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令和七年六月二十七日受領
答弁第三一八号

  内閣衆質二一七第三一八号
  令和七年六月二十七日
内閣総理大臣 石破 茂

       衆議院議長 額賀福志郎 殿

衆議院議員中谷一馬君提出保育所等における医療的ケア児の支援のための看護師配置等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中谷一馬君提出保育所等における医療的ケア児の支援のための看護師配置等に関する質問に対する答弁書


一の1について

 前段のお尋ねについては、国庫補助事業である「令和五年度こども・子育て支援推進調査研究事業」における「保育所等における医療的ケア児の受入れ方策及び災害時における支援の在り方等に関する調査研究」において、保育所等における医療的ケア児の受入れ状況等について調査を行ったところであり、御指摘の「医療的ケア児が保育所等への入所を拒否された」事例については承知しているが、「退所を求められたりする事例や、保育所等への入所に当たって保護者が常に付き添うことが条件になっている事例」については承知していない。また、後段のお尋ねについては、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにしても、政府としては、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(令和三年法律第八十一号。以下「医療的ケア児法」という。)第四条の規定を踏まえ、「医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を総合的に実施」しているところである。

一の2について

 お尋ねについては、医療的ケア児法附則第二条第二項の規定に基づき検討した結果、例えば、国庫補助事業である「令和六年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業」における「障害児保育の財政支援および受入れ方策等に関する調査研究」において、保育所等における医療的ケア児の受入れ状況等について調査を行ったところである。

二の1及び2について

 お尋ねの「原則として二分の一となっている」理由については、「多様な保育促進事業の実施について」(令和六年三月三十日付けこ成保第百七十九号こども家庭庁成育局長通知。以下「局長通知」という。)における他の事業との整合性等を総合的に勘案した結果であり、御指摘の「国による全額補助又は国の補助割合の大幅な引上げ」は考えていない。また、お尋ねの「国の補助割合を三分の二にかさ上げしている理由」については、保育所等における医療的ケア児の新たな受入れに要する体制の整備に必要な費用の補助を行うことにより、更なる受入れ体制の拡充を図るためである。

二の3について

 お尋ねについては、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第八十八条第一項に規定する指定訪問看護は、居宅での療養を受けたいという在宅医療に係るニーズに対応するため、疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者であって通院による療養が困難な者に対する療養上の世話又は必要な診療の補助を保険給付の対象としていること等から、御指摘の「医療的ケア児・者等の訪問看護利用について、保育所や学校、障害福祉サービス事業所など、居宅以外においても利用」した場合を保険給付の対象とすることについては、慎重な検討が必要と考えている。なお、局長通知別添三「医療的ケア児保育支援事業実施要綱」(以下「局長通知別添」という。)において、「自治体や医療機関等において雇い上げた看護師等を定期又は不定期に巡回による方法により保育所等に派遣する」場合については、医療的ケア児保育支援事業(局長通知別添に基づく医療的ケア児保育支援事業をいう。以下同じ。)の補助対象としている。

三の1について

 御指摘の「医療的ケア児等コーディネーターを配置している」市町村(特別区を含む。以下同じ。)の数については、令和四年度末時点で九百八、令和五年度末時点で千六十と着実に増加しているところであるが、お尋ねについては、例えば、医療的ケア児の支援に係る専門性を有する人材の不足等の様々な要因があると承知している。政府としては、現在、医療的ケア児等総合支援事業(「医療的ケア児等総合支援事業の実施について」(平成三十一年三月二十七日付け障発〇三二七第十九号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)に基づく医療的ケア児等総合支援事業をいう。)において、市町村における「医療的ケア児等コーディネーター」の配置に要する経費を補助しているところであり、引き続き、当該事業を通じて、医療的ケア児に対する地域の支援体制の整備を進めてまいりたい。

三の2について

 お尋ねについては、御指摘の「医療的ケア児等コーディネーター」は、例えば、医療的ケア児の就園及び就学が円滑に進むよう、保育所等を訪問し、その受入れについて助言する等、医療的ケア児とその家族が抱える課題に対し、保健、医療、福祉、子育て、教育等の必要なサービスの総合的な調整、当該サービスの紹介、関係機関との連絡調整等を実施しているものと承知している。また、お尋ねの「その実績」の意味するところが必ずしも明らかではないが、各地方公共団体における「医療的ケア児等コーディネーター」によるこうした支援の実施件数については、把握していない。

