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令和七年四月十五日受領
答弁第一三四号

  内閣衆質二一七第一三四号
  令和七年四月十五日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員竹上裕子君提出在留外国人の国民年金保険料の納付率がわずか四十三・四%であることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員竹上裕子君提出在留外国人の国民年金保険料の納付率がわずか四十三・四%であることに関する質問に対する答弁書


一について

 御指摘の「調査」の「対象者」及び「内容」並びに「新聞記事に掲載された実態把握の検討結果に基づいて行われたもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「年金や医療などの保険料の納付実態を把握するための調査」については、令和六年五月十五日の衆議院厚生労働委員会において、武見厚生労働大臣(当時)が「どのようなデータを把握すべきかという点については、その目的、さらに、調査にかかる自治体の負担などに配慮もしながら、法務省とも連携をして、こうした調査の在り方について丁寧に検討していくことが必要だと私は考えます。」と答弁しているところ、当該「調査」として、御指摘の年金に係る「調査」については、厚生労働省において、同年十一月一日現在の状況として、国民年金の加入記録を有する外国人を対象として、国民年金保険料の納付状況の実態を集計したものであり、また、御指摘の医療に係る「調査」については、令和七年四月三日の参議院厚生労働委員会において、政府参考人が「外国人の滞納状況の把握については、現在その滞納状況を実際に把握できている自治体とできていない自治体があるところでございますので、まずはその把握が可能な自治体、こちらのところについてよく聞き取りを行って、その結果を踏まえた分析を速やかに進めていきたい、その上で更に全体的な調査というのもしっかりやっていきたい、このように考えております。」と答弁したとおり、現在、同省において、国民健康保険の加入記録を有する外国人を対象とした「調査」に向けて、地方自治体等と調整を行いながら、必要な検討を行っているところであり、お尋ねの「実施時期」については、現時点で具体的にお答えする段階にない。

二について

 在留外国人の状況は様々であり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、例えば日本語による意思疎通が困難であること等により国民年金制度についての理解が十分でなく、国民年金保険料を納付する義務が認識されていないことや、国民年金保険料の免除制度等が利用されていないこと等が要因であると考えている。

三の1について

 お尋ねについて、御指摘の「審議会」において、日本年金機構から「八十三・一パーセントという全体納付率の中で、今回、外国人の納付率が四十三・四パーセントということでございますので、低い水準にとどまっていると考えております」との「発言」があったところ、政府としても同様に考えている。

三の2について

 お尋ねについては、日本年金機構法(平成十九年法律第百九号)第三十三条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定めた令和六年四月一日から令和十一年三月三十一日までを期間とする中期目標において、国民年金第一号被保険者全体の「国民年金保険料の納付率については、平成二十四年度から連続して上昇しており、令和四年度に初めて八十パーセント台を達成したところであるが、納付率の更なる向上を図ること」、うち在留外国人については「外国人が未納者とならないよう市区町村、出入国在留管理庁、文部科学省及び外国人支援・交流団体等と連携した制度周知を厚生労働省とともに行い、対象者を分析し、納付督励、免除勧奨の取組を実施すること」と示しているところ、これに基づき、日本年金機構において、同法第三十四条第一項の規定に基づき同機構が定めた中期計画において、在留外国人を含む国民年金第一号被保険者全体のお尋ねの「納付率の数値目標」について、「現年度納付率については、行動計画に基づき、効果的・効率的に収納対策を実施し、中期目標期間中に八十パーセント台前半を目指す。また、国民年金保険料の最終納付率については、中期目標期間中に八十パーセント台後半を目指す」とした上で、在留外国人に係る「収納対策の具体的な取組」として「外国人については今後増加が見込まれることから、市区町村、出入国在留管理庁及び外国人支援・交流団体等と連携し、未納を防ぐための効果的な収納対策を実施する」とするとともに、同法第三十五条の規定に基づき同機構が定めた「日本年金機構令和七年度計画」においては、在留外国人を含む国民年金第一号被保険者全体のお尋ねの「納付率の数値目標」について、「令和五年度分保険料の最終納付率については、八十パーセント台半ば(前年度実績以上)を目指す」とした上で、「外国人納付率の改善等に向けて、」「機構ホームページやパンフレットの充実化により多言語対応等の環境を整備する」及び「本部・年金事務所においてそれぞれの関係機関と連携を図り、外国人に対する適用・収納対策を実施する」とし、各種の取組が行われているものと承知しているところであり、政府としては、引き続き、これらの取組が着実に実施されるよう、同機構に対して必要な指導等を行っていきたいと考えている。

