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平成十三年八月三日受領
答弁第一一五号

  内閣衆質一五一第一一五号
  平成十三年八月三日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員児玉健次君提出石狩川及び千歳川の治水対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員児玉健次君提出石狩川及び千歳川の治水対策に関する質問に対する答弁書



一について

 平成十二年十二月十九日の河川審議会計画部会の中間答申「流域での対応を含む効果的な治水の在り方について」(以下「中間答申」という。)は、同年二月四日に建設大臣が河川審議会に対し諮問したことを受けて同部会で行われた同年十二月までの審議の内容を取りまとめたものである。
 中間答申においては、「地域の視点の重視」、「流域と河川の適正な役割分担」及び「河川の特性に応じた適切な流域対策の選択」が流域対策の基本的考え方として示されており、一級河川石狩川水系石狩川(以下「石狩川」という。)、一級河川石狩川水系千歳川(以下「千歳川」という。)等の石狩川水系の河川における今後の治水対策の検討に当たっても、必要に応じてこれらの流域対策の基本的考え方を考慮して行ってまいりたい。

二について

 中間答申が示した流域対策の基本的考え方は、計画高水流量を見直すことを求めているものではない。
 また、「石狩川水系工事実施基本計画」において石狩川の基準地点石狩大橋における計画高水流量は毎秒一万四千立方メートルであり、この計画高水流量は、水害発生の状況、河川環境の保全、流域における開発の状況等を総合的に考慮して適切に定められたものであるが、この見直しは、水害発生の状況、流域における開発の状況等の変化を踏まえて、必要に応じて行われるものであると考えている。
 御指摘の「五案」とは、平成十一年七月に北海道知事から国に対して提出された意見書において石狩川と千歳川が合流する地点における治水対策として提示され、その後、千歳川流域治水対策全体計画検討委員会(以下「委員会」という。)において検討されている五つの案(以下「五案」という。)を指すものと思われるが、これらの概要は次のとおりである。
 (一) 石狩川と千歳川が合流する地点に背割堤を設ける案
 (二) 石狩川に沿った新しい水路の設置により千歳川を延伸させ現在より下流で石狩川に合流させる案
 (三) 石狩川を篠津運河沿いに移設する案
 (四) 石狩川を江別市と当別町との境界沿いに移設する案
 (五) 石狩川を現在の石狩川の右岸沿いに移設する案
 委員会では、例えば平成十二年九月の第六回の会合で五案について意見交換がなされており、その詳細は北海道開発庁北海道開発局及び北海道が作成した議事録等で明らかであるが、その一部を紹介すると、(一)の案については技術的な課題が多いこと等、(二)の案については江別市に与える社会的影響が大きいこと等の意見が出され、また、(三)から(五)までの案については個々の案ごとには意見は出されていないが、いずれの案についても広大な農地の消失による地域の農業への影響が大きいこと等の意見が出された。また、平成十三年四月の第七回の会合では、五案についてはいずれもそのままの形では合意を形成することは難しいのではないか、五案以外の対策についても可能性を検討すべきではないか等の意見が出された。
 さらに、お尋ねの「検討課題」が何を指すのかは必ずしも明らかではないが、委員会では、平成十三年四月の第七回会合以降、五案以外の案として遊水地の整備等の案についても検討しているところである。

三の1及び2について

 石狩川におけるしゅんせつについては、昭和五十六年八月に生起した洪水と同規模の洪水に対応できるようにするため、現在石狩川下流部において実施しており、今後引き続き下流部において実施するとともに、中流部においても実施することとしている。なお、平成十三年度からは、これまで着手できていなかった北海道旅客鉄道札沼線石狩川橋りょう(以下「石狩川橋りょう」という。)付近におけるしゅんせつを平成十四年度末の完了を目途として実施する予定である。
 堤防については、中流部の月形町付近から下流において概成しており、引き続きその上流部において整備していくこととしている。
 遊水地については、江別市から上流の地域において、容量が約一億立方メートルとなる遊水地群を計画しており、そのうち容量約一千万立方メートルの砂川遊水地が既に完成しているが、他の遊水地については現在調査中である。
 また、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号。以下「法」という。)第三条第二項に規定する樹林帯の整備についても検討してまいりたい。

