質問本文情報
令和七年十一月十二日提出質問第六三号
中国当局による学問の自由の侵害に関する質問主意書
提出者 松原 仁
中国当局による学問の自由の侵害に関する質問主意書
英国放送協会(BBC)は、本年十一月三日、英国のシェフィールド・ハラム大学が、中華人民共和国(中国)当局から二年以上にわたって圧力及び嫌がらせを受けた結果、同大学のローラ・マーフィー教授及びその研究チームによるウイグル人の強制労働に関する最終研究結果の出版を取り止め、同教授に対し中国におけるサプライチェーン及び強制労働に関する研究の継続はできない旨を通告したと報じている。報道によれば、中国当局は、同大学ホームページへの中国国内からアクセス及び電子メール送受信を遮断して留学生募集を困難にしたほか、情報当局者が同大学の中国事務所を複数回訪問し職員を威圧したとされる。
BBCによれば、英国政府は事態を把握した後、デービッド・ラミー外相(当時)が中国外相に対し、英国の大学の学問の自由を圧殺する試みを容認しない旨を伝えて警告した。また、英国政府報道官はBBCに対し、「外国政府による、英国領域内の個人に対する脅迫、嫌がらせ又は危害を加えようとするいかなる試みも容認しない。政府は本件について了知した後、その旨を中国政府に対して明確に伝えた。」と述べている。
以上を踏まえ、お尋ねする。
一 学問の自由は、我が国において日本国憲法第二十三条で保障されているのみならず、国際社会全体で普遍的な価値として尊重されるべきものと考えるが、政府の見解如何。
二 我が国の公的もしくは民間の教育機関又は研究機関に対する、中国当局による研究中止を要求する等の圧力について、政府として把握している現在又は過去の事案はあるか。もしも把握しているならば、事案の詳細と対応の経緯を可能な限り明らかにされたい。
三 政府は、外国勢力による我が国の学問の自由への不当な侵害を防止するため、研究機関や教育機関に対して実態調査を実施し、また相談窓口を設置するなどの対応を行うべきであると考える。また、該当する事案が把握された場合には、必要に応じて外交ルートを通じた厳正な抗議を相手国へ行うべきと考えるが、見解如何。
右質問する。

