答弁本文情報
平成十四年三月二十六日受領答弁第四七号
内閣衆質一五四第四七号
平成十四年三月二十六日
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員長妻昭君提出外務省の秘密書類の指定と解除に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員長妻昭君提出外務省の秘密書類の指定と解除に関する質問に対する答弁書
一及び四について
外務省において、極秘又は秘に指定された文書がその後秘密指定を解除されて公表される場合としては、@秘密指定を受けた文書が秘密指定を解除されて行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)に基づき開示される場合、A作成から三十年を経た外交記録が秘密指定を解除されて公開される場合及びBその他の事由により公表される場合があるが、公表された文書の数については、統計がないので答弁することができない。
なお、外務省の把握した限りにおいて、Bの事由により秘密指定を解除されて公表された文書としては、外務省において作成した「北方四島住民支援に関する調査結果報告書」に添付された文書及び国会議員の要請を受けて本年三月に提供した文書合計十六通がある。
これらの文書の内容及び公表時期は、別表一のとおりであり、当該文書について秘密指定を行った理由は、いずれも当該文書に係る主管の管理者等において、当該文書の内容につき、秘密保全の必要性が高く、その漏えいが国の安全、利益に損害を与えるおそれがあるとされる「極秘」に次ぐ程度の秘密であって、関係者以外には知らせてはならないものと判断したためであり、秘密指定の解除を行った理由は、いずれも当該文書に係る主管の管理者等が秘密指定の解除を行うことを適当と認めたためである。
お尋ねについては、すべての文書を対象とした統計がないことから、答弁することができない。
別表一の文書は、既に外務省外に流出していたもの、外務省が実施した調査の信頼性を高めるために必要と判断されたもの及び国会議員の文書提出要請に応ずることが公益性の観点から必要と判断されたものであり、秘密に指定したこと自体に問題があったとは考えていない。
また、外務省においては、今後、秘密指定について、秘密保全の必要性を踏まえつつ、情報公開の要請にもこたえるために必要最小限にとどめることとしたところである。
外務省において、秘密保全に関する規則(平成二年外務省訓令第二号)及びその運用細則に基づいて行われる無期限秘密指定文書の秘密指定解除は、当該文書に係る主管の管理者等が指定解除を行うことを適当と認めた場合に行うものであり、必ずしも当該文書の公表を目的として行うものではないが、外務省において秘密指定を解除したにもかかわらず公表されていない文書で、外務省における調査の結果把握し得たもの(捜査機関に捜査資料として提供したものを除く。)の件名及び秘密指定解除の時期は、別表二のとおりである。
お尋ねの事例については、まず、別表一の文書のうち「北方四島住民支援(集会所兼宿泊施設の設置)設計・施工監理業者及び施工業者の選定」、「国後島緊急避難所兼宿泊施設(メモ)」及び「国後島緊急避難所兼宿泊施設建設工事に係る日本工営との面談メモ」があるが、これらが流出した時期は特定するに至っていない。また、外務省において把握している過去の事例としては、@愛知外務大臣とマイヤー駐日アメリカ合衆国大使との間でなされた会談の概要を記載した電信文案が昭和四十六年に漏えいした事件、Aモスクワで行われた赤十字会談に関する電信文等が昭和四十一年から昭和四十二年にかけて漏えいした事件及びB我が国の個々の外交交渉における外務省の基本方針・交渉方法等に関する具体的な記述のある外務省発行の冊子がソヴィエト社会主義共和国連邦の者に昭和二十七年に交付された事件がある。@に関しては、これに関与した外務省職員を懲戒処分にしたところであるが、A及びBに関しては、人事についての記録文書が残っていないため、外務省職員の処分については答弁することができない。
なお、右に述べた別表一の文書については、流出に関与した者を特定するに至っていない。