答弁本文情報
平成十四年三月八日受領答弁第一七号
内閣衆質一五四第一七号
平成十四年三月八日
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員金田誠一君提出日本国憲法における国権と自衛権との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員金田誠一君提出日本国憲法における国権と自衛権との関係に関する質問に対する答弁書
一、三及び四について
一般に、「主権」及び「国権」という言葉は、必ずしも一定の意味で用いられているわけではなく、「主権」という言葉は、第一に国家の意思の源泉、言い換えれば国家の政治の在り方を最終的に決定する力、第二に国家の意思が最高、独立であること、第三に国家の意思、第四に統治権というような意味で用いられ、「国権」という言葉は、第一に国家の意思、第二に統治権というような意味で用いられているところと承知している。
お尋ねの憲法上用いられている「主権」という言葉のうち、前文第一段落及び第一条の「主権」は、右で述べた主権の意味のうち国家の意思の源泉というような意味で、前文第三段落の「主権」は、右で述べた主権の意味のうち国家の意思が最高、独立であることというような意味で用いられていると考える。
また、お尋ねの憲法第九条及び第四十一条の「国権」は、右で述べた国権の意味のうち国家の意思というような意味で用いられていると考える。
憲法で使われている「国権」という言葉は、国家の意思というような意味で用いられているものであって、お尋ねのような国家の個別具体的な権利を指すものとして用いられているのではないと考える。
お尋ねの自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十八条第一項に基づいて「必要な武力を行使すること」は、言葉そのものの意味としては憲法第九条第一項の「武力の行使」に当たるが、憲法第九条で禁止されている「武力の行使」には当たらないと考える。