答弁本文情報
平成十四年五月十四日受領答弁第五四号
内閣衆質一五四第五四号
平成十四年五月十四日
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員東祥三君提出自動車、自動二輪車の盗難防止、被害対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員東祥三君提出自動車、自動二輪車の盗難防止、被害対策に関する質問に対する答弁書
一について
警察庁及び財務省においては、平成十三年二月から盗難の被害に遭った自動車及び原動機付自転車(以下「盗難自動車等」という。)に関する通報・連絡窓口を明確化することにより、情報交換をより積極的に行うなど、盗難自動車等の輸出を両者の連携により阻止するための対策を実施しており、同年十二月までの間に前年同期を上回る九百四十四台の盗難自動車等(三台分の盗難自動車等の部品を含む。)を税関において発見したところである。
さらに、本年四月からは、警察の盗難自動車等に係る情報を税関において活用できる体制を構築し、連携を強化したところである。
今後も、関係機関の間で緊密な連携をとりながら盗難自動車等の輸出阻止に努めてまいりたい。
警察庁の統計によると、平成十三年における被害総額が二百万円以上の自動車盗の認知件数は、二万一千六十二件であるところ、最近の検挙事例の中には、暴力団員や来日外国人等により組織的に敢行されているものがみられる。また、平成十三年における被害総額が二百万円以上の自動二輪車及び原動機付自転車の窃盗事件の認知件数は、百二十七件である。
このような現状を踏まえて、政府は、平成十三年七月に「国際組織犯罪等対策推進本部」を設置して、自動車盗難防止対策の推進等を決定し、また、この決定に基づいて設置された「自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム」により策定された「自動車盗難等防止行動計画」等に従い、イモビライザー等盗難防止装置の普及促進や自動車の使用者に対する広報啓発等の具体的対策を実施しているところである。
また、自動二輪車の盗難については、二重ロック、ステアリングロックの励行等の広報啓発や、社団法人全国二輪車安全普及協会が実施している自動二輪車等の全国的な防犯登録制度の普及等の防犯対策を推進しているところである。
国内で被害に遭った盗難自動車等について、車台番号が改ざんされていない状態で国外へ輸出される事例もあると承知している。
盗難自動車等の輸出については、関係機関における情報交換の実施、中古自動車の輸出通関時における抹消登録証明書原本提示の要請、港湾管理者に対する埠頭の管理強化の要請等の対策を推進しているところである。
盗難の被害に遭った大型自動二輪車の輸出台数を把握することができないため、お答えできない。
各都道府県警察においては、犯罪を認知した場合、被疑者を検挙し、被害回復を図るため、早期に現場に臨場し、鑑識活動その他の所要の捜査活動を迅速かつ的確に行っているものと承知している。
自動車窃盗犯に対する量刑は、裁判所の判断に係る事項であるので、答弁は差し控えたいが、一般的に、裁判所においては、それぞれの事案ごとに、犯行態様、組織性の有無、被害の重大性、被害回復の有無、社会的影響等を含む各般の情状を併せ考察し、その量刑を判断しているものと承知している。
中古自動車の輸出に関する通商産業大臣の承認に係る輸出貿易管理令(昭和二十四年政令第三百七十八号)の規定は、粗悪な中古自動車が輸出されて日本車の評価が低下することを防ぐ目的で、昭和四十年に設けられたものである。その後、日本車の性能が飛躍的に向上したこと等により、規制の必要がなくなったため、平成七年にこの輸出規制を廃止したところであるが、この廃止が盗難自動車等の輸出の増加につながったことを示す資料はない。
盗難自動車等の輸出に関しては、現在、関係機関相互の緊密な連携の下で、関係法令を適切に運用して水際での取締りを強化するなどの対策をとっており、一についてで述べたとおり、盗難自動車等の発見台数は増加しているところである。
税関においては、盗難自動車等の輸出を水際で阻止する観点から、中古自動車等の輸出について、申告者に対する抹消登録証明書原本提示の要請、コンテナ貨物大型エックス線検査装置の活用、船舶乗組員等が携帯輸出する中古自動車等の申告手続の口頭から書面への変更等により、申告書類の審査や輸出貨物の検査を強化しているところである。
今後、コンテナ貨物大型エックス線検査装置の更なる配備、警察から提供を受けた盗難自動車等に係る情報の電子的な活用等により、輸出通関時の審査・検査を一層強化してまいりたい。
陸運支局は、警察又は税関から自動車の登録事項等の履歴(以下「履歴情報」という。)の照会を受けたときは、文書等によって回答している。
自動車の輸出の際に、所有者を確認することは重要であると認識しており、そのために必要となる自動車の履歴情報の管理に関しては、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)等により行われているが、実態をより正確に把握するため、抹消登録制度の改正を検討しているところである。
したがって、更に製造業者等に履歴情報の管理責任を負わせる必要性はないと考えている。