質問本文情報
令和七年六月十七日提出質問第三〇七号
日本・ラテンアメリカ外交に関する質問主意書
提出者 鈴木庸介
日本・ラテンアメリカ外交に関する質問主意書
地政学的な緊張が高まる中、民主主義、人権、法の支配といった価値観を共有する国々との戦略的パートナーシップの重要性はますます高まっている。ラテンアメリカは、主に民主的な政権で構成され、豊富な天然資源と若年層人口を有する地域であり、互いの強みを活かすことで弱点を補い合う強力なパートナーとなり得ると考える。他国もその重要性に気づいており、とりわけ中国は同地域への影響力を拡大している。
そこで、以下質問する。
一 メキシコに進出している日系企業の間では、日墨間の社会保障協定の締結を求める声もある。現在、従業員が日本とメキシコの両国の社会保険に加入する必要があり、日系企業及び日本人従業員のメキシコ市場参入への障壁となっているとの指摘もある。政府として、メキシコ政府との間で社会保障協定に関する協議を開始する意向はあるか。
二 いわゆる二国間クレジット制度(JCM)は、経済の活性化とグリーンエネルギーへの移行を同時に促進する「ウィンウィンの仕組み」として高く評価されている。しかし、我が国はラテンアメリカにおいてはコスタリカ、メキシコ、チリの三カ国としかJCMを締結していない。政府は、ラテンアメリカ諸国との間で今後さらにJCMの締結を進める意向はあるか。
三 日本の経済界などから、南米南部共同市場(MERCOSUR)地域との経済連携協定(EPA)交渉を求める声が上がっている。二〇二四年にはEUが同地域とFTAについて合意に至っており、その中にはパリ協定への加盟の義務、森林伐採の抑制、気候変動対策に関する協力推進などが盛り込まれている。しかし、この協定は、交渉過程の不透明さや環境条項の拘束力の弱さについて批判も受けている。こうした前例を踏まえ、日本政府としてはMERCOSURとのEPA交渉に至った場合、環境協力条項を盛り込む考えがあるのか。盛り込む場合、その実効性をいかに担保するのか。
四 二〇二三年、当時のホンジュラス駐在の日本大使は、パナマ運河の代替となる大西洋岸と太平洋岸を結ぶ「中米横断鉄道計画」への日本の協力の意向を表明した。しかしながら、二〇二三年以降、政治情勢には大きな変化が見られ、緊張が高まり、一部の国々は同国への対外投資を撤回する動きを見せている。このような状況下においても、政府は当該プロジェクトの実現可能性と投資意向を維持しているのか。
右質問する。