質問本文情報
令和七年六月九日提出質問第二三五号
出入国在留管理政策と家族結合権に関する質問主意書
提出者 大石あきこ
出入国在留管理政策と家族結合権に関する質問主意書
従前から、外国籍者の出入国在留管理政策においては、退去強制事由に該当する事情があっても在日家族がいることを考慮して在留特別許可を付与すること、上陸禁止事由に該当する事情があっても在日家族がいることを考慮して上陸を特別に許可すること、告示された在留資格に該当しなくても在日家族(外国籍、日本国籍を問わない。)が扶養目的で本国の家族を呼び寄せることを許可すること、といった柔軟な対応がとられてきたと承知している。
以下、政府に対し質問する。
一 政府において、憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶことを前提に政策決定しているという理解に間違いはないか。
二 憲法第九十八条第二項は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と規定しており、日本が締結し、公布された条約等は国内法としての効力を持つとされているところ、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)第二十三条第一項で定める「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位であり、社会及び国による保護を受ける権利を有する」という規定は、日本国内の政策においても共有されていると理解してよいか。
三 令和五年法律第五十六号による改正後の出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」という。)第五十条第五項には、在留特別許可の判断に当たって家族関係を考慮することが明記されることとなった。入管法の前記改正前と改正後において、在留特別許可に際して「家族関係」を考慮する比重は上がったのか下がったのか、それとも従前の取扱いと変わらないのか。
四 子が親と切り離されない環境で心身の発達を遂げること、配偶者同士が日々直接的な交流を図ること、老親が孤立せずに家族に見守られながら最期を遂げることは、個人の尊厳及び幸福追求権を定めた日本国憲法下において、最大限に尊重すべきではないか。
五 国際法規上は、日本も批准する自由権規約等によっていわゆる家族結合権が保障されていると解されているところ、出入国在留管理政策において、家族結合権は考慮対象とされていると理解してよいか。なお、日本国籍者と外国籍者によって、家族結合権の重要性は変わり得るのか、それとも権利の重要性は同様であるが国益保持等の見地から諸事情を考慮した結果差異が生じるものなのか、それとも日本国籍者であっても外国籍者であっても家族結合権の保護の在り方に区別はないのか、という点もそれぞれ併せて回答されたい。
六 二〇二三年八月四日に出入国在留管理庁が発表した「送還忌避者のうち本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する対応方針について」では、子どもが「本邦で出生して」いることを条件として、家族一体として在留特別許可をして在留資格を与えるとしている。この対応方針に基づき、同じ両親の子どもでありながら、幼少期に来日した子どもと日本で出生した子どもを区別して在留資格を与えた事例はあるか。あるのであれば、そうした対応は、家族結合権を侵害するものにならないのか。
七 前記の出入国在留管理政策における家族関係を考慮した柔軟な取扱いについて、現在もその基準・内容・範囲等に変更はないものと理解してよいか。
右質問する。