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平成十五年三月二十八日受領
答弁第二五号

  内閣衆質一五六第二五号
  平成十五年三月二十八日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員原口一博君提出外務省の「食糧増産援助の見直しについて」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員原口一博君提出外務省の「食糧増産援助の見直しについて」に関する質問に対する答弁書



一について

 農薬の調達のための食糧増産援助としての資金の供与については、これまで、開発途上国政府が農薬の調達を希望したことを受け、当該途上国における農薬の配布体制、農薬関連法令の整備状況等の実施体制を調査し、農薬が適切に使用される体制が整っていると判断した上で、これを行ってきたが、昨年七月に提出された外務省「変える会」の最終報告書の御指摘の「廃止を前提に見直す」という提言を受けて昨年十一月及び十二月に東南アジア、中央アジア及びアフリカの合計六か国に派遣した食糧増産援助見直しのための調査団(以下「御指摘の調査団」という。)の調査結果や、被援助国を管轄する我が国大使館、被援助国政府及び被援助国の代わりに農業資機材の調達事務を監理する機関が参加して年一回開催される政府間協議会の結果によると、供与資金により調達された農薬につき必ずしも当初の計画どおり保管、使用等がされていない事例が見られたことを踏まえ、昨年十二月に発表した御指摘の「食糧増産援助の見直しについて」において述べたとおり、農薬の調達のための資金については原則として供与しないこととしたものである。

二について

 御指摘のようないわゆるオブソリート農薬の処理等については、我が国は、国連食糧農業機関(以下「FAO」という。)その他の国際機関の主導に係る開発途上国に残存するオブソリート農薬の処理等に関する国際的な枠組みの中で協力していく方針であり、現在、関係する開発途上国政府と協議の上、FAOがアフリカ諸国で実施するオブソリート農薬の処理等の事業を支援している。具体的には、モザンビーク共和国において、FAOが本年一月から実施しているオブソリート農薬処理等の事業に対し、約八十五万米ドルの資金協力を行った。
 今後のオブソリート農薬の処理等についても、引き続き、FAO等の国際機関、オブソリート農薬処理事業の他の支援国、開発途上国等と協議を行い、検討してまいる所存である。

三について

 政府としては、FAO等の国際機関が、開発途上国の要請に基づき食糧増産のために策定した計画の下で、当該国際機関において責任をもって農薬を供与する場合に、所要の資金協力を行うことを検討する考えである。

四について

 食糧増産援助としての資金の供与に係る事前の調査については、かねてから、国際協力事業団(以下「JICA」という。)が、被援助国政府から援助の要請があるごとにこれを行っているところである。また、資金供与に係る案件のモニタリング及び評価については、一についてで述べた政府間協議会において、案件の実施状況等について確認、協議等を行っており、また、資金供与が数年度にわたる案件については、二年度目以降の分として被援助国政府から提出される要請書に以前供与した資金によって調達された農業資機材の配布、使用状況等の記載を求めることによって、案件の実施状況を確認しているところである。これらに加え、JICAにおいて、過去に食糧増産援助としての資金の供与を行った国又は将来これを行う可能性のある国について食糧事情等の調査を適宜行っているところ、その過程で、過去の食糧増産援助としての資金の供与に係る案件につき、そのモニタリング及び評価に有益な情報の収集も行っている。これらの情報については、JICAの保有するものは、調査から一定期間が経過した後に公開されており、外務省の保有するものは、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定に従って取り扱っているところである。
 食糧増産援助としての資金の供与に係る事前の調査並びにモニタリング及び評価については、御指摘の調査団の調査結果等に照らすと、その精度を更に向上させる必要性があると考えられたことから、今後は、事前の調査については、被援助国のニーズや実施体制についてJICAと連携しつつより詳細な調査を行い、モニタリング及び評価については、先に述べた政府間協議会の開催回数を増やすなどのことを行うこととしている。また、食糧増産援助に係る情報の開示については、引き続き適切に対応してまいる所存である。

