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令和七年六月十七日提出質問第三〇二号
シベリア抑留者問題の解決と国立戦争資料館(仮称)整備に関する質問主意書
提出者 長妻 昭
シベリア抑留者問題の解決と国立戦争資料館(仮称)整備に関する質問主意書
第二次世界大戦後、多くの旧日本軍将兵等が旧ソ連によってシベリア等に抑留され、過酷な労働と環境の中で多くの命が奪われた。現在もなお、抑留者本人や遺族の苦しみ、精神的傷痕は癒えておらず、抑留の全貌解明、遺骨収集、名誉の回復、そして記憶の継承という課題が残されている。
一方、我が国には現在、シベリア抑留を含む戦争体験を後世に伝える施設として、平和祈念展示資料館(総務省)、昭和館(厚生労働省)、しょうけい館(同)など複数の施設が都内に点在しており、それぞれが縦割りに運営されている。これらの施設の多くが商業ビルの賃借空間であり、資料の活用に制約があり、また展示が重複するなど効率性・継承性の点で課題がある。
シベリア抑留を含む戦争体験の実相をより総合的に学べる場として、首都東京に、独立した国立の常設展示施設としての国立戦争資料館(仮称)を整備することが、次世代への歴史継承、記憶の風化防止、国際社会への説明責任という観点からも急務である。
よって、以下の事項について政府の見解を問う。
一 シベリア抑留者に関する国の現行施策のうち、政府が課題と認識している未解決・継続中の課題(たとえば、遺骨収集、慰霊、抑留実態の調査・証言収集、名誉回復措置等)をお示し願いたい。
二 平和祈念展示資料館、昭和館、しょうけい館の三館におけるシベリア抑留の展示・記録の内容と、その役割の重複や不足について、政府としてどのように評価しているかお示し願いたい。
三 平和祈念展示資料館、昭和館、しょうけい館が商業ビル等に入居しており、保管資料の大部分を都内の倉庫で別途管理しているという現状について、資料の保存活用や公共施設の在り方として適切と考えているか、政府の見解を示されたい。
四 現在の縦割り行政によって、施設が省庁別に管理されていることにより、歴史の伝達に一貫性を欠くといった指摘があるが、これを是とするか、統合的な見直しを検討する意向があるか。
五 戦後八十年を機に、シベリア抑留をはじめとした戦争体験全般を対象に、国が収集してきた遺品・記録・映像・証言等を一元的に保存・公開する国立戦争資料館(仮称)を東京都内に新設することについて、政府の検討状況および見解を示されたい。
六 国立戦争資料館(仮称)では、単なる展示のみならず、研究者によるアーカイブ化、市民ボランティアによる運営参加、国際交流を通じた平和教育などの機能を持たせるべきとの意見があるが、こうした「開かれた」戦争記録継承施設の整備について、政府はどのように評価し、計画しているか。
七 韓国・中国・欧米諸国などでは、首都に戦争資料館を構え、国家として歴史の継承と教育に力を入れているが、日本がそれらに比して立ち遅れている現状について、政府としての認識を問いたい。
八 展示・資料収集だけでなく、個人の日記、回想録、手紙など民間の歴史資料の収集・保存・活用について、現状の取組と、今後の体制強化の方針を示されたい。
右質問する。