三の3について

 御指摘の「現在予算措置で行っている医療的ケア児等コーディネーターの設置を、都道府県等の努力義務とすべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、各都道府県及び各市町村における「医療的ケア児等コーディネーターの設置」については、障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針(平成二十九年厚生労働省告示第百十六号)において、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十三条の二十第一項に規定する市町村障害児福祉計画及び同法第三十三条の二十二第一項に規定する都道府県障害児福祉計画で、「成果目標」を設定することが適当である事項について、「医療的ケア児等が適切な支援を受けられるように、令和八年度末までに、・・・各都道府県及び各市町村において、・・・医療的ケア児等に関するコーディネーターを配置することを基本とする。なお、市町村単独での設置が困難な場合には、都道府県が関与した上での、圏域での設置であっても差し支えない」としており、政府としては、こうした仕組み等を通じて、医療的ケア児及びその家族に対する全国的な支援を推進しているところである。

四の1について

 御指摘の「喀痰吸引等」については、厚生労働大臣が参集を求めて開催していた、「喀痰吸引等」の安全性や技術等に関する専門的知見を有する有識者により構成される「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」が平成二十二年十二月十三日に取りまとめた「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方について 中間まとめ」において、「介護職員等がたんの吸引等を行う上での安全確保に関する基準を設け、医師・看護職員と介護職員等の連携・協働の確保等、基準の遵守について指導監督の仕組みを設ける」とされたことを踏まえて、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六十二年法律第三十号)附則第十一条第二項の規定において、「介護の業務に従事する者に対して・・・必要な知識及び技能を修得させるため、都道府県知事又はその登録を受けた者・・・が行う研修・・・の課程を修了したと都道府県知事が認定した者」が、同法附則第十条の規定に基づき「診療の補助として、医師の指示の下に」行うとともに、安全確保のために「医師、看護師その他の医療関係者との連携を保たなければならない」とした上で、その具体的な行為については、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則(昭和六十二年厚生省令第四十九号)において定めているところである。
 一方、御指摘の「一型糖尿病患者が必要とする血糖測定、インスリン注射及び皮下注射の管理」を、「一型糖尿病患者が必要とする血糖測定」(穿刺を伴うものに限る。)及び「インスリン注射及び皮下注射」と解すれば、これらの行為を含め、同令に定めるものに含まれていない医行為(医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為をいう。)については、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十七条、保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条等の規定に基づき、御指摘のように「看護師等の免許を有する者のみが実施する」ものとされている。

四の2について

 お尋ねについては、把握していない。

五の1について

 お尋ねについては、把握していない。

五の2について

 保育所については、児童福祉法第三十九条第一項において、「保育を必要とする乳児・幼児を日々保護者の下から通わせて保育を行うことを目的とする施設」と規定されており、当該保育を行うに当たって、必ずしも常に御指摘の「看護師等」を配置することが必要であるとは考えられないことから、「保育所への看護師等の配置」の「義務付け」を行っていないところである。

五の3について

 お尋ねについては、いずれも、医療的ケア児保育支援事業において、御指摘の「看護師等」の配置に必要な費用の補助を行っている。

五の4について

 御指摘のような「医療的ケア児の保育についてノウハウを蓄積した地域の基幹施設」については、市町村の関わり方も含め、地域の実情によって様々であること等から、政府としてこれに一律に補助するのではなく、「医療的ケア児の保育について」の「ノウハウ」の「蓄積」に資するよう、引き続き、局長通知別添に基づく医療的ケア児保育支援事業により、「自治体や医療機関等において雇い上げた看護師等を定期又は不定期に巡回による方法により保育所等に派遣」することや、「医療的ケア児の受入れを行う保育所等において、・・・保育士等及び看護師等が医療的ケア児の保育に必要となる知識及び技術の習得、維持及び向上を図る研修受講のため」の「保育士等及び看護師等の研修受講に係る費用の補助」等を行っていく考えである。

五の5について

 お尋ねについては、政府としては、医療的ケア児保育支援事業により、保育所等における医療的ケア児の受入れを推進していく考えであり、保育所等における御指摘の「看護師等の配置」については、現時点において、「公定価格で措置」することについては検討していない。

六について

 お尋ねについては、「保育所等における障害のあるこどもの受入れについて」(令和六年十二月五日付けこども家庭庁成育局保育政策課事務連絡)において示しているとおり、「正当な理由の判断に関しては、個別の事案ごとに、例えば、・・・安全の確保・・・などの観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断していただく」べきものであり、一概にお答えすることは困難である。

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