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令和七年四月二十三日提出質問第一六五号
統合型リゾート(IR)開設に伴う性風俗産業及び感染症対策等に関する質問主意書
提出者 八幡 愛
統合型リゾート(IR)開設に伴う性風俗産業及び感染症対策等に関する質問主意書
政府は、統合型リゾート(以下「IR」)の整備を推進し、その一環としてカジノ施設の開設を進めている。海外のカジノ設置地域では、外国人観光客の増加に伴い、性風俗産業の利用が活発化し、関連する公衆衛生上の課題が指摘されている。日本においても、IRを目的として来日する外国人観光客が、滞在中に性風俗産業を利用することが想定されると考える。
他方、我が国の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営適正化法」)においては、法理念として、性風俗関連特殊営業は「性を売り物にする本質的に不健全な営業であり、業務の適正化や営業の健全化になじまない」とされており、厳格な営業許可要件や地域規制が設けられている。
こうした法理念の下で、政府がIR誘致を通じて、結果的に外国人観光客による性風俗産業の利用を促すような構図が生じれば、現行制度との整合性に疑義が生じると考える。また、性風俗産業が公的に支援・監督の対象とされないまま需要のみが高まり、制度の狭間に置かれたまま放置されることになれば、無許可営業等の形態、いわゆる地下営業化が進行するおそれもあると考える。
本質問は、性風俗産業そのものを否定するものではなく、むしろ現実的な政策対応において、公衆衛生・労働安全・規制との整合性の観点から、必要な支援・対策を講じるべきであるという立場から、以下のとおり政府に質問する。
一 IRを目的とした訪日外国人による性風俗産業の利用実態に関する政府の認識について
IRを目的として来日する外国人観光客が、滞在中に性風俗産業を利用することが予想されるが、政府はこの実態について何らかの調査や試算を行ったことがあるか。その有無及び行ったことがある場合は、その内容をそれぞれ示されたい。
二 性感染症等の感染症対策について
IRを目的として来日する外国人観光客が性風俗産業を利用することにより、性感染症等の感染症リスクが高まる可能性があると考える。政府は、こうしたリスクに対して、どのような公衆衛生対策を講じる方針か、具体的な施策の内容、予算規模、及び実施主体についてそれぞれ示されたい。
三 性風俗産業従事者に対する支援について
IRを目的として来日する外国人観光客による性風俗産業の利用増加により、当該産業に従事する者の数も増加する可能性があると考える。政府は、こうした従事者の健康管理、人権保護、労働環境の整備等について、どのような対応策を検討しているか、具体的な支援策及びその実施主体についてそれぞれ示されたい。
四 外国人観光客による性風俗産業の利用に関する政府の立場について
IRを目的として来日する外国人観光客が、滞在中に日本の性風俗産業に金銭を支出して利用することについて、政府としてはこれを歓迎する立場なのか、それとも抑制的な立場なのか。政府の基本的な認識を明らかにされたい。
五 性風俗産業の地下営業化を防止しつつ、公衆衛生や規制との整合性を確保するための施策について
IRの整備とインバウンド政策の拡大が、性風俗産業の需要を高めることが予見されるが、風営適正化法が本来予定している規制との整合性を欠いたまま需要のみが拡大すれば、無届け営業・地下営業化を助長するおそれがあると考える。政府として、性風俗産業における公衆衛生の確保、従事者の保護、そして規制との整合性を確保するために、どのような政策的措置を講じるべきと考えるか、展望を示されたい。
右質問する。