四について

 御指摘の「外国人の保険料納付率」については都道府県別に把握しておらず、また、調査を行って集計することは膨大な作業を要することなどから、お尋ねについてお答えすることは困難である。

五について

 お尋ねの「人数」及び「割合」については把握しておらず、また、調査を行って集計することは膨大な作業を要することなどから、お答えすることは困難である。

六について

 我が国の公的年金制度における脱退一時金については、外国人が保険料を負担したにもかかわらず老齢給付に結び付かないという問題について対応するための特例的な措置として、障害又は死亡という保険事故にも対応していることから保険料の納付が保険給付に結び付かないというわけではないものの、当該外国人本人の立場に配慮して例外的に、国民年金制度においては保険料負担額の二分の一に相当する額を基準とした額を、厚生年金保険制度においては事業主及び本人の保険料負担のうち本人の保険料負担相当分を基準とした額を支給するものである。こうした制度の趣旨を踏まえると、御指摘のように「現行の脱退一時金の支給額を見直す」ことは、慎重に検討する必要があると考えている。

七について

 お尋ねについて、我が国は、令和七年四月現在、社会保障協定を二十三か国との間で、それぞれ締結しており、また、我が国と社会保障協定を締結していない国のうち、在留外国人数の多い上位三か国及びその人数は、出入国在留管理庁が公表した「令和六年末現在における在留外国人数について」によれば、それぞれ、ベトナムが六十三万四千三百六十一人、ネパールが二十三万三千四十三人、インドネシアが十九万九千八百二十四人である。

八について

 お尋ねの「割合」及び「数」については把握していないが、世帯主が日本の国籍を有しない者であって生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)に基づく保護に準じた保護を受けている世帯(以下「外国人被保護世帯」という。)について言えば、令和五年度被保護者調査によると、同年度の同法に基づく保護又はこれに準じた保護を受けている世帯(以下「被保護世帯」という。)の合計の数は百六十五万四百七十八世帯、うち外国人被保護世帯の数は四万七千三百十七世帯であり、被保護世帯に占める外国人被保護世帯の割合は約二・八七パーセントとなっており、また、外国人被保護世帯が「低年金又は無年金により生活保護を受けている」かどうかについては、把握していない。

九について

 お尋ねの「数」については把握しておらず、また、調査を行って集計することは膨大な作業を要することなどから、お答えすることは困難である。

十について

 お尋ねについては、御指摘の「低年金又は無年金」であるか否かにかかわらず、令和七年三月十四日の参議院予算委員会において、福岡厚生労働大臣が「生活に困窮する外国人につきましては、人道上の観点から、日本人と同様に国内で制限なく活動できる永住者、定住者等の一定の在留資格を有する方について、行政措置として生活保護の取扱いに準じた保護を行うこととしています。現時点でも、その生活に困窮する外国人の方が現に存在しておられる現状を踏まえれば、外国人を保護の対象外とすることは人道上の観点から適当でないというふうに考えています。」と答弁したとおりである。

十一について

 国民年金制度は、社会連帯と相互扶助の理念等に基づき、国籍のいかんを問わず等しく保障を及ぼすべきであるという我が国の社会保険制度の基本的な考え方に照らし、外国人についても、適正な在留資格を有し、加入要件を満たしている場合には、原則として適用対象としているところであり、御指摘の「新たな年金制度を創設すべき」とは考えておらず、したがって、お尋ねの「制度設計」について、政府として具体的に検討していないことから、その「メリット及びデメリット」についてお答えすることは困難である。

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