質問本文情報
令和七年四月二十三日提出質問第一六一号
子どもの自殺防止に関する質問主意書
提出者 井坂信彦
子どもの自殺防止に関する質問主意書
本年三月に厚生労働省が公表した小中高生の自殺者数は、五百二十九人となり、過去最多であった。全年代の自殺者数は二万三百二十人で、統計のある一九七八年以降では新型コロナウイルス感染症前の二〇一九年に次いで二番目に少なかった。しかし小中高生の自殺者数は新型コロナの流行下で増えたまま歯止めがかかっていない。
十代以下の自殺の原因・動機は、学業不振や友人との不和といった「学校問題」が最多で、次いで「健康問題」「家族問題」と続いている。十代から三十代の死因はいずれも自殺が最多で、自殺対策白書によるとG7各国の十歳から十九歳の死因で一位が自殺なのは日本だけとなっている。
政府は二〇二三年、こどもの自殺対策緊急強化プランを発表し、自殺の要因分析、自殺予防の普及啓発、自殺リスクの早期発見などに取り組んでいる。また自治体において、こども家庭センターの設置とサポートプランの作成を促し、母子保健機能と児童福祉機能の一体運営を進めている。しかし、こども家庭センターの根幹をなす統括支援員の不足や、専門職・資格職が不足しており、また急増している子どもの課題に対して経験も不足していると考える。児童相談所も、二〇〇六年から中核市や特別区が設置できるようになったが、自治体の負担が大きく、中核市では広がりを見せていない。
貴重な子どもたちの命を守るため、政府の積極的な施策推進を求めて、以下、政府に質問する。
一 二〇二二年に閣議決定した自殺総合対策大綱では、「若者を含め、国民一人ひとりが、周りの人の異変に気付いた場合には身近なゲートキーパーとして適切に行動することができるよう、必要な基礎的知識の普及を図る」としている。
1 同大綱では、教職員に対する普及啓発等がうたわれているが、教職員の採用時や管理職研修時など、ゲートキーパー研修がどの程度進んでいるか伺う。
2 現状で保護者や生徒たちがゲートキーパーについて認識しているとは思えない。自治体や学校がどのようにして保護者や生徒に対してゲートキーパーについて普及していくのか伺う。
二 子どものSNS利用が広がる中、オーストラリアでは十六歳未満の子どもがSNSを利用することを禁止した。SNSは相談の窓口になることもあるが、自殺の原因にもなり得る。SNSが自殺者数の増加に与える影響について詳しく分析する必要があると考えるが、政府の見解を伺う。
三 インターネット広告や関連動画などは、普段見ているジャンルが次々に提供される。これでは、ネット上で子どもたちが行政や適切な相談窓口にたどり着かないおそれがあるが、子どもたちが自殺を思わせる検索やサイト視聴をしている際に、プッシュ型で相談窓口の案内を届けることができるようにすべきと考えるが、政府の見解を伺う。
四 児童相談所が二つしかない県が八県も存在する。また、中核市で児童相談所を設置しているのは三市しかない。子どもの命を守る最後の砦となる児童相談所が不足していると考えるが、今後の拡充について政府の見解を伺う。
五 こども家庭センターや児童相談所の人員が不足していると考える。統括支援員をはじめとして、児童福祉司や児童心理司といった専門性の高い職員について、採用拡大や育成をどう考えているか、政府の見解を伺う。
六 児童虐待やネグレクトを行ういわゆる毒親について、児童相談所やこども家庭センターは積極的にアプローチしなければならないと考える。毒親に対しちゅうちょなく対処できるよう、意識だけでなく制度の改正も必要ではないか、政府の見解を伺う。
右質問する。