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令和七年六月十七日提出
質問第三二八号

生成AIで作成される商標の取扱い等に関する質問主意書

提出者  八幡 愛




生成AIで作成される商標の取扱い等に関する質問主意書


 二〇二五年六月十三日、産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会において、生成AIが作成した文字・図形等から成る商標についても現行法の下で出願・登録を認める方針が示されたと報じられた。
 報道によれば、他人の商標を学習データとして用いる行為も法律上問題はないとの見解が示されたと承知している。
 一方、海外では生成AIを巡る著作権侵害等の訴訟が相次いで提起されており、国際的な係争が継続中であることから、日本における商標実務や国際取引にも波及するリスクが指摘されている。
 生成AIは既存の膨大な商標情報を学習し、その統計的構造をもとに類似性の高い出力を生じさせる可能性があるとの指摘があり、登録後に当該商標が無効審判や民事訴訟で違法と確定する事態が生じれば、商標制度への信頼と利用者及び消費者の予見可能性に重大な影響を及ぼし得ると考える。
 以上を踏まえ、政府に質問する。

一 生成AIを使って作成された商標の識別力と業務上の信用の維持について
 1 生成AIが作成した商標も、人間が作成した商標も、商標法第三条第一項及び第二項が定める識別力の審査基準は同一で差し支えないと政府は考えるか。
 2 生成AIが作成した商標は、人間が作成した商標と同様に、商標法第一条が掲げる「業務上の信用の維持」に適合すると政府は考えるか。
二 無許可学習と意図なき模倣の評価について
 1 商標を含むデータを無許可で学習に用いる行為が不正競争防止法に抵触しないとする根拠を可能な限り具体的に示されたい。
 2 生成AIが既存の周知・著名商標の配色、語感、図形構成、使用分野等のパターンを模倣し、類似の標章を出力する場合があるが、こうした意図なき模倣により、商標の混同や出所の誤認が発生するおそれについて、政府はどのように認識しているか。
三 世界的な生成AI関連訴訟の進行に伴うリスクについて
 1 海外では、代表的な生成AIモデルを提供する企業、Stability AI、OpenAI、Midjourney等が著作権侵害等に関する訴訟で係争中であることを認識しているか。
 2 生成AIモデルを提供する企業が、国内外を問わず著作権侵害等に関する訴訟で係争中の期間について、当該生成AIモデルを用いて作成された商標が日本国内で出願又は使用されている場合、当該商標の審査・登録済み権利・使用行為をそれぞれどのように取り扱うべきと考えるか。
 3 各国で異なるAI規制や判決が並存する結果、日本企業が二重基準への適合を迫られ、訴訟費用の増大、ブランド価値の毀損、投資回収遅延等の経営リスクを負う可能性について、政府はそれぞれどのように評価しているか。
四 商標の作成に用いられた生成AIモデルが著作権侵害等で敗訴確定した場合の登録商標の効力等について
 1 商標の作成に用いられた生成AIモデルが、著作権侵害等の訴訟で敗訴確定した場合であっても、当該モデルにより生成された商標については、商標法第四十六条の二第一項が規定する「初めから存在しなかつたものとみなす」無効の遡及効が及ばないと解してよいか。
 2 商標法第三十二条が定める先使用権は、当該商標の生成に利用されたAIモデルが後日に侵害訴訟で敗訴した場合であっても存続し得ると解してよいか。
五 生成AIモデルの敗訴確定時における国の責任及び審査体制について
 1 商標の作成に用いられた生成AIモデルが著作権侵害等で敗訴確定した結果、当該モデル生成商標が無効又は侵害と判断され第三者に損害が生じた場合、国家賠償法上の責任が国に及ぶ可能性をどのように認識しているか。
 2 生成AIによって作成された商標の急増に伴い、審査リソース不足による審査遅延や係争が増大するといった運用上のリスクをどのように認識しているか。
六 生成過程の透明化と出願人による開示義務について
 生成AIによって作成された商標について、生成プロセスや学習データの出所及びいわゆる主要プロンプト等を出願人に開示させる制度を導入する考えはあるか。
七 関係者ヒアリングの実施状況について
 1 生成AIによる商標出願・登録の在り方について、これまでに政府が、クリエイター、関係業界団体、関連企業等から本件について意見を聴取した実績があるか示した上で、ある場合はその概要を可能な限り示されたい。
 2 文化庁と経済産業省の連名で総括の公表された「AIと著作権に関する関係者ネットワーク」において、本件に関する議論ないしヒアリングは行われていたか。
 
 右質問する。

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