質問本文情報
令和七年六月十七日提出質問第三二〇号
子育て版ケアマネジャー導入に関する質問主意書
提出者 阪口直人
子育て版ケアマネジャー導入に関する質問主意書
厚生労働省が六月四日公表した令和六年の人口動態統計(概数)で日本人の子どもの数(出生数)は六十八万六千六十一人と初めて七十万人を割った。一人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率も一・一五と過去最低を更新した。国の予想よりも十五年早いペースで少子化が進んでいる実態が明らかになったと承知している。
要因の一つに、若者が日本では子育てをしにくいと考えていることがある。内閣府が公表した二〇二〇年度の少子化社会に関する国際意識調査によると、スウェーデンでは約九十七パーセントが子育てしやすいと回答しているのに対し、日本の場合、子育てしやすいとの回答は約三十八%に留まっている。一方で、令和五年度の人工妊娠中絶件数は十二万六千七百三十四件で、前年度に比べ、四千九件(三・三%)増加している。周囲に相談できない親による新生児の虐待死事件や赤ちゃんポストへの子どもの置き去りも絶えないと承知している。
こうした状況に我が国でも、子育て政策を切れ目ない支援へ転換することを目指し、妊産婦への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施を目指す妊婦のための支援給付が始まった。給付と相談がセットで実施される取組で、妊婦給付認定後に五万円、妊娠している子どもの数に応じて各五万円が支払われる。各市町村が給付申請の窓口となるが、母親との面談は、自治体の多くが民間業者に委託するなどしているため、専門性と継続性が担保されない状況になっていると承知している。
フィンランドの子育て支援「ネウボラ」は保健師や助産師が中心となって妊娠期から就学前まで母子を継続的にサポートし、小さな変化もすぐに発見できる仕組みとなっている。同事例などを参考に、専門家が母子を継続的に支援する仕組み作りが求められると考える。
したがって、次の事項について政府に対し質問する。
一 介護保険で高齢者に無料で提供されるケアマネジャーのように、当事者と伴走し、日頃から信頼関係を築くことでいつでも相談できる仕組みが、子育てにも必要と考える。これから子どもを産み育てる母親たちに妊娠・出産・育児期を通して家族ごとに伴走し支援する専門家、子育て版ケアマネジャー(子育てケアマネ)の導入が必要であり、安心して子どもを産み、子育てできる環境を整えれば少子化防止にも一役買うと考える。妊娠初期から産後、育児まで専門家による継ぎ目のない伴走型支援「子育てケアマネ」の導入についての政府の見解を示されたい。
二 母子保健の強化を目指した伴走型相談支援と経済的支援の一環で、産前産後に面談を受けると給付金が交付される取組があるが、多くの自治体が面談業務を民間業者に委託していると承知している。三回実施される給付金を受領するための面談は妊娠届出時、妊娠八か月頃と出産後に行われるものの、給付金を受けるための面談が民間委託の場合、妊婦が相談に行くたびに異なる専門家が相談に応じる事例が生じていると承知している。同一の専門家が母子の相談に応じ継続的に支援することが求められると考える。各市町村が相談業務を民間業者に委託する場合の基準またはガイドラインは設けられているのか。また、同一の専門家による相談など、切れ目ない支援の継続性の維持についての政府の取組があれば示されたい。
右質問する。