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令和七年六月十七日提出
質問第三〇五号

政府備蓄米に関する質問主意書

提出者  田村貴昭




政府備蓄米に関する質問主意書


 昨年六月までの一年間に供給された米の量は需要量より四十四万トンも少なくなり、民間在庫が史上最低に落ち込む中、米不足が顕在化し、今日に至るまで価格が高騰している。政府は九十一万トンの備蓄米のうち、一般競争入札と随意契約によって、八十一万トンを放出することを決め、対応に当たっているが、国民は長く米不足と価格高騰に苦しんでいる。また、米農家にとって五キロ二千円の価格は大幅な赤字を強いられる水準であり、備蓄米の無制限放出で民間在庫がだぶつき、米価が大幅下落する不安も広がりつつある。また、備蓄米が底を尽き、いざという時の備えがなくなることへの危惧も広がっている。
 したがって、次の事項について政府に対し質問する。

一 今回の備蓄米放出の根拠は何か。いわゆる食糧法第四十九条に基づくものか。今後、大災害や大不作だけでなく、米不足が生じたり、市場価格が上がり国民生活に影響が出たときには、備蓄米を放出する方針をとるのか。
二 政府は備蓄米の放出に関し「法制局とも相談して、貸し付ける条件でないと法律上出せない」と答弁していた。今回の随意契約による備蓄米放出の法的根拠は何か。
三 農林水産省は、随意契約で売り渡された二〇二一年、二〇二二年産米の三十万トンについて、店頭での価格を、五キロ当たり税抜き二千円程度と試算している。では、二〇二四年産米及び一般競争入札分の三十一万トンについては、店頭価格をどのように見ているのか。目標とする目安等はあるのか。
四 一般競争入札分の三十一万トンは、ほぼ全量集荷業者に引渡しされたとしているが、本年五月二十五日現在、精米販売数量は六・三七万トンと二割にとどまっている。その原因と対処について政府の考えを伺う。
五 二千円前後の低価格の備蓄米の販売は、令和六年度産米及び一般競争入札による備蓄米の価格を高止まりさせ、購買されなくなるのではないか。
六 小泉進次郎農林水産大臣は国会で、卸の大手売上高は百二十%を超え、営業利益は五百%ぐらいと述べたが、大手卸の営業利益は不当な利益だと考えているのか。また、大手卸業者が市場価格をつり上げ、買占め・出し惜しみをした事実はあるのか。
七 政府備蓄米の八十一万トンの放出によって、二〇二六年六月末の民間在庫量が約三百万トンの見通しとなることが報道されている。米不作、価格高騰から転じて供給過剰、価格下落となる可能性はないのか。見解と対処策を示されたい。
八 銘柄米や一般競争入札による政府備蓄米の小売価格が下がれば、高値で仕入れた流通業者は、予見不可能な政府の行動によって損害を被ることになる。この損害に対する補償、対策はどうするのか。
九 政府備蓄米の八十一万トンの放出等によって、二〇二六年六月末の民間在庫量が約三百万トンの見通しとなることが報道されている。二〇二五年秋の主食用米の生産見込みは六百八十三万トン、飼料用米からの転作を合わせると七百十九万トンが見込まれている。さらにいわゆるSBS米の供給前倒しによって流通市場に米が流入することとなる。米不作、価格高騰から転じて供給過剰、価格下落となる可能性はないのか。見解と対処策を示されたい。
十 比較的安い随意契約の備蓄米は、小売業者のみに限定され、すぐに売り切れてしまう。こども食堂・こども宅食やフードバンクに対する政府備蓄米の無償交付に支障は生じていないか。生活困窮者へ米をあまねく届ける手立てはあるのか。
十一 政府は予定も含めて、約八十一万トンの備蓄米を放出するが、そうなれば備蓄米の残量は約十万トンとなる。一九九三年の米不足を契機に、政府は備蓄米を二十万トンから百万トンに引き上げ、国産米で一年間供給できる水準として、百万トン程度を備蓄すると説明してきた。
 今後、災害や高温障害、病虫被害等によって、米不足が生じる可能性があり、起こらないとも限らない。十万トンの備蓄で、不測の事態に備えられるのか。また、備蓄を回復する手立てについて、また備蓄量目標を増やす考えはないか伺う。
十二 小泉大臣は本年六月八日付の日本経済新聞のインタビューに対し、「これまでの農政は生産者の保護に重点があり、供給力や国際競争力を高める視点に欠けていた」「生産を増やして余ったら「国が(面倒を)」というのは間違いだ。需要に応じた生産が大事」と答えている。増産により価格が下がっても政府は農家所得を補償しないと読めるが、これは政府の方針か。
十三 気候や経済変動などで需給ギャップが生じても米不足にならないよう、ゆとりある生産量と備蓄量が求められる。減産から増産へ転換、生産者への経営維持のため、生産者への価格・所得保障が必要と考えるが、政府の考えを伺う。

 右質問する。

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