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令和七年六月十七日提出
質問第三二一号

シルバー人材センターのインボイス対応に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




シルバー人材センターのインボイス対応に関する質問主意書


 二〇二三年からインボイス制度が導入された。これにより、取引先の納税額を確定させるために適格請求書の発行が求められることになった。
 シルバー人材センターにおいて、会員はセンターと請負契約を締結している個人事業主扱いである。そのため、会員がインボイス登録をしないと、シルバー人材センターは会員に支払った請負費用の消費税控除が出来ない。六十歳以上の会員が個人でインボイス登録をし、自身で消費税の申告を行うことは現実的に難しいため、多くのシルバー人材センターが消費税を全額負担している。結果として、公益社団法人として収益を目的としない事業体であるシルバー人材センターの経営が圧迫されている。
 令和八年九月までは経過措置で仕入れ税額の八十%が控除され、令和十一年九月までは五十%が控除されるが、既にシルバー人材センターの負担が発生しており、将来的にはその額が上がっていくことになる。そのためシルバー人材センターは現在、インボイスによる収益悪化に対して、いわゆるフリーランス新法を利用して契約関係の見直しを順次進めている。具体的には、発注者が会員と直接、請負・委任契約を行い、シルバー人材センターと会員との請負・委任契約は生じないようにする。シルバー人材センターは発注者の利用申込みと、会員へのサポートを行うこととし、事業者から業務委託料を受け取るだけという形へ変更する。つまり、発注者はシルバー人材センターへの業務委託料と会員への業務委託料を分けて支払い、会員への業務委託料はシルバー人材センターを通過するだけで全額会員へと渡される。発注者は会員への業務委託料について消費税控除ができず、発注者だけが税の適用を受け負担増となる。この契約方法が全国に広がりつつあるという。
 このような契約方法が広がると、シルバー人材センターの経営や会員への負担は最小化されるとはいえ、発注者側から見ればメリットが少なく、シルバー人材センターへの仕事の依頼が減るおそれがある。「インボイス登録をしないと発注控えが生じる」という懸念が、高齢者の収入確保とやりがいを生み出すシルバー人材制度に及んでいるのである。発注者と高齢者のウィンウィンの関係が崩れかねない状況となっていることから、以下、政府の見解を質問する。

一 シルバー人材センターが、インボイス登録していない会員の消費税を負担している現状を、政府は認識しているか。またこの方式に対する見解を伺う。
二 シルバー人材センターが契約関係の見直しを行い、発注者と会員の直接契約へと移行が進んでいることを、政府は認識しているか。またこの方式に対する見解を伺う。
三 シルバー人材センターのような公益社団法人が、公益を目的とした事業を実施している場合、消費税の減免や、インボイス制度からの除外をすることは考えられないか、政府の見解を伺う。
四 会員がシルバー人材センターで得た収入は雑所得に該当するが、経費が年間五十五万円まで認められる特例のある収入であり、五十五万円までは所得税が非課税となる。多くの会員はこの制度を利用し、収入が五十五万円以下となるように仕事をしていると承知している。このように、高齢者の低額な収入に対して所得税では寛容な制度が整備されている。消費税についても、五十五万円以下の収入の会員については、発注者の消費税を免税にすることはできないか、政府の見解を伺う。
五 シルバー人材センターの公益性に鑑み、現在のシルバー人材センターの経営危機に対して、財政支援を行ったり、制度自体の見直しを行って、これまでのように発注者・シルバー人材センター・会員がウィンウィンの関係を保てるようにしていただきたい。所管部局や関係者によって対応を検討すべきと考えるが、今後の制度見直し等の予定はどうなっているか、政府の見解を伺う。
 
 右質問する。

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