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答弁本文情報

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平成十二年十一月十七日受領
答弁第二四号

  内閣衆質一五〇第二四号
  平成十二年十一月十七日
内閣総理大臣臨時代理
国務大臣 福田康夫
       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員小沢和秋君外一名提出農産物の緊急輸入制限に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小沢和秋君外一名提出農産物の緊急輸入制限に関する質問に対する答弁書



一について

 野菜生産出荷安定法(昭和四十一年法律第百三号)に定める指定野菜十四品目の過去十年間の国内生産量、輸入量及び卸売価格の推移は、別表のとおりである。
 国内生産は、野菜消費の減少等により減少傾向にあり、輸入は、主として国産野菜の不作等による不足を補う形で行われている。卸売価格は、天候による作柄の変動等に応じて変動しており、価格の上昇傾向又は下落傾向が一貫して続いているという状況ではない。

二について

 生鮮野菜の価格は、野菜供給全体の八十五パーセント程度が国内生産により供給されている我が国の野菜の需給構造の中で、天候による作柄の変動等に応じて変動しており、本年前半に卸売価格が総じて平年値(平成三年から平成十一年までの九年間の平均値)を下回る価格で推移したのは、その期間が天候に恵まれ、国産野菜の生育が順調であったため出荷量が増加したことが主因であると考えている。
 なお、野菜の輸入による国内の野菜生産への影響について実態を把握するため、現在、農林水産省において都道府県等を通じて情報の収集に努めているところである。

三について

 農産物についてセーフガード措置の発動を求める意見書を採択し、これを政府に提出した地方公共団体の議会の数は、平成十二年一月一日から十月三十一日までの間で三百九十五であり、その主な内容は、輸入の急増している農産物についてセーフガード措置の発動を求めるもの等であると承知している。
 農産物に係るセーフガード措置の発動に当たっては、関税定率法(明治四十三年法律第五十四号)等関係法令により、農産物の輸入増加の事実及びこれが我が国の農業に与える重大な損害等の事実についての十分な証拠がある場合において、これらの事実の有無につき調査を行うことが要件とされているところ、現在、農林水産省において、農産物についてその輸入動向と輸入による国内の農業への影響について情報収集に努めているが、政府としては、セーフガード措置の発動に向けた調査を開始する状況にあるとの認識には至っていない。今後とも農産物の輸入動向と輸入による国内の農業への影響の把握に努めていく考えである。

四について

 世界貿易機関の設立以降、世界貿易機関に通報されたセーフガード措置(暫定的なセーフガード措置を含む。)の発動件数は、平成十二年十月三十一日現在までに、二十五件であると承知している。
 これらの措置は、各国の政府が、セーフガード措置の発動の対象となる産品の輸入動向と当該産品の輸入による国内産業への影響等について評価した結果、セーフガード措置の発動の要件を満たすものと認めて講じたものと考えている。
 なお、これらの措置の中には、世界貿易機関の紛争解決手続の下で、セーフガードに関する協定等との適合性が争われているものもあると承知している。

五について

 野菜の価格低落が生産者の経営に及ぼす影響を緩和するため、指定野菜について、価格低落時に野菜供給安定基金から生産者に対し交付金を交付する制度が設けられており、これまでも逐次交付金が交付されてきたところである。今後ともその適切な運用に努めるとともに、機械化一貫体系の導入や消費者に対する野菜の栄養・機能についての情報提供等野菜の生産から流通、消費にわたる各般の施策を総合的に推進していく考えである。

六について

 輸入農産物の残留農薬の監視は、検疫所における輸入食品の検査の一環として行われており、厚生省において平成六年度から毎年集計結果を公表しているところである。平成十一年度には五千二百十六件について検査が実施され、このうち食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)に基づいて定められた残留農薬に係る基準に適合しないものは三十件であり、当該農産物については積戻し等の措置が講じられた。
 また、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和二十五年法律第百七十五号)に基づいて定められた生鮮食品の品質表示基準による原産地の表示の実施状況については、農林水産省において本年七月中旬から下旬にかけて全国の約千店舗の百貨店、スーパーマーケット等で生鮮食料品を対象として調査を行ったところ、販売している生鮮食料品のうち、すべて又はほとんどのものに原産地の表示を行っている店舗の割合は、野菜、果実及び肉類についてはそれぞれ約八割、水産物については約七割という結果であり、引き続き、原産地の表示の徹底を指導していく考えである。


別表 野菜生産出荷安定法に定める指定野菜十四品目の過去十年間の国内生産量、輸入量及び卸売価格の推移

国内生産量(千トン) 輸入量(千トン) 卸売価格(一キログラム当たり円)
平成二年 一四、八二二 一〇六 一七五
平成三年 一四、六八五 一三三 一九八
平成四年 一四、八七三 七八 一五二
平成五年 一四、二四二 一五〇 一八二
平成六年 一三、八八四 二八三 一八三
平成七年 一四、一三六 三五七 一六九
平成八年 一三、八九三 二六二 一五六
平成九年 一三、九三〇 二一八 一五五
平成十年 一三、〇九九 三八一 一九六
平成十一年 一三、一六五 三八七 一六三

備考
一 野菜生産出荷安定法に定める指定野菜十四品目は、キャベツ、きゅうり、さといも、だいこん、トマト、なす、にんじん、ねぎ、はくさい、ピーマン、レタス、たまねぎ、ばれいしょ及びほうれんそうである。
二 国内生産量は「野菜生産出荷統計」(平成十一年は、速報値)、輸入量は「日本貿易月表」、卸売価格は「東京都中央卸売市場年報」による。
三 国内生産量は、「野菜生産出荷統計」に記載される当該年の指定野菜十四品目の収穫量を合計したものである。
四 輸入量は、指定野菜十四品目が含まれる「日本貿易月表」の品目分類による品目の輸入量を合計したものである。
五 卸売価格は、当該年に東京都中央卸売市場に入荷された国内産の指定野菜十四品目に係る販売金額の総額を販売数量の総量で除したものである。


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