五について

 財団法人日本国際協力システム(以下「JICS」という。)は、「我が国の経済協力分野のうち二国間贈与事業を中心とする事業の適正かつ効率的な実施に協力することにより、一層質の高い国際協力を推進し、もって、世界経済の発展と友好に寄与すること」を目的とする公益法人である。
 JICAから聴取したところによると、食糧増産援助としての資金の供与に係る事前の調査については、農業資機材及び調達事務に関する総合的知見及び専門性を有しており、過去の実績において監理に問題が認められなかったJICSがJICAから委託されているものと承知している。事前の調査の今後の在り方については、食糧増産援助の在り方につき引き続き適宜見直しを行っていく中で、必要があれば検討していく考えである。
 また、お尋ねの食糧増産援助の実施促進業務及び事後評価については、JICSが受託しているという事実はないと承知している。

六について

 食糧増産援助としての資金の供与に関する被援助国との合意においては、被援助国において供与資金により調達した農業資機材を国内で販売した結果得られる現地通貨を積み立て、これを被援助国自身による社会経済開発の目的のために活用することとしており、このような取扱いは、政府開発援助の趣旨に沿うものであると考えている。
 御指摘の調査団において、被援助国政府、同国の農業従事者、関係国際機関及び現地で活動している非政府組織から、このような見返り資金の仕組みを含め、食糧増産援助について聞き取り調査を行い、また、一についてで述べた政府間協議の場等を通じて、見返り資金の積立て状況について確認したところ、我が国政府から被援助国政府に対し更に積立てを行うよう申入れをしてきているにもかかわらず、供与した資金で調達された農業資機材が当初の計画どおり売却できない等の理由により、十分な積立てが行われていない国が見られた。今回の食糧増産援助の見直しに当たっては、このような状況を踏まえ、被援助国政府の計画につき、ニーズや実施体制についてより詳細な事前調査を行うこととした。
 被援助国における見返り資金の積立て状況は、別表のとおりである。

七について

 平成十五年度予算政府原案では、無償資金協力に係る予算全体が削減される中、過去に食糧増産援助としての資金を供与した国について、被援助国における食糧増産援助に係る事業の実施体制、経済社会状況、我が国との二国間関係等を総合的に勘案し、平成十五年度に必要と見込まれる額として約五十一億円を計上したものである。
 平成十五年度予算の実行として、食糧増産援助としての資金を具体的に供与する国については、今後、被援助国政府からの具体的な要請を踏まえ、要請時点における当該国における食糧増産援助に係る事業の実施体制、経済社会状況等をその都度総合的に勘案して決定するため、現時点で明らかにすることはできない。

八について

 外務省において平成十一年八月十日に発表した「政府開発援助に関する中期政策」においては、農業分野を食糧問題の解決等に向けた施策の一つとして位置付け、開発途上国を支援することとしている。我が国は、開発途上国の農林水産業分野に対し、食糧増産援助のほか、灌漑施設整備、流通システム改善等に関する無償資金協力や円借款による支援、農業技術向上等のための研修員受入れ、専門家派遣、青年海外協力隊による技術協力等の様々な形態による協力を通じ、過去十年間で百三十か国以上に対し約一兆七千億円の二国間の資金援助を実施してきた。また、FAO等の国際機関を通じて支援を行ってきており、過去十年間で一千八百二十四億円以上の拠出等を行っている。
 我が国は、開発途上国の食糧問題は、基本的には開発途上国の食糧自給のための自助努力により解決されることが重要との観点から、食糧増産援助を実施してきている。
 このような考え方に基づき、今後も引き続き、開発途上国を支援していくため、平成十五年度予算政府原案においては、食糧増産援助として約五十一億円を計上するとともに様々な形態による農林水産業分野への支援を行う予定であり、また、FAO等農業関係国際機関に対する拠出金等として約五十八億円を計上している。

九の1について

 御指摘の調査団の報告書は、現在、JICAが作成しているところであり、完成後、JICAにおいて所定の手続に従って公開するものと理解している。

九の2について

 今後の食糧増産援助の在り方についての見直しは、被援助国との政府間協議、関係国際機関との意見交換等を踏まえ、必要に応じ、適宜、適切に行う考えである。

九の3について

 外務省において一についてで述べた「食糧増産援助についての見直し」を取りまとめるに当たっては、意見交換を希望する非政府組織と意見交換の場を設けてきたが、引き続き、必要に応じて御指摘のような意見交換の場を設けることを検討してまいる所存である。


別表 1/9


別表 2/9


別表 3/9


別表 4/9


別表 5/9


別表 6/9


別表 7/9


別表 8/9


別表 9/9


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