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答弁本文情報

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平成十四年八月二十七日受領
答弁第一七二号

  内閣衆質一五四第一七二号
  平成十四年八月二十七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員大島令子君提出台湾向け原子力発電設備の輸出許可に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員大島令子君提出台湾向け原子力発電設備の輸出許可に関する質問に対する答弁書



一について

 台湾電力龍門原子力発電所(以下「台湾第四原発」という。)向けには、原子炉一次冷却水循環ポンプ電源装置、原子炉一次冷却水循環ポンプ、原子炉制御棒駆動装置及び原子炉圧力容器の四件の輸出許可申請に対し、輸出許可を行ったが、これら四件の輸出許可に係る原子力設備の詳細については、私企業の正当な利益を害するおそれがあることから、答弁を差し控えたい。
 なお、我が国の事業者による台湾第四原発向けの原子力設備の輸出については、六についてで述べるとおり、核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号。以下「核兵器不拡散条約」という。)における要件は満たされている。

二について

 原子力発電施設の安全確保については、当該施設を保有する国又は地域の責務であると国際的に認識されているものと理解している。このような認識については、民生用原子力発電所の安全確保を目的とした原子力の安全に関する条約(平成八年条約第十一号)の前文においても言及されている。
 なお、我が国からの原子力設備の輸出に当たっては、輸出相手先における原子力発電施設の安全性は、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)に基づく輸出許可の審査要件とされていない。

三について

 平成七年六月十二日に総合エネルギー調査会原子力部会が取りまとめた中間報告書は、我が国から原子力設備を輸出するに際しての考え方として「安全のワンセット供給」について述べているところ、これは、「資機材の輸出にあわせて運転管理技術、定期検査制度等の安全関連システム等のソフトウエアの移転も行っていく」というもので、「長期間にわたって運転、保守補修等に協力していくこととすれば、こうしたソフトウエア面での技術移転が進み、相手国・地域の原子力発電の安全水準を向上させる効果」が期待されることから、輸出者及び製造者が原子力設備を輸出する際に考慮することが必要であるとしており、政府としては、その考え方の普及に努めている。
 なお、台湾における「安全のワンセット供給」に係る取組としては、社団法人原子力産業会議が、原子力安全に係る情報・意見交換を行うため、昭和六十一年から日台原子力安全セミナーを毎年開催しており、また、東京電力株式会社が、平成十二年に、台湾第四原発において採用されている原子炉と同じ炉型である原子炉保修訓練施設を使用し、台湾電力公司の技術者に訓練を実施している。

四について

 二についてで述べたとおり、原子力発電施設の安全確保については、当該施設を保有する国又は地域の責務であると国際的に認識されているものと理解している。
 台湾第四原発については、台湾当局が、耐震安全性も含めた安全審査を行った上で、平成十一年三月十六日付けで建設を許可しているものと承知しており、「現計画の中止あるいは立地地点の変更など」については、台湾当局又は建設許可申請者である台湾電力公司において判断すべきものと考える。

五について

 二についてで述べたとおり、原子力発電施設の安全確保については、当該施設を保有する国又は地域の責務であると国際的に認識されているものと理解しており、台湾における耐震設計審査の在り方についても台湾当局が、判断すべきものと考えている。
 なお、台湾当局から我が国の有する原子力安全に関する知見の提供等を求められた場合には、民間団体を通じて、その求めに応じていきたいと考えている。

六について

 アメリカ合衆国(以下「米国」という。)政府は、平成十年一月二十六日に米国国務省から在アメリカ合衆国日本国大使館に発出された口上書において、米国政府として台湾当局が管理する地域にあるすべての核物質に対して国際原子力機関による保障措置が適用されることを確認する等の意図を我が国政府に対して公式に表明している。右意図表明は、我が国政府との協議を経てされたものであり、これが行われるに際しては、当該保障措置等は米国政府が台湾当局から得ている保証に基づいてされるものであるとの説明を米国政府から受けている。
 核兵器不拡散条約第三条2においては、核兵器不拡散条約の各締約国が特殊核分裂性物質の使用等のために特に設計され又は作成された設備等を非核兵器国に供給するに当たっては、当該特殊核分裂性物質に保障措置が適用されることを条件としているが、右口上書に述べられているとおり、台湾当局が管理する地域にあるすべての核物質(特殊核分裂性物質を含む。)は、国際原子力機関による保障措置の適用を受けるので、本件原子力設備の台湾への輸出は核兵器不拡散条約に違反するものではない。

七について

 原子力を含むエネルギー政策については、基本的には、各国又は地域がそのエネルギー事情や環境問題への対応等の観点から、自らの責任において判断していくべきものと認識している。
 我が国政府としては、各国又は地域が自らの判断において原子力発電施設の導入を決定した場合、先方の要請に応じて、より安全な原子力発電が行われるよう、高品質の原子力設備を輸出するとともに、優れた運転管理技術等を併せて提供していくことが、輸出相手先の原子力に関する安全性の向上に資するものと考える。



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