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平成十五年三月十八日受領
答弁第二〇号

  内閣衆質一五六第二〇号
  平成十五年三月十八日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員赤嶺政賢君外一名提出奄美大島住用村戸玉地区における採石場被害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君外一名提出奄美大島住用村戸玉地区における採石場被害に関する質問に対する答弁書



(一)について

 お尋ねの騒音や振動の被害に関する調査について、住用村(以下「村」という。)から聴取したところ、村においては、従前、騒音及び振動測定機器を保有していなかったため調査を行っていなかったが、鹿児島県(以下「県」という。)の協力の下、騒音及び振動測定機器を用いた戸玉地区内の騒音及び振動に係る客観的な調査を行うことが可能となる見込みであり、本年三月下旬から四月上旬にこれを実施する予定であるとのことである。

(二)について

 「採石場の発破や集落内道路を通行するダンプカーの振動」による被害に関する調査については、(一)についてで述べたとおりである。
 「降雨の度に採石場からの残土が堆積した河川から水があふれ、家屋が床下浸水する等」の被害に関する調査については、戸玉地区を流れる金子川及び戸玉川の河川管理者である村に確認したところ、両河川の氾濫による被害の状況について災害記録が残されており、戸玉地区住民からの聞き取り調査及び当該災害記録により確認できる範囲では、金子川流域においては河川の氾濫による被害は生じておらず、また、戸玉川流域においては昭和六十二年十一月十一日から十二日まで及び平成二年九月十八日に床上浸水等の被害があったが、同流域には岩石採取場は存在せず、これらの被害が「採石場からの残土」に起因するものかは不明であるとのことである。なお、仮に、この両河川について、河川法施行令(昭和四十年政令第十四号)第十六条の四第一項の規定により禁止される河川区域内の土地に土石等を捨てる等の行為(以下「禁止行為」という。)があった場合には、河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第百条第一項において準用される同法第七十五条第一項の規定により、河川管理者である村が禁止行為をした者に対して、原状回復等を命ずることができる。
 また、お尋ねの補償については、村から聴取したところ、戸玉地区の住民の代表者である戸玉集落区長と戸玉地区において岩石の採取を行っている採石業者(以下「本件採石業者」という。)との間で締結している公害防止協定において、振動、河川の氾濫等によって被害が生じた場合には、「その責任が」本件採石業者の「責めに帰すべきものであると認められるときは、過失の有無にかかわらず誠意をもってその被害補償の協議に応じ速やかに問題を解決するもの」とされているとのことである。

(三)について

 採石業者は、採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)第三十三条の二の規定により採取計画に粉じん、騒音等による被害を含む岩石の採取に伴う災害の防止のための方法及び施設に関する事項を定めることとされており、同法第三十三条の規定により採取計画を認可した都道府県知事は、採石業者が、認可を受けた採取計画を遵守しなかったときには、同法第三十三条の十二の規定により、その認可を取り消し、又は六か月以内の期間を定めてその認可に係る岩石採取場における岩石の採取の停止を命ずることができることとされている。また、都道府県知事は、岩石の採取に伴う災害の防止のため緊急の必要があると認めるときは、同法第三十三条の十三第一項の規定により、その防止のために必要な措置をとるべきこと又は岩石の採取を停止すべきことを採石業者に命ずることができることとされている。県から聴取したところ、県としては、今後、村が実施する予定である騒音及び振動に係る調査の結果等を踏まえ、本件採石業者について、これらの措置を講じる必要があるかを含め対応を検討していく予定であるとのことである。

(四)について

 採石法第三十三条の六の規定により、都道府県知事は、採取計画の認可に係る処分をする場合、関係市町村長の意見を聴かなければならないこととされており、関係市町村長は、地元住民を代表して都道府県知事に対して当該意見を述べることになると考えられ、現行の手続に問題があるとは考えていない。

(五)について

 採石法においては、事業終了後の原状回復について特段の定めはないが、(三)についてで述べたように、採石業者は採取計画において崩落、土砂の流出等による被害を含む岩石の採取に伴う災害の防止のための方法及び施設に関する事項を定めることとされており、事業終了後についても、同計画に従って災害の防止のための措置が講じられることとなる。

(六)について

 採取計画の認可の申請に当たって、採石法施行規則(昭和二十六年通商産業省令第六号)第八条の十五第二項の規定により、採石業者は、岩石の採取に係る行為に関し、他の行政庁の許可、認可その他の処分を受けていることを必要とするときは、その処分を受けていることを示す書面又はその処分を受ける見込みに関する書面を提出しなければならず、都道府県知事は、採取計画の認可に当たって当該処分等の有無を確認している。文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第八十条第一項の規定により、ケナガネズミ、アマミノクロウサギ、ルリカケス、アカヒゲ、カラスバト等特別天然記念物及び天然記念物(以下「特別天然記念物等」という。)の現状を変更し、又は保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは文化庁長官の許可を受けなければならないとされており、県から聴取したところ、お尋ねの申請に係る採取計画(以下「本件採取計画」という。)について同項の許可を要するものであるかを判断するため、特別天然記念物等の生息が確認され、又は予想される地域において、専門家による生息調査が必要である旨、本件採取計画の申請者に教示するよう、平成十四年十一月に村を指導したとのことである。県知事は、本件採取計画の実施が文化財保護法との関係で問題が生じるものでないかを確認の上、本件採取計画の認可について判断することとなる。
 また、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第八条第四項においては、事業者は、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全に自ら努める責務を有すると規定されており、リュウキュウアユについても、その保護のため十分な配慮がなされるべきであると認識している。
 国としては、全国的な観点から自然環境に係る調査を行っており、その結果を広く公開することなどにより、絶滅のおそれのある野生動物及び我が国にとって学術上価値の高い動物を含む自然環境への十分な配慮がなされるよう努めてまいりたい。



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