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令和七年十一月十日提出
質問第五八号

AIを自然言語で律することの限界に関する質問主意書

提出者  八幡 愛




AIを自然言語で律することの限界に関する質問主意書


 人工知能(AI)は、確率分布の近似、最適化理論、統計的推定、さらには非線形動力学系の解析など、厳密な数学的枠組みを基盤として構成されている。AIの挙動は、自然言語による指示や倫理的規範に直接依存するものではなく、定義域、目的関数、損失関数、パラメータ更新則、確率的サンプリングといった数学的構造によって決定されるものである。
 しかしながら、近年策定されているAI規制やガイドラインの多くは、技術的・数学的な妥当性の検証を十分に経ることなく、倫理的観点や社会的懸念といった言語的枠組みを前提として制度設計が行われている現状があると承知している。数学的対象に対し、自然言語的・情緒的な基準によって制約を課すことは、記号体系の階層を混同する行為であり、制度としての再現性、予測可能性及び技術的透明性を損なう重大なリスクを伴うと考える。
 AIを制御しようとする政策や法令が、その数学的構造を理解せずに立案される場合、技術的誤認に基づく誤った規制が行われる懸念があり、また、将来的な研究・産業発展への阻害要因となるおそれがあると考える。
 よって、以下、政府に質問する。

一 AIは、確率的最適化、近似理論及び統計的学習理論に基づく数理モデルであり、その挙動は定義域、目的関数、確率分布、更新則といった数学的構造によって決定される数学的対象であると認識しているか。
二 AIの挙動を自然言語による倫理基準や禁止表現等で制御しようとする試みは、科学的にどのような限界を有すると認識しているか。
三 AI関連の法制度、倫理指針及びガイドラインの策定において、数理科学、情報理論、統計学等の専門家による技術検証を制度的に義務づけているか。また、現行の策定プロセスで専門家による技術検証はどの段階でどのように行われているか、併せて示されたい。
四 AIの数学的構造を理解せずに立案された法制度が、研究開発、産業実装、安全保障技術等に及ぼす負の影響について、どのように分析しているか。
五 AIのような数学的対象を規制する上で、法令等の自然言語による抽象的規範から、定量的パラメータ、再現試験、実証ログ等を用いた技術検証を踏まえた規範へ移行する考えはあるか。
六 AIを規制する議論において、非専門的な印象論に偏らず、科学的透明性、再現性及び説明可能性を確保するための制度的基盤を整備する考えがあるか。
七 今後のAI政策全般において、自然言語のみによる規制よりも数学的理解と技術検証に基づいた規範の形成を原則とする方針を打ち立てる考えがあるか。

 右質問する。

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