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令和八年四月三十日提出
質問第一一号

交通事故等による被害を受けた胎児に係る法整備に関する質問主意書

提出者  日野紗里亜




交通事故等による被害を受けた胎児に係る法整備に関する質問主意書


 愛知県一宮市で令和七年五月、妊娠中の研谷沙也香(とぎたにさやか)さんが交通事故(以下、「本事件」という)に遭い、死亡した。本事件で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の罪に問われた被告の第二回公判が四月二十六日、名古屋地裁一宮支部で行われた。検察側は、事故直後に搬送先の病院で産まれ、脳に障害が残った長女の氏名を起訴内容に追加し、胎児への被害に言及する訴因変更請求をした。
 この研谷さんの長女は、日七未(ひなみ)ちゃんで、地検幹部は、訴状への氏名の追加について、「胎児が傷害を負ったのは事実で、裁判で問うべきだと考えた」と述べた。裁判所は訴因変更請求を認め、児野被告は変更後の起訴内容について「違っているところはありません」と認めたと報じられている。
 一方、検察側は、胎児への過失運転致傷罪の適用は見送った。刑法上、胎児は母体から外に出て初めて「人」と解釈されるため、同罪には問えないとの判断を行った。
 検察側が提出した医師の供述調書によると、事故の影響で母体からの酸素供給が滞った結果、日七未ちゃんは脳に障害が残った。意識を持って動くことは困難であり、自発呼吸も難しいという。
 研谷さんの夫の友太さんは、日七未ちゃんに傷害を負わせたとして過失運転致傷罪の適用を求め、十一万筆を超える署名を検察側に提出している。
 研谷友太さんは、公判後の会見で、「遺族としては残念な結果で終わってしまった。法的な壁は非常に大きかったと実感している」と述べた。代理人の森亮爾弁護士は、「検察側は、事故の影響を受けたときに「人」でなければならないとする立場に立った」と見解を示した。
 令和八年三月二十五日、愛知県議会は、本事件を受け、「交通事故等による被害を受けた胎児に係る法整備についての意見書」を議決し、衆参の議長、内閣総理大臣、法務大臣、国土交通大臣に提出した。
 右を踏まえて、以下質問する。

一 交通事故等による母体への加害行為によって胎児が出生後に死傷した場合における自動車運転死傷処罰法等の処罰規定について、刑法上の見直しも含めた議論を行うべきではないか。
二 死傷した胎児について、刑事訴訟法の犯罪被害者参加制度における被害者としての地位が認められるよう運用改善を図るべきではないか。
三 交通事故等により出生前に障害を負った子どもとその家族が、生涯にわたり十分な医療や福祉を受けられるよう、自賠責保険制度の拡充など公的な被害者支援体制の充実を図るべきではないか。
四 令和八年四月十五日、衆議院法務委員会で和田政宗議員は、「刑法上、胎児への加害、これは母体の一部への傷害として現在扱われています。ただ、医学の進歩により、私、医学界、様々な科、産婦人科、外科、先生方にお聞きをいたしましたけれども、今、胎児を子宮外に一部取り出して治療したりですとか、胎児の成長過程での人間性、もう皆さん御存じのとおり、四か月、五か月になってくると」「こういった成長過程での人間性というものは証明されている」「刑法で胎児が人として扱われないというのは、これは非常におかしいという声が多くあ」ると指摘している。これに対して法務大臣は、「刑法や自動車運転死傷処罰法において、一般に胎児は人そのものではなく、母体の一部を構成するものと解されて」いるとしつつも、「人の生命観、倫理観に深く関わる事柄で」あるものの、「胎児をどの段階から人として扱うべきか」などの課題があり、「慎重かつ丁寧な検討が必要である」と答弁している。しかしながら、「胎児をどの段階から人として扱うべきか」が課題であると認識し、「慎重かつ丁寧な検討が必要である」としている以上、速やかに「検討」を始めるべきではないか。政府の見解如何。
五 四に関連して、胎児が人であるか否かの解釈について、現行法令の間で、齟齬が生じているとの認識を持っているのか。政府の見解如何。
六 四月二十六日、名古屋地裁一宮支部で行われた本事件の第二回公判後の記者会見で、代理人の森亮爾弁護士は、「検察側は、(胎児も)事故の影響を受けたときに「人」でなければならないとする立場に立った」との認識を示したが、法務省の認識も同じであると考えてよいか。違うとすれば、どのような理由で違うのか。
七 令和八年四月十六日、衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会での、私、日野紗里亜の、「こども基本法におきまして」「心と体の発達にある人を子供としているが、こちら、出生前の胎児もこの子供に入りますでしょうか」の問いに対して、こども家庭庁の成育局長は、「胎児も含まれる」と答弁している。このように法律によって、胎児が適用対象になったり、適用外になったりすることは、法律の適用範囲の予見性、または法令そのものの安定性を欠くことになりかねない。どの法令では胎児が人として扱われ、法令の適用対象になり、あるいは、適用対象にならないのか、現行法の間で整合性を取りつつ、明示しておくべきではないか。政府の見解如何。
 
 右質問する。

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