三の3について

 江別市から上流に存する石狩川水系の支川の改修については、現在、幾春別川、雨竜川等において実施しているところである。
 排水機場等については、平成四年度に石狩川に新篠津排水機場を設置したほか、排水ポンプ車の配備等を進めてきたところである。今後とも、内水被害の実態、事業の効果、排水先となる河川の改修状況等を勘案しつつ排水機場等の整備について検討してまいりたい。

三の4について

 石狩川下流部におけるしゅんせつの計画概要は、三の1及び2についてで述べたとおりである。
 また、お尋ねの「水位低下」が何を指すのかは必ずしも明らかではないが、石狩川橋りょう付近におけるしゅんせつが完了すれば、昭和五十六年八月に生起した洪水と同規模の洪水が生起した場合の千歳川との合流地点付近における水位は、計画高水位以下となるものと考えている。

三の5について

 石狩川が千歳川と合流する地点から下流に存する石狩川水系の支川の改修については、現在、豊平川等において実施しているところである。
 排水機場等については、平成九年度に豊平川に設置されている雁来排水機場の排水能力を増強したほか、排水ポンプ車の配備等を進めてきたところである。今後とも、内水被害の実態、事業効果、排水先となる河川の改修状況等を勘案しつつ排水機場等の整備について検討してまいりたい。

四の1について

 千歳川における堤防の強化については、現在、昭和五十六年八月に生起した洪水により漏水等の被害が生じた箇所及び同様の被害が今後発生するおそれがある箇所において実施しているところである。
 堤防の嵩上げについては、現在、実施していない。
 しゅんせつについては、現在、石狩川との合流地点付近で実施しているところである。
 なお、千歳川及びその支川において河川管理者が行う治水対策については、今後、石狩川水系について法第十六条第一項に規定する河川整備基本方針及び法第十六条の二第一項に規定する河川整備計画(以下「河川整備計画」という。)を策定していく中で検討してまいりたい。
 また、お尋ねの「現在の千歳川の流量と、整備後の流量」及び「それによる水位の低下」が何を指すのかは必ずしも明らかではないが、計画高水流量は河川改修の前後で変化するものではなく、また、必要な河川改修が完了した後に千歳川で計画高水流量が生起した場合の水位は計画高水位以下となるものと考えている。

四の2について

 お尋ねの「長沼町の排水路」とは、長沼町に存する千歳川の支川を指すものと思われるが、当該支川のうち一級河川石狩川水系南六号川(以下「南六号川」という。)については、北海道においてその改修を行っていると承知している。
 同町に存する排水機場については、北海道開発庁北海道開発局において平成十一年度に千歳川と南六号川が合流する地点に設置されている南六号排水機場の排水能力を増強する事業に着手しており、平成十四年度に完了する予定である。
 なお、南六号川等の千歳川の支川における治水対策については、四の1についてで述べたとおり今後検討してまいりたい。

四の3について

 千歳川においては、既存の遊水地はなく、現在のところ遊水地を整備する計画もない。
 なお、千歳川における治水対策については、四の1についてで述べたとおり今後検討してまいりたい。

五について

 政府としては、千歳川の治水対策について地域の合意形成が図られるよう、委員会の円滑な運営に必要な協力を行ってまいりたい。また、委員会からの提言を受けた後に千歳川の河川整備計画を策定する際には、必要に応じて法第十六条の二第四項の規定に基づき関係住民の意見を反映させるための措置を講ずるとともに、同条第五項の規定に基づき北海道知事の意見を聴くこととしたい。



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