質問本文情報
令和八年六月十九日提出質問第一九号
留学生の妊娠・出産を契機とする退学等の実態把握に関する再質問主意書
提出者 早稲田ゆき
留学生の妊娠・出産を契機とする退学等の実態把握に関する再質問主意書
外国人留学生が妊娠又は出産を理由又は契機として直面する問題については、二〇二六年六月十六日付内閣衆質二二一第一六号答弁書において、政府は、留学生が妊娠又は出産した事実のみをもって、本人の意思に反して退学、休学、転校・転学又は帰国を求めることは適切ではないとの見解を示した。また、妊娠又は出産した事実のみをもって直ちに在留資格「留学」を失うものではなく、在留期間更新又は在留資格変更の可否は個別の事情に応じて判断される旨の見解を示した。
この答弁を実効性あるものとするためには、留学生が妊娠又は出産を契機として退学、除籍、休学、転校・転学、帰国勧奨又は所在不明化等に至っていないかを、学校種別ごとに継続的に把握する必要がある。
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の二〇二五年度外国人留学生在籍状況調査結果によれば、同年五月一日現在の外国人留学生総数は四十万八千六十九人である。在学段階別では、大学院六万十三人、大学(学部)九万二千四百四十二人、短期大学四千百三十八人、高等専門学校五百二十七人であるのに対し、専修学校(専門課程)は十万六千八百二十九人、日本語教育機関は十四万百七十四人である。専修学校(専門課程)及び日本語教育機関の在籍者を合わせると二十四万七千三人となり、外国人留学生全体の約六割を占めている。
したがって、妊娠又は出産を契機とする退学等の実態把握を、大学、短期大学及び高等専門学校に限って行うだけでは、外国人留学生全体の実態を十分に把握することはできない。特に、私費留学生が多数在籍する専修学校(専門課程)及び日本語教育機関において、妊娠又は出産を契機として退学、除籍、休学、転校・転学、帰国勧奨又は所在不明化等に至る事案が把握されなければ、第一回答弁で示された政府見解の実効性は十分に確保されない。
文部科学省は、大学、短期大学及び高等専門学校に対し、外国人留学生の退学者、除籍者及び所在不明者等について定期報告を求めている。さらに、二〇二六年度より、当該定期報告に係る名簿ファイルの理由欄に「妊娠・出産」の項目を追加したと承知している。これは、これまで「その他」等に埋没し可視化されにくかった妊娠・出産を契機とする退学等の実態把握に向けた重要な前進である。
しかし、当該項目が報告様式上設けられても、集計又は分析の段階で「その他」に統合されれば、妊娠・出産を契機とする退学等の実態は把握できない。また、専修学校(専門課程)及び日本語教育機関において同様の項目で把握されなければ、外国人留学生全体の約六割を占める層について、妊娠・出産を契機とする退学等の実態が制度的に可視化されないことになる。
さらに、日本語教育機関については、日本語教育機関認定法に基づく認定日本語教育機関制度が開始され、文部科学省が教育の質及び適正な運営に関与する制度となっている。認定日本語教育機関に在籍する留学生についても、妊娠又は出産を契機とする退学等の実態を把握する必要性は、大学、短期大学及び高等専門学校と同様に存在する。
以上を踏まえ、以下質問する。
一 大学、短期大学及び高等専門学校に係る定期報告における「妊娠・出産」項目について
1 文部科学省が、二〇二六年度より、大学、短期大学及び高等専門学校に係る外国人留学生の退学者、除籍者及び所在不明者等の定期報告において、理由欄に「妊娠・出産」の項目を追加したとの理解でよいか。追加した場合は、当該項目が設けられた報告の名称、様式名、対象となる学校種、対象となる事案類型及び報告頻度を示されたい。
2 前問の「妊娠・出産」の項目は、退学、除籍、休学、転校・転学又は所在不明等に至った外国人留学生について、その理由又は契機として妊娠又は出産があった場合を、他の理由と区別して把握するために設けられたものとの理解でよいか。異なる場合は、当該項目の趣旨を示されたい。
3 当該定期報告において「妊娠・出産」として報告された件数について、文部科学省は、少なくとも内部資料上、他の理由項目又は「その他」に統合せず、「妊娠・出産」として独立して把握するのか。独立して把握しない場合は、その理由を示されたい。
4 当該定期報告において「妊娠・出産」として報告された件数について、文部科学省は、学校種別、国籍・地域別及び事案類型別に集計することができるか。集計できる場合は、対外的な公表に当たり個人が特定されるおそれがある場合であっても、内部の実態把握及び政策検討のためには独立した項目として集計するのか示されたい。集計できない場合は、その理由を示されたい。
