質問本文情報
令和七年四月三日提出質問第一三四号
在留外国人の国民年金保険料の納付率がわずか四十三・四%であることに関する質問主意書
提出者 竹上裕子
在留外国人の国民年金保険料の納付率がわずか四十三・四%であることに関する質問主意書
令和六年五月十五日の衆議院厚生労働委員会において、武見厚生労働大臣(当時)は、日本国籍者と外国籍者の社会保障の給付と負担の実態の把握について、これまで、日本人、外国人を区分した統計を取ってきていないとし、どのようなデータを把握すべきかという点について丁寧に検討していく必要がある旨を答弁している。
また、令和六年八月十七日付日本経済新聞朝刊において、日本に暮らす外国人をめぐり、厚生労働省が、年金や医療などの保険料の納付実態を把握する初めての調査を計画している旨の報道がされている。
国民年金保険料の納付率に関しては、厚生労働省年金局が公表した、令和五年度の国民年金の加入・保険料納付状況(令和六年六月)で、令和五年度の最終納付率(令和三年度分保険料)は八十三・一%とされている。
その一方で、在留外国人の国民年金保険料の納付率については、日本年金機構が作成した、日本年金機構の令和六年度の取組状況について(令和六年十二月二十五日第七十六回社会保障審議会年金事業管理部会提出資料)で、「年金局の集計では、外国人の国民年金保険料の令和五年度の最終納付率(令和三年度分保険料)は四十三・四%」とされている。
昨年、厚生労働省が公表した令和六年財政検証では、外国人の入国超過数を人口推計の前提にして見通しを試算しており、外国人を年金の支え手として期待していることがうかがえるが、国民年金保険料の納付率が約四十三%と半数にも満たない状況では、もはや国民年金制度が崩壊しているのではないかと評価せざるを得ないと考える。
我が国における年金制度の持続可能性を確保していくためには、外国人からの確実な保険料徴収や外国人の年金制度の在り方の検討も含めて、早急な対策を取る必要があると考える。
これまでの私の取組である、外国人の国民健康保険料等の滞納率が日本人の三ないし四倍に上ることを指摘した質問主意書(令和六年十二月十三日提出)や外国人による運転免許証の切替制度悪用を指摘した質問主意書(令和七年二月十三日提出)と同様に、本質問主意書は、急増する在留外国人に対し、日本の法制度が対応できていない実態を明らかにし、日本国民が被っている不利益を回復するために、日本保守党所属議員として政府へ移民政策の是正を求めるものである。
これらを踏まえて、以下質問する。
一 前記の新聞報道で示されている、年金や医療などの保険料の納付実態を把握するための調査の検討状況について
1 調査の実施主体、実施時期、対象者及び内容をそれぞれ可能な限り具体的にお示し願いたい。
2 前記の「年金局の集計では、外国人の国民年金保険料の令和五年度の最終納付率(令和三年度分保険料)は四十三・四%」との調査結果は、前記の武見厚生労働大臣(当時)の答弁や前記の新聞記事に掲載された実態把握の検討結果に基づいて行われたものであるのか、両者の関係をお示し願いたい。
二 在留外国人の国民年金保険料の未納の原因がいかなるものであるかについての政府の見解をお示し願いたい。
三 在留外国人の国民年金保険料の令和五年度の最終納付率が四十三・四%であることについて、日本年金機構の担当者は、前記の審議会において、納付率が低い水準にとどまっていると考えている旨を発言している。
1 このことについて、政府としての評価及び見解をそれぞれお示し願いたい。
2 この数値を改善すべきものと評価している場合、外国人の国民年金保険料の納付率向上のために政府が必要と考える取組を、納付率の数値目標及び達成時期とあわせてそれぞれお示し願いたい。
四 国民年金の第一号被保険者について、外国人の保険料納付率が最も低い三都道府県並びに当該都道府県における直近の年度の国籍別及び在留資格別の外国人の人数及び保険料納付率をそれぞれ可能な限りお示し願いたい。
五 国民年金保険料を未納のまま帰国した外国人について、直近年度の人数及び帰国した外国人全体に対する割合をそれぞれ可能な限りお示し願いたい。
六 在留外国人が我が国の年金制度から脱退する際に支給される脱退一時金の金額は、そもそも多くても納付した保険料の半分であり、例えば年金保険料の支払い期間が六か月である場合と十一か月の場合とで支給額が変わらないなど、当該外国人が支払った額に対応していないと考える。これに対して、例えば中国では、日本人の企業従業員は同国の年金制度に加入することが義務付けられているものの、年金受給資格期間に満たない加入者については個人負担分である「個人養老金口座」残高の一括返金が認められると認識している。このように我が国と外国とで年金制度を脱退する際の扱いには不平等が生じていると考える。このことが、外国人の年金保険料を支払う意欲を失わせ、滞納の一因となっているのではないかとも思われる。そこで、外国人の年金保険料納付を促すためにも現行の脱退一時金の支給額を見直す必要があるとも思われるが、政府の見解をお示し願いたい。
七 直近の年度において、我が国が社会保障協定を締結している国の数並びに締結していない国で当該国出身の在留外国人の多い国(上位三か国)及び人数をそれぞれ可能な限りお示し願いたい。
八 現状のままでは、年金保険料を支払わないまま我が国で高齢者となり低年金又は無年金のために生活保護を受給することになる外国人が増加していくことが危惧されるところ、直近の年度において、生活保護受給者に占める外国人の割合及び低年金又は無年金により生活保護を受けている外国人の数をそれぞれ可能な限りお示し願いたい。
九 直近年度において、国民年金保険料の未納者及び滞納者並びに生活保護を受給している外国人であって、「経営・管理」の在留資格で我が国に入国した者の数を可能な限りお示し願いたい。
十 低年金又は無年金の外国人に対して生活保護を行う必要性があるのかについて、法的根拠も含めて政府の見解をお示し願いたい。
十一 外国人の国民年金保険料の納付率がこれほど低い現状に鑑みれば、現在、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の対象となっている外国人について、同法の対象から外した上で、それらの外国人を対象とした新たな年金制度を創設すべきと考える。このような制度設計のメリット及びデメリットについて、政府の見解をそれぞれお示し願いたい。
右質問する。