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令和七年十一月十日提出
質問第五五号

埼玉高速鉄道線の延伸に関する質問主意書

提出者  三角創太




埼玉高速鉄道線の延伸に関する質問主意書


 埼玉高速鉄道線は、東京地下鉄南北線と一体で「地下鉄七号線」を構成し、直通先の各線を介して、東京都心部のみならず、東海道新幹線新横浜駅などの神奈川県内の主要駅まで直結する、利便性の高い路線である。その上、現在、直通先の東京地下鉄南北線の分岐線として、東京国際空港(羽田空港)にアクセスする京浜急行電鉄のターミナルで、リニア中央新幹線の始発駅となる品川駅までの路線の建設が進められており、同鉄道線の更なる利便性の向上が見込まれている。
 これに加えて、埼玉高速鉄道線そのものについても、平成二十八年四月の国土交通省交通政策審議会答申第百九十八号(以下「平成二十八年答申」という。)において、浦和美園〜岩槻〜蓮田間の延伸が「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」の一つに位置付けられている。現在、埼玉県及びさいたま市は、このうち浦和美園〜岩槻間を先行整備区間と位置付け、都市鉄道等利便増進法の速達性向上事業の活用による延伸の早期実現を目指している。
 さいたま市によれば、先行整備区間の延伸については、令和六年度の検討状況を踏まえ試算した結果、中間駅周辺まちづくり事業の規模拡大や工期短縮などにより、費用便益比(B/C)が一を超える目途が立ってきているとのことであり、埼玉高速鉄道線の延伸に対する地域の期待がいよいよ高まっている。
 一方、都市鉄道の整備について、令和六年六月に国土交通省「今後の都市鉄道整備の促進策のあり方に関する検討会」がまとめた報告書(以下「検討会報告書」という。)は、高速性、大量性、定時性に優れる都市鉄道が我が国の都市における社会経済の諸活動を支える重要なインフラであり、鉄道が他の交通機関と比較してエネルギー効率が高く、脱炭素社会の実現にも資する一方、コロナ禍の影響と中長期的な人口減少による今後の輸送需要見込みとが相まって、鉄道事業者が大規模な設備投資に積極的に取り組むことが困難な状況であることを指摘している。
 検討会報告書では、今後の都市鉄道整備の費用負担の在り方に関する方向性として、運賃を原資とした鉄道事業者による負担を基本としつつ、引き続き国や地方公共団体が各種補助制度等を通じて支援を行うことや、開発利益を還元する観点からより広い受益者に費用負担を求めることが示されている。すなわち、埼玉高速鉄道線の早期延伸には、財政的な支援に加え、費用負担に関する制度設計など、都市鉄道整備に対する国の取組が極めて重要になっている。
 これに関連し、次の事項について質問する。

一 埼玉高速鉄道線の延伸は、東京都心部への速達性の向上や埼玉県中央部の鉄道空白地域の解消を通じた東京圏の鉄道ネットワークの強化、災害等による平行路線の遅延時における代替路線機能の充実はもちろんのこと、沿線地域のまちづくりの促進を通じた成長発展、さらには環境負荷の低減等に資する社会的意義の大きい事業であり、国としても早期事業化に向けた取組を行う必要性が高いと考えられるが、政府の認識如何。
二 埼玉県及びさいたま市は、平成二十八年答申において埼玉高速鉄道線の延伸の課題として事業性が挙げられたことを踏まえ、住民、行政、大学等の参画・連携・協働により浦和美園駅、中間駅、岩槻駅の周辺地区ごとにまちづくりの方策を検討するなど、事業性の向上のための取組を進めており、その結果、令和六年度までにB/Cが一を超える目処が立つに至っている。また、直近では令和七年四月に、各種取組の進展を踏まえ、大野埼玉県知事及び清水さいたま市長が、中野国土交通大臣に対し、「埼玉高速鉄道(地下鉄七号線)延伸の早期実現に向けた支援に係る要望」を提出した。これらの取組及び要望に対する政府の見解如何。
三 平成二十八年答申では、おおむね二〇三〇(令和十二)年頃の東京圏の都市鉄道ネットワークを念頭に置くとする一方で、平成十二年一月の運輸省運輸政策審議会答申第十八号以前の答申と異なり、各路線のプロジェクト効果の発現時期が示されていない。この点については、鉄道事業における需給調整規制の撤廃等に伴い、そのような発現時期を国の審議会が決定することが制度にそぐわなくなったとの議論を踏まえたと説明されている。しかしながら、国として鉄道ネットワーク構想を提示し、かつ、これが各地のまちづくりを通じて都市政策や国土政策にも直結する以上、沿線自治体、鉄道事業者等の調整に全てを委ねるのではなく、国が調整の進展に応じて目標時期を設定するなど、整備に向けて、より積極的な関与を行うことが国として在るべき姿勢と考えるが、政府の見解如何。
四 埼玉高速鉄道線の延伸を確実かつ早期に実現するためには、検討会報告書にあるとおり、鉄道事業者による大規模な設備投資が困難となっている現状を踏まえ、事業費の安定的な確保等、都市鉄道整備に対する国の積極的な取組が重要となっている。今後、政府は、検討会報告書を受けて検討を行った「都市鉄道整備の開発利益の還元策等に関する検討会」の取りまとめ(令和七年六月)の実践も含め、埼玉高速鉄道線の延伸等の都市鉄道の整備の促進策として、いつまでに、どのような措置を講じようとしているか、方針を示されたい。
五 B/Cを算出する上での社会的割引率が実態との乖離が大きく、改善の余地があると考えるが如何。また、そのような乖離を含め、これまで都市鉄道等利便増進法が自治体の事業実施要請に基づく事業が一例もなかった要因と利活用されるために改善が必要と考えられるが如何。
六 埼玉高速鉄道から認可申請がなされた後の事業手続の流れ、認可までの想定される期間はどの様に考えているか。認可申請を受けた場合、法令に則り、予算が確保されていくものと理解しているが、令和八年度に予算確保に向けた鉄道局としての取組状況は如何。

 右質問する。

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