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令和七年六月十七日提出
質問第三二二号

海上保安庁の離職者増加に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




海上保安庁の離職者増加に関する質問主意書


 我が国の海の安全や国境を守る海上保安庁(海保)の自己都合退職者数が増えている。二〇二四年度の一年間で三百八十九人が離職し、年度末の実員は前年比六人減の一万四千百二十三人となり、初めて前年比で減少したと報道された。法令で定める海保の定員は、二〇〇九年度から十五年間で二割近く増やすこととなっており、二〇二四年度の定員は一万四千七百八十八人となっている。定員と実員では六百六十五人の乖離が発生し、欠員が急拡大している。
 報道では、離職者数が増えている原因として、転勤までの期間が短くかつ転居を伴う異動が多いこと、船上勤務時のインターネット環境が整備されておらず家族などと満足に連絡が取れない状態が続くこと、離島勤務や長期間の船上勤務で拘束期間が長いこと、などが挙げられている。そこで海保では、二〇二三年にカイゼン委員会を設置し、約八百件の改善要望が集まり、業務の見直しや効率化などが進められた。現場の意見を汲み上げて改善を進めることは評価できるが、抜本的な待遇改善に至っていないことから離職者に歯止めがかかっていないと考えられる。
 また、海上保安学校(海保校)と海上保安大学校(海保大)の受験者数も減少しており、特に海保校では二〇二四年の受験者数が前年比でほぼ半減した。いずれの学校も受験者数は過去最低水準となっており、離職者対策に加えて新規採用も課題になっている。海保校及び海保大では、身長・体重基準の撤廃や、試験科目を減らすなど、受験生増加に向けた取組を始めている。しかし、ハードルを下げて受験生を増やすだけで解決する問題ではなく、人材の質を確保するには、卒業後の海保での就労環境や将来性が魅力的なものでなければならない。
 我が国の安全を担う重要な機関である海保が、これからも存続し機能するためには、職員の抜本的な待遇改善で人材確保を進める必要があると考え、以下質問する。

一 海保の離職者増加の原因として、報道では異動、船上のインターネット環境不全、拘束時間などが挙げられているが、政府としてどのように分析しているか、見解を伺う。
二 海保は事務官採用を増やしているが、船艇勤務は原則として海保校か海保大を卒業した海上保安官が担うと承知している。海上保安官を増やして船艇勤務の負担を減らさないと抜本的な改善につながらないと考える。海上保安官の増員について政府の見解を伺う。
三 海保校・海保大の受験制限緩和や試験科目減少だけでなく、学校生活の充実・改善や、海上保安官として就職した後の給与や待遇の改善も進める必要があると考える。政府の見解を伺う。
四 海保だけでなく、国土交通省は全体として人材難に直面していると報道されている。特に、三十歳代から四十歳代前半の職員数が少なく年齢構成が偏っており、中堅職員が空洞化していると承知している。
 1 中途採用や、海保大への編入などで、不足している年代の採用を増やすことはできないか。
 2 結婚や子育て、介護などが原因で退職してしまった海上保安官に対し、家庭の事情が一段落ついた頃に、再採用を促すことはできないか。
五 人事院の人事行政諮問会議がまとめた提言では、「転勤を伴う人事異動は、育児や介護など個人の置かれた事情を最大限斟酌する必要がある。それでも必要不可欠な転勤に対応する職員に対しては、十分な金銭的インセンティブや組織的サポート体制を整えるべきである」との文言が盛り込まれた。この提言を受けて、転勤や長期間拘束が多い海上保安官に対して金銭的なインセンティブを検討してはどうか、政府の見解を伺う。
六 海上保安官を主人公とした漫画「海猿」は、テレビドラマや映画にもなり大ヒットとなった。こうしたメディアミックスによる効果は大きいと考える。先述のような海保をモチーフにした作品を展開することに加えて、ネット上で動画やキャラクターなどを用いたり、実際の海上保安官の生活や活躍を国民に伝えることも必要ではないか。海保のイメージアップに向けたメディア対策は検討されているか、政府の見解を伺う。
 
 右質問する。

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