答弁本文情報
令和八年五月十五日受領答弁第一一号
内閣衆質二二一第一一号
令和八年五月十五日
内閣総理大臣 高市早苗
衆議院議長 森 英介 殿
衆議院議員日野紗里亜君提出交通事故等による被害を受けた胎児に係る法整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員日野紗里亜君提出交通事故等による被害を受けた胎児に係る法整備に関する質問に対する答弁書
一及び四について
お尋ねについては、令和八年四月十五日の衆議院法務委員会において平口法務大臣が答弁したように、「刑法や自動車運転死傷処罰法においては、一般に胎児は人そのものではなく、母体の一部を構成するものと解されており、母体に対する有形力の行使によって胎児に傷害結果が生じた場合には、母体に被害が生じたものと捉えられて」いるところ、「胎児を刑法等において人そのものとして位置づけるかどうかというのは、人の生命観、倫理観に深く関わる事柄である上、胎児をどの段階から人として扱うべきか」などの「課題があり、慎重かつ丁寧な検討が必要である」ため、「胎児」を「人」として位置付けるか否かは、「幅広い観点からの議論が十分に積み重ねられることが重要であり」、政府としては、その動向を見守ってまいりたいと考えている。
二について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、出生前に受傷した胎児が、出生後に、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十六条の三十三第一項にいう「被害者等」に当たるか否かについては、個別の事案ごとに、適切に判断されているものと承知している。
三について
お尋ねの「自賠責保険制度の拡充など公的な被害者支援体制の充実」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「交通事故」「により出生前に障害を負った子ども」については、その障害の程度により、自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)第七十七条の二第一項に規定する被害者保護増進等事業において、同条第二項及び独立行政法人自動車事故対策機構法(平成十四年法律第百八十三号)第十三条に基づき、独立行政法人自動車事故対策機構が設置し、及び運営する治療及び養護を行う施設に入院することや同機構から介護料の支給を受けること等が可能であり、政府としては、今後とも、自動車事故被害者に寄り添った支援の充実に努めてまいりたい。
また、医療を受けようとする者が、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)に規定する自立支援医療費の支給対象者に該当する場合には、その障害の原因にかかわらず、自立支援医療費の支給を受けることが可能であり、政府としては、今後とも、医療を受けようとする者への支援の充実に努めてまいりたい。
五について
お尋ねの「現行法令の間で、齟齬が生じている」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、法令の解釈については、各法令の趣旨、目的等に即してなされるべきものであるところ、胎児が刑法(明治四十年法律第四十五号)及び自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成二十五年法律第八十六号)に規定されている「人」に該当するか否かの解釈について、他の法令の解釈との整合性に問題があるとは考えていない。
六について
お尋ねは、現在、公判係属中の刑事事件に関わる事柄であり、お答えすることは差し控えたい。
七について
お尋ねの「現行法の間で整合性を取りつつ、明示しておく」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、胎児が法令の規定の適用対象となるか否かについては、各法令の趣旨、目的等に即して判断されるべきものであり、必要に応じて、個々の法令の規定や判例等により明らかにされているものと承知している。

