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答弁本文情報

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平成十五年三月二十八日受領
答弁第一一号

  内閣衆質一五六第一一号
  平成十五年三月二十八日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員山内惠子君提出「北海道旧土人共有財産」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山内惠子君提出「北海道旧土人共有財産」に関する質問に対する答弁書



一について

 アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成九年法律第五十二号。以下「アイヌ新法」という。)附則第二条の規定による廃止前の北海道旧土人保護法(明治三十二年法律第二十七号。以下「旧保護法」という。)第十条第三項の規定により指定された北海道旧土人共有財産(以下「共有財産」という。)については、旧保護法に基づき、北海道知事が管理することとされていたところであり、また、アイヌ新法の施行後はアイヌ新法附則第三条の規定により、北海道知事が管理及び共有者への返還を行うこととされているところである。
 これらの法律の規定は厚生労働省(平成十三年一月五日以前は厚生省)の所管であるが、昭和六十二年五月十五日の衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会における御指摘の答弁については、事前に質問内容の通告がなく、厚生省の職員が同委員会に出席していなかったことから、明確な答弁が行われなかったものである。

二について

 北海道厚岸郡厚岸町小島内のアイヌの人々の共有に係る土地(以下「厚岸小島アイヌ共有地」という。)については、旧保護法に基づき、大正十三年北海道庁令第二十一号をもって共有財産として指定し、北海道庁長官(昭和二十二年五月三日以降は北海道知事)が管理していたが、昭和二十七年北海道規則第百七十四号をもって北海道知事が当該指定を廃止し、昭和二十八年四月十四日付けで北海道釧路国支庁長が同町内のアイヌの人々に係る土地の共有者の代表者との間で「厚岸町旧土人共有財産引渡書」を作成し、引き渡したものと承知している。このように、厚岸小島アイヌ共有地については、旧保護法に基づく適正な手続により、北海道知事の管理権限が廃止され、共有者の共有権が回復されており、既に北海道知事の管理下にはないことから、北海道知事に御指摘のような実測の実施をするよう勧告することは考えていない。

三について

 北海道及び農林水産省において御指摘の三筆の土地が旧自作農創設特別措置法(昭和二十一年法律第四十三号)に基づき買収された当時の北海道公報を調査したところ、当該北海道公報の一部が保存されていなかったことから、一筆(門静二番地一)については、同法第九条第一項の規定による公告がなされていることを確認したが、二筆(門静五番地一及び門静百七十八番地一)については、同項の規定による公告がなされたか否かを確認することはできなかったところである。しかしながら、一筆(門静百七十八番地一)については、旧自作農創設特別措置登記令(昭和二十二年勅令第七十九号)第六条第一項の規定により、同法第九条第一項の規定による公告があったことを証する書面がなければ行うことができない登記が行われており、また、他の一筆(門静五番地一)については、同項の規定による公告があったものについて行われる民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百九十四条の規定による供託が行われていることから、三筆の土地とも、旧自作農創設特別措置法に基づき適法に買収されたものと考えている。

四について

 御指摘の十八件の共有財産については、北海道旧土人共有財産土地貸付規程等を廃止する規則(平成九年北海道規則第百十三号)による廃止前の北海道旧土人共有財産管理規程(昭和九年北海道庁令第九十四号)及び同規則附則第二項の規定に基づき、北海道知事が適切に管理し、また、アイヌ新法附則第三条第二項から第四項までの規定に基づき、北海道知事が共有者への返還の手続を進めているものと承知している。このため、北海道知事が当該共有財産について改めて実態調査を行う必要があるとは考えていない。

五について

 アイヌ新法附則第三条の規定により共有者に返還される共有財産は、アイヌ新法の施行の際、旧保護法に基づき北海道知事が現に管理していたものに限られている。御指摘の「樺太アイヌの共有財産」とは、明治八年の樺太・千島交換条約の締結以降、樺太島から北海道に移住したアイヌの人々に係る共有財産(以下「本件共有財産」という。)を意味するものと考えられるが、本件共有財産は、アイヌ新法の施行の際、北海道知事が現に管理していなかったことから、同条に基づく返還の対象とはならず、返還の手続の一部である公告も行われなかったものと承知している。
 なお、北海道庁作成の「北海道旧土人保護沿革史」によれば、本件共有財産については、明治三十四年ごろから明治三十九年までに、その共有者のほとんどが樺太島に帰島したため、大正十三年六月十四日付けで北海道庁と樺太庁との間で締結された協定等に基づき北海道庁長官が処分に着手し、昭和二年に処理を遂げたとされている。



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