質問本文情報
令和七年六月十七日提出質問第三四九号
風力発電施設のブレード落下事故への対応に関する質問主意書
提出者 緑川貴士
風力発電施設のブレード落下事故への対応に関する質問主意書
令和七年五月二日、秋田市新屋町の新屋海浜公園において風力発電設備のブレードが落下する事故が発生し、付近で倒れていた男性がその後亡くなった。風力発電に関連する事故が近年後を絶たず、安全面のリスクが改めて浮き彫りとなっている。以下、質問する。
一 同ブレード落下事故について、早期の原因究明が求められるが、破損したブレードは、五月末に茨城県内のメンテナンス会社の施設に運ばれ、調査が進められているという。また原因究明に向けては、経済産業省による審議会が開催予定とされ、大学の研究者を第三者委員とする新屋浜風力発電所ブレード破損事故調査委員会には、オブザーバーとして経済産業省関東東北産業保安監督部東北支部が参加しているが、事故原因に関し、政府の把握している現状と今後の対応についてそれぞれ伺う。
二 政府は、第七次エネルギー基本計画において再生可能エネルギーを令和二十二年までに全体の四、五割まで増やす目標を掲げるが、国策として進める風力発電に関連する事故が相次いでいる。政府によれば、令和五年度までの五年間に風力発電に関連する事故は約二百件発生し、このうち羽根が破損したケースは約三十件あることが確認されている。風車の大型化も進んでおり、今後も落下事故が起きた場合、重大な被害が生じるおそれがある。秋田県内には陸上の風力発電所が現在七十六カ所あり、計三百七基の風車が稼働し、今回の事故が起きた風車と同様に、公園や海水浴場等に隣接し、地域住民等が設備まで接近できる発電所が少なくない。事業者の自主的な点検等の体制強化を促すだけでなく、原因究明と再発防止、地元の理解を得ながら共生を図る取組等が求められており、国として積極的に関与していく必要があると考えるが、政府の見解と対応を伺う。
三 第二百十七回国会において、いわゆる環境影響評価法が改正され、規模や位置を大きく変えずに古くなった発電施設等を建て替える際の環境影響評価の手続の簡略化が可能となった。他方、風力発電事業が同法の対象となったのは平成二十四年からであり、同年以前に設置された同設備の多くは環境影響評価の手続を経ておらず、適切な立地の検討や環境影響の調査がなされていない可能性がある。しかし、同改正法に基づき、同年以前に設置された同設備の建替事業も一律に同改正法の対象となり、環境影響評価に係る手続が簡略化されることとなる。同ブレード落下事故が起きた同設備の運転開始は平成二十一年であり、平成二十四年以前に設置した設備の周辺地域の安全性に大きな影響が生じる事態となっている。平成二十四年以前に設置した設備に対しては、同改正法による手続の簡略化を安易に認めず、地元の理解を得るためにも、立地の再検討等を含めた慎重な対応が求められると考えるが、政府の見解と対応を伺う。
右質問する。