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令和八年六月五日提出
質問第一五号

技能実習生など外国人女性の妊娠・出産に関する問題への対応に関する質問主意書

提出者  早稲田ゆき




技能実習生など外国人女性の妊娠・出産に関する問題への対応に関する質問主意書


 技能実習生らの妊娠・出産に関する問題については、二〇二四年には内閣衆質二一三第一三六号、また二〇二五年には内閣衆質二一七第二一五号として、それぞれ答弁書が出されている。しかし、その後も外国人女性の孤立出産、又は死産後に支援につながらなかった事案に関連する事件が相次いで報道されている。これまでの対策が、相談、技能実習の継続・再開、医療・母子保健サービスへの接続、不利益取扱いの防止等にどのように結び付いているのかは、十分に明らかにされていない。
 二〇二六年一月、岐阜県各務原市で孤立出産をしたベトナム人女性が死体遺棄罪で逮捕され、その後、殺人罪で起訴されたと報道されている。同年五月には、栃木県芳賀町で、農業研修プログラムで来日したインドネシア国籍の大学生が、また、埼玉県深谷市で特定技能の在留資格で食品加工関連会社に勤務していたインドネシア人女性が、自宅で産んだ子の遺体を遺棄した疑いで逮捕されている。
 なお、二〇二〇年十一月に孤立出産をして死産した子を遺棄したとして逮捕・起訴されたベトナム人技能実習生レー・ティ・トゥイ・リンさんは、第一審、二審ともに有罪となったが、最高裁に上告し、二〇二三年三月に逆転無罪となった。しかし、二〇二四年二月に同様の事件で逮捕されたベトナム人技能実習生グエン・ティ・グエットさんが無罪を主張した裁判では、最高裁が二〇二六年三月九日付で上告を棄却し、同月二十七日付で異議申立ても棄却され、懲役一年六月、執行猶予三年の有罪判決が確定している。
 孤立出産や死産後の対応が刑事事件化している背景には、妊娠を相談できない環境、医療・母子保健・在留手続に関する情報不足、妊娠を理由とする退職・帰国勧奨への不安があることは、これまでの事件報道や裁判資料からも明らかである。事件発生前に、外国人女性が早期に相談・支援につながる仕組みを整備することが急務である。
 政府はこれまで、技能実習生らに対する妊娠・出産を理由とする不利益取扱いの禁止、相談窓口の周知、多言語情報提供等を行ってきたと答弁している。しかし、妊娠した外国人女性からの相談件数、技能実習の継続・再開件数、不利益取扱いに関する行政処分件数等について、制度別・在留資格別に十分な情報が示されているとはいえない。
 外国人女性の妊娠・出産をめぐる課題は、言語支援、医療アクセス、母子保健、在留資格、労働現場での不利益取扱いなど多岐にわたる。育成就労制度の開始まで一年を切った今、政府としてこれまでの対応を検証し、制度移行前に対策を強化する必要がある。
 以上を踏まえて、以下質問する。

一 妊娠又は出産を事由とする技能実習実施困難時届出数について
 1 答弁第二一五号では、二〇二四年三月三十一日までの、@妊娠・出産を理由とした技能実習実施困難時届出数、A@のうち技能実習の継続意思を有するもの、B技能実習を再開する技能実習計画の認定が確認できたものの数が示された。同年四月一日以降、直近までの各件数を、年度別、国籍・地域別に示されたい。
 2 答弁第二一五号「二の4について」では、妊娠又は出産を事由とする技能実習中断後の再開例について、個人情報等に差し障りのない範囲で技能実習生本人、監理団体、実習実施者に対して聴取を行い、復職できた例を示すことについて「その必要性及び有効性を含めて検討してまいりたい」と回答している。検討の結果を示されたい。
 3 二〇二五年には、元技能実習生で現在は特定技能一号で働く鹿児島県在住のベトナム人夫婦及びその受入れ機関が、妊娠、出産、育児の経験を共有した事例が新聞等で報道されている。1で触れた政府が把握している件数を踏まえれば、こうした事例を共有することは、受入れ機関、監理団体、登録支援機関、地方自治体の連携及び相談支援の重要性を示す上で有効であると考える。外国人技能実習機構において、妊娠又は出産による実習中断後の再開例及び支援例は、本人及び関係者の承諾を得ることを前提に公開を原則とすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
二 妊娠・出産等を理由とした技能実習生に対する不利益取扱いの禁止に関する行政処分件数について
 二〇二五年十一月五日に移住労働者と共に生きるネットワーク・九州が福岡出入国在留管理局と行った意見交換会の記録によれば、「二〇二四年中に技能実習生の妊娠・出産に関して適切に対応しなかったことを理由に、主務官庁が行政処分を行った件数は一件」であるとされている。二〇二五年度、すなわち同年四月一日から二〇二六年三月三十一日までに、妊娠・出産に関して適切に対応しなかったこと等の理由で、監理団体又は実習実施者に対してなされた行政処分の件数、根拠法令、処分の種類及び事案の概要を、個人情報に配慮した上で示されたい。その上で、法務省、厚生労働省、外国人技能実習機構が実習実施者及び監理団体等に出している「妊娠等を理由とした技能実習生に対する不利益取扱いについて(注意喚起)」の効果の有無について、見解を示されたい。
三 「特定技能一号」「研修」等の在留資格者及び在留資格移行期における不利益取扱いの現状把握について
 1 技能実習だけでなく、特定技能の在留資格者においても孤立出産に起因する事件がすでに発生している。また、外国人支援団体には、特定技能の在留資格者からも、妊娠や出産を理由とした不利益取扱いを受けたという相談が入っている。しかし、特定技能については、技能実習実施困難時届出に相当する形で、妊娠又は出産を事由とする就労の中断・再開を把握する仕組みが確認できない。技能実習生以外も含めて、妊娠又は出産を理由とする不利益取扱いを受けるおそれのある外国人就労者からの相談件数を把握する必要があると考える。厚生労働省は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)等に寄せられた、外国人就労者からの妊娠又は出産を理由とする退職勧奨、帰国勧奨、解雇、雇止めその他の不利益取扱いに関する相談について、在留資格別、国籍・地域別又は相談内容別に件数を把握又は集計しているか。把握又は集計していない場合、その理由を明らかにするとともに、実施を検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
 2 出身国の大学のインターンシップ制度を利用して、在留資格「研修」で来日後に、農家やホテルで研修する外国人女性が妊娠又は出産した場合、相談支援、医療機関への接続について、また、それぞれの受入れ機関に対して法務省、厚生労働省、外国人技能実習機構が実習実施者及び監理団体等に出している「妊娠等を理由とした技能実習生に対する不利益取扱いについて(注意喚起)」のような対応をしているのか、関係省庁の対応状況をそれぞれ示されたい。
 3 技能実習終了後、特定技能一号での就労開始の移行期、又は転職・転籍の手続中に妊娠又は出産が判明した場合、在留資格変更、雇用継続、産前産後休業について、外国人本人が不利益を受けないよう、出入国在留管理庁、厚生労働省その他関係省庁は、どのような周知又は指導を行っているか示されたい。

 右質問する。

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