二 専修学校に在籍する外国人留学生に関する把握について
1 専修学校、特に専門課程に在籍する外国人留学生について、退学、除籍、休学、転校・転学又は所在不明等が生じた場合、文部科学省又は都道府県は、その理由又は契機を報告させる仕組みを有しているか。仕組みがある場合は、報告の根拠、様式名、報告項目、報告頻度及び報告先を示されたい。仕組みがない場合は、その理由を明らかにされたい。
2 前問の報告項目に「妊娠・出産」は独立項目として含まれているか。含まれている場合は、大学、短期大学及び高等専門学校に係る定期報告と同様に、他の理由項目又は「その他」に統合せず、独立して把握しているか示されたい。含まれていない場合は、「妊娠・出産」を独立項目として追加することについて、制度上又は技術上の支障があるか示されたい。
3 専修学校に係る報告項目に「妊娠・出産」を追加することについて制度上又は技術上の支障がない場合、大学、短期大学及び高等専門学校に係る定期報告と同様に、当該項目を追加する考えがあるか。追加しない場合は、その理由を示されたい。
三 日本語教育機関及び認定日本語教育機関に在籍する外国人留学生に関する把握について
1 日本語教育機関又は認定日本語教育機関に在籍する外国人留学生について、退学、除籍、休学、転校・転学又は所在不明等が生じた場合、文部科学省又は出入国在留管理庁は、その理由又は契機を報告させる仕組みを有しているか。仕組みがある場合は、報告の根拠、様式名、報告項目、報告頻度及び報告先を示されたい。仕組みがない場合は、その理由を明らかにされたい。
2 前問の報告項目に「妊娠・出産」は独立項目として含まれているか。含まれている場合は、他の理由項目又は「その他」に統合せず、独立して把握しているか示されたい。含まれていない場合は、「妊娠・出産」を独立項目として追加することについて、制度上又は技術上の支障があるか示されたい。
3 認定日本語教育機関は、文部科学大臣の認定を受ける教育機関であり、文部科学省が教育の質及び適正な運営に関与する制度である。認定日本語教育機関において、留学生が妊娠又は出産した事実のみをもって、本人の意思に反して退学、休学、転校・転学又は帰国を求められた事案を文部科学省が把握した場合、当該事案は、指導、助言又は改善を求める対象となり得るか示されたい。
四 学校種別による把握の差と今後の対応について
1 政府は、二〇二六年六月十六日付内閣衆質二二一第一六号答弁書において、留学生が妊娠又は出産した事実のみをもって、本人の意思に反して退学、休学、転校・転学又は帰国を求めることは適切ではないとの見解を示している。この見解は、大学、短期大学及び高等専門学校に限らず、専修学校、日本語教育機関及び認定日本語教育機関に在籍する留学生についても同様に妥当するとの理解でよいか。
2 大学、短期大学及び高等専門学校に係る定期報告では「妊娠・出産」項目が設けられている一方、専修学校、日本語教育機関又は認定日本語教育機関に係る報告において同項目が設けられていない場合、政府は、学校種別により、妊娠又は出産を契機とする退学等の実態把握に差が生じていると認識するか。差が生じていないと考える場合は、その理由を示されたい。
3 専修学校、日本語教育機関又は認定日本語教育機関に係る報告において、現時点で「妊娠・出産」を独立項目として把握していない場合、今後、当該項目を追加することについて、文部科学省、出入国在留管理庁及び都道府県との間で協議を行う考えがあるか。協議を行わない場合は、その理由を示されたい。
4 大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、日本語教育機関又は認定日本語教育機関において、留学生が妊娠又は出産を理由又は契機として退学、除籍、休学、転校・転学又は所在不明等に至った事案を把握する場合、当該留学生が医療機関、地方公共団体の母子保健担当部署、母子健康手帳の交付、妊婦健康診査、出産・子育てに関する相談窓口等につながったかについても、併せて把握する考えがあるか。把握しない場合は、その理由を示されたい。
5 前問のように、留学生が医療機関、地方公共団体の母子保健担当部署、母子健康手帳の交付、妊婦健康診査、出産・子育てに関する相談窓口等につながったかを把握する場合、当該留学生が本人の十分理解できる言語で、医療機関への受診、母子保健サービス、出産費用、在留期間更新又は在留資格変更、休学・復学、子の在留資格及び相談先について情報提供を受けた上で意思決定したかについても、併せて把握する考えがあるか。把握しない場合は、その理由を示されたい。
右質問する。

