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答弁本文情報

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平成十四年五月二十四日受領
答弁第六六号

  内閣衆質一五四第六六号
  平成十四年五月二十四日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員金田誠一君提出武力攻撃事態に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金田誠一君提出武力攻撃事態に関する質問に対する答弁書



一について

 武力攻撃事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律案(以下「武力攻撃事態対処法案」という。)第二条第二号の「武力攻撃事態」とは、我が国に対する外部からの武力攻撃(武力攻撃のおそれのある場合を含む。)が発生した事態又は事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態をいう。
 これに対して、一の1から8まで及び10から12まででお尋ねのそれぞれの用語の意味は、「「戦争」、「紛争」、「武力の行使」等の違いに関する質問に対する答弁書」(平成十四年二月五日内閣衆質一五三第二七号。以下「前回答弁書」という。)の二について、三の1について、三の2及び4について、三の3及び5について、三の6について、三の7について、四の3、5及び6についてでお答えしたとおりであり、一の9及び13から16まででお尋ねのそれぞれの用語の意味は、次のとおりである。
 自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第七十八条の「緊急事態」とは、間接侵略等の発生により、治安維持上差し迫った危険が存する事態であり、同法第百条の八の「緊急事態」とは、外国において災害、騒乱等の発生により治安や秩序が乱れ、人の生命又は身体に対して差し迫った危険が存する事態をいうと考える。
 自衛隊法第七十六条の「武力攻撃」とは、一般に、我が国に対する組織的計画的な武力の行使をいうと考える。
 平成九年九月二十三日に日米安全保障協議委員会において了承された日米防衛協力のための指針(以下「指針」という。)「T.指針の目的」の「周辺事態」及び周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年法律第六十号。以下「周辺事態安全確保法」という。)第一条の「周辺事態」とは、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態をいうと考える。
 指針「T.指針の目的」の「緊急事態」とは、指針「W.日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」をとる事態及び「X.日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力」を行う事態をいうと考える。

二について

 武力攻撃事態対処法案第三条第三項の「武力の行使」及び自衛隊法第八十八条第一項に基づいて「必要な武力を行使すること」は、基本的には国家の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうと考えるが、憲法第九条の下において認められる自衛権の発動としてのものに限られる。
 他方、二の1から3まで及び5でお尋ねのそれぞれの用語の意味は、前回答弁書の四の1について、四の2及び4について、四の7についてでお答えしたとおりである。
 また、周辺事態安全確保法第二条第二項の「武力の行使」とは、基本的には国家の物的・人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうと考える。

三及び四について

 憲法第九条の下において認められる自衛権の発動としての武力の行使については、政府は、従来から、第一に、我が国に対する急迫不正の侵害があること、第二に、これを排除するために他の適当な手段がないこと、第三に、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、という三要件に該当する場合に限られると解している。自衛隊法第七十六条の規定に基づき出動を命ぜられた自衛隊は、同法第八十八条の規定に基づき、我が国を防衛するため、必要な武力を行使することができるが、この武力の行使は、自衛権発動の三要件に該当する場合に限られており、このことは、武力攻撃事態対処法案の「武力攻撃事態」に該当する事態であっても、同様である。
 他方、自衛隊法第七十六条の規定に基づく防衛出動は、内閣総理大臣が、外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合に命ずるものであり、自衛権発動の三要件に該当する場合に限られない。

五について

 お尋ねに関しては、政府は、法制化を目指した検討を開始するよう政府に要請するとの一昨年の与党の考え方を十分に受け止め、検討を進めてきたところである。さらに、去る二月四日の施政方針演説を受けて、今般、武力攻撃事態という国及び国民の安全にとって最も緊急かつ重大な事態への対応を中心に、国全体としての基本的な危機管理態勢の整備を図るため、安全保障会議設置法の一部を改正する法律案、武力攻撃事態対処法案及び自衛隊法及び防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を国会に提出したものである。

六について

 周辺事態安全確保法第三条及び平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成十三年法律第百十三号)第二条第三項の「戦闘行為」とは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。
 他方、お尋ねのそれぞれの用語の意味は、二についてで述べたとおりである。

七について

 平成八年度以降に係る防衛計画の大綱(平成七年十一月二十八日閣議決定)の「V 我が国の安全保障と防衛力の役割」における「抑止」とは、我が国に対する外部からの武力攻撃を抑えとどめることをいうと考える。
 他方、憲法第九条第一項の「武力による威嚇」とは、現実にはまだ武力を行使しないが、自国の主張、要求を入れなければ武力を行使するとの意思、態度を示すことにより、相手国を威嚇することをいうと考える。



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