質問本文情報
令和七年六月十七日提出質問第三三〇号
高等学校段階におけるインクルーシブ教育等に関する質問主意書
提出者 佐々木ナオミ
高等学校段階におけるインクルーシブ教育等に関する質問主意書
現在、高等学校授業料の無償化の動きに合わせて、高校教育改革の議論が進んでおり、経済財政運営と改革の基本方針二〇二五(令和七年六月閣議決定)においては、「高校教育改革等への国の支援の抜本強化を図るなど、質の高い公教育の再生を通じて我が国の学校教育の更なる高みを目指す」とされている。高等学校への進学率が約九十九%となる中、学ぶ意欲を有する全ての子どもたちに対して、高等学校段階の学びの場を確保するとともに、質の高い学校教育を提供することは極めて重要であり、国としての責務ともいえる。
それは、障害のある子どもたちに対しても何ら変わるところはない。我が国は国際連合の障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)を批准し、いわゆるインクルーシブ教育システムの構築のための取組を進めているところと承知しているが、高校教育改革と軌を一にして、高等学校段階におけるインクルーシブ教育の更なる充実をも図る必要があると考える。そこで、以下質問する。
一 高等学校段階におけるインクルーシブ教育について
1 国はどのような方針に基づき、どのような取組を進めているのか。
2 今後、取組を進めていく上で、国はどのようなニーズに応えていく必要があると考えているか。
3 インクルーシブ教育の実現のためには、環境整備や教職員体制の充実が必要不可欠であるが、これらの充実のために、国は地方公共団体や学校に対し、何らかの支援を行っているのか。また、今後の支援の在り方についてはどのように考えているのか。
二 公立高等学校の入学者選抜について
1 地方公共団体間で公立高等学校の志願者数が定員に満たない場合の、いわゆる定員内不合格の対応に違いが生じている実態について、国はどのように考えているのか。また、このような地方公共団体間の格差の解消に向けて、国として何らかの取組を行っているのか。
2 障害があることを理由とした定員内不合格者を出すことのないよう、国は公立高等学校において障害のある子どもたちを受け入れるための条件整備等に対する支援を行うべきと考えるが、政府の見解如何。
3 障害のある子どもたちが、当該公立高等学校が通級指導導入校か否かにかかわらず、地域の公立高等学校に進学を希望する場合には、社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)の観点から、学力検査や調査書に限られない多様な入学者選抜方法により、学びの場を確保していくことが必要であり、国は、地方公共団体が多様な入学者選抜方法を設ける取組を積極的に支援するべきと考えるが、政府の見解如何。
三 国連障害者権利委員会の日本の第一回政府報告に関する総括所見(令和四年九月)について
1 我が国の特別支援教育は分離教育だと捉えられ、この教育体制を見直すよう要請されたが、これを受け、国としてどのような取組を行ったのか。
2 高校教育改革を進めるに当たり、公立学校の役割を再検討する中で、国連の総括所見を踏まえ、分離教育を解消する方向性で改革を行うべきと考えるが、政府の見解如何。
右質問する。