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令和七年六月十七日提出
質問第三一八号

保育所等における医療的ケア児の支援のための看護師配置等に関する質問主意書

提出者  中谷一馬




保育所等における医療的ケア児の支援のための看護師配置等に関する質問主意書


 政府は、保育所等(保育所、幼保連携型認定こども園、家庭的保育事業、小規模保育事業及び事業所内保育事業をいう。以下同じ。)において医療的ケア児の受入れを可能とするために、一定の措置を行っているが、特に一型糖尿病の子どもを受け入れるための保育所等における看護師等(保健師、助産師、看護師及び准看護師をいう。以下同じ。)の配置は十分とは言い難く、解決すべき課題が山積していると考えるところ、次の事項について質問する。

一 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律第六条第一項は、保育所の設置者等は在籍等している医療的ケア児に対して適切な支援を行う責務を有する旨を規定している。また、同法附則第二条第二項において、政府は、医療的ケア児の実態を把握するための具体的な方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとしている。
 1 同法の施行後も、保育所等に看護師が配置されていない等の理由から、医療的ケア児が保育所等への入所を拒否されたり退所を求められたりする事例や、保育所等への入所に当たって保護者が常に付き添うことが条件になっている事例が存在する。政府は、このような事例の存在を認識しているか。また、このような事例が存在する現状に照らして、同法第四条が定める国の責務として必要十分な施策を措置していると評価しているか。
 2 医療的ケア児が保育所等への入所を拒否されたり退所を求められたりする事例等を含め、同法附則第二条第二項に基づき、政府が求められている医療的ケア児の実態を把握するための具体的な方策についての検討状況及び検討の結果に基づいて講じられた措置の状況を示されたい。
二 医療的ケア児の支援については、令和元年地方分権改革に関する提案募集に対し、富山市、福井市等から、「医療的ケア児に対する訪問看護の適用範囲の拡大」として、健康保険法の訪問看護の適用範囲について、必要に応じて「居宅」以外の保育所等を訪問先として認めるよう提案されていたものと承知している。
 このような提案に対し、関係府省からは、医療的ケア児の支援については、「医療的ケア児保育支援モデル事業」等による補助を行っているとした上で、「すでにこれらの事業による補助を行い、医療保険の給付対象とは重複のないよう制度設計を行っている」ことから、保育所等への訪問看護を医療保険の給付対象とするには、既存の事業では支払いの必要がなかった利用者及び保険者からの理解を得ること等の課題が考えられる旨の回答があったと承知している。
 1 こども家庭庁は、令和七年度予算において医療的ケア児保育支援事業を措置しており、同事業による国の負担割合は原則として二分の一となっているが、その理由を示されたい。また、医療的ケア児の受入体制拡充のため、新たな保育所等において、医療的ケア児の受入れを開始する自治体について、国の補助割合を三分の二にかさ上げしている理由も、併せて示されたい。
 2 保育所等への訪問看護を公的医療保険の給付対象とすることが現状においては困難であると考えているならば、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律第四条によって医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を総合的に実施することは国の責務とされていることに鑑み、医療的ケア児保育支援事業に係る経費に関しては、医療的ケア児の受入体制拡充のために、国による全額補助又は国の補助割合の大幅な引上げが必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。
 3 前述の令和元年の提案の追加共同提案団体の一つであった横浜市は、国の制度及び予算に関する提案・要望書(令和六年六月)においても、「医療的ケア児・者等の訪問看護利用について、保育所や学校、障害福祉サービス事業所など、居宅以外においても利用できる仕組みの構築」が必要としており、今もなお解決していない課題であると考えるが、政府の見解を示されたい。
三 こども家庭庁は、令和七年度予算において医療的ケア児総合支援事業を措置しており、医療的ケア児等コーディネーターの配置等について補助を行っている。
 1 こどもまんなか実行計画二〇二五によると、医療的ケア児等コーディネーターを配置している市町村数が全市町村の約半数にとどまるところ、その原因について、政府はどのように分析しているのか。
 2 医療的ケア児の家族が就労を継続するために医療的ケア児等コーディネーターが実施している具体的な施策及びその実績を示されたい。
 3 医療的ケア児及びその家族に対する支援を全国的に進めていくに当たり、現在予算措置で行っている医療的ケア児等コーディネーターの設置を、都道府県等の努力義務とすべきという意見があるが如何か。政府の見解を示されたい。
四 社会福祉士及び介護福祉士法の平成二十三年の一部改正に伴い、所定の研修を修了し、喀痰吸引等の業務の登録認定を受けた保育士等が、一定の条件下で喀痰吸引等の特定の医療的ケア(以下「特定行為」という。)を実施できるようになった。
 1 一型糖尿病患者が必要とする血糖測定、インスリン注射及び皮下注射の管理(以下「血糖測定等」という。)は、特定行為に含まれず、看護師等の免許を有する者のみが実施するとされているところ、この理由について示されたい。
 2 特定行為に含まれる喀痰吸引及び経管栄養と、特定行為に含まれない血糖測定等との間には、医療事故の発生可能性に違いがあるのか、政府の見解を示されたい。
五 保育所における看護師等(助産師を除く。以下同じ。)の配置については、児童福祉施設最低基準等の一部を改正する省令附則第二項の規定(以下「特例」という。)により、経過措置として当分の間、看護師等を一人に限り保育士とみなすことができることとされている。
 1 看護師等を配置している保育所等の数及び全保育所等に対する割合を示されたい。
 2 保育所への看護師等の配置については、特例による措置はあるが、公立、私立の別を問わず義務付けられていない。その理由を示されたい。
 3 特例を利用して保育所に看護師等を一人配置したとしても、当該看護師等が欠勤する場合等には医療的ケア児への対応ができなくなることから、医療的ケア児の受入れが困難であることに変わりはない。看護師等を二人以上配置するに当たっての支援策はあるか。また、医療的ケア児を受け入れている保育所等において看護師等が欠勤する場合等に、当該保育所等が代わりの看護師等を確保するための支援策を講じているか。
 4 横浜市では、看護師等を複数配置し、常時、医療的ケア児の受入れが可能な園を「医療的ケア児サポート保育園」として認定し、医療的ケア児の保育所等での安全な受入れを推進している。保育所等での医療的ケア児の受入れを希望する家族に対して、適切な対応を迅速かつ確実に行うためには、あらかじめ受入体制を構築しておくことが重要であり、かつ、看護師等の安定的な確保に資すると考える。「医療的ケア児サポート保育園」のように医療的ケア児の保育についてノウハウを蓄積した地域の基幹施設に対しては、医療的ケア児の在籍の有無にかかわらず、複数の看護師等の配置に係る経費を国が補助すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
 5 一般的に看護師等は保育士に比べ給与が高いことも、保育所等が看護師等を配置する上での障壁になっていると考える。地域の基幹施設以外の保育所等であっても看護師等の配置が進められるよう、看護師等の配置について、公定価格で措置すべきであるという意見があるが如何か。政府の見解を示されたい。
六 保育所等に看護師等が配置されていないことや、保育所等に看護師等が配置されていても当該保育所等において血糖測定等の前例がないことを理由に、一型糖尿病の子どもへの保育の提供が制限される事例が存在する。こども家庭庁成育局保育政策課事務連絡「保育所等における障害のあるこどもの受入れについて」(令和六年十二月五日)では、正当な理由なく、障害を理由として保育の提供を拒否する等の不当な差別的取扱いを禁じているところ、これらの理由は、同事務連絡が示す「正当な理由」に該当するか。

 右質問する。

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