容を公表しており、また、先に述べた景品表示法又は特定商取引法に係る行政指導については、お尋ねの「業者名」及び「具体的な指導内容」を明らかにすることは、事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えており、お答えすることは差し控えたい。お尋ねの「効果」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、当該行政処分又は行政指導後の状況については、法違反が是正される等、一般的には、当該事業者において一定の対応が行われているものと認識している。
一の4について
お尋ねの「再違反率」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、一の3並びに二の1及び2についてで述べた行政指導については、同一事業者が同一内容の行政指導を再度受けた件数やその件数全体に占める割合を集計していないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。
二の3について
お尋ねの「不適切な広告」及び「通報窓口」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、景品表示法第五条の不当な表示に該当するおそれがある表示に係る情報については、消費者庁等が運営する「景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口」で受け付けている。お尋ねの「対応件数」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、景品表示法第五条の不当な表示に該当するおそれがある表示に係る情報も含め、当該窓口に寄せられた情報提供の件数は、令和五年度で一万八千百十四件である。また、当該窓口について、お尋ねの「広告が削除されるまでの平均日数」については、「広告が削除される」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、景品表示法は、一の3並びに二の1及び2についてで述べたとおり、違反行為の差止めを命ずるものであり、必ずしも広告そのものの削除を命ずるものではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
二の4について
お尋ねの「不適切な広告」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、「「広告一一〇番」制度」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。なお、二の3についてで述べたとおり、景品表示法においては、消費者庁等が運営する「景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口」で景品表示法第五条の不当な表示に該当するおそれがある表示に係る情報を受け付けているなど、現行の関係法令の下で当該関係法令に違反する広告について適切に対応している。
三について
お尋ねの「監督」、「実効性」及び「実態調査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「自主規制のガイドライン」について、政府として許認可等を行っていない。また、御指摘の「業界団体」の下での取組については、その自主性を尊重する観点から、現時点において、調査を行うことは考えていない。
四の1について
御指摘のように「EUでは未成年者向けサイトにおけるアダルト広告表示を法律で禁止している」とは認識していないため、それを前提としたお尋ねにお答えすることは困難である。
四の2について
お尋ねの「繰り返し違反を行う広告業者に対する罰金制度」及び「一定回数以上の違反を行った業者に対し、営業停止命令を出す制度」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、広告に関係する法令の違反者に対する措置については、例えば、景品表示法においては、景品表示法第四十八条各号に該当する場合には、百万円以下の罰金に処することとされている。また、特定商取引法においては、特定商取引法第十五条第一項の規定により、販売業者等が特定商取引法第十一条等の規定に違反等をした場合において、通信販売に係る取引の公正及び購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認められた際等に、業務停止命令を行うことができる旨規定されているなど、各法令において、当該法令に違反した場合に必要な対応を行うことができるよう規定が整備されていると考えている。
四の3及び4について
お尋ねの「不適切な広告」及び「広告配信ロジックの公開」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、インターネット広告については、現行の関係法令の下で、各省庁において必要に応じ行政処分等の対応をしていると考えていることから、現時点において、新たな規制を設けることは